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たったひとつの冴えない能力(ちから)  作者: 相田 彩太
第四章 希望の挑戦者
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その14 雑賀と仲間と分析と

 翌日、教室の雰囲気は一転していた。

 授業中も気もそぞろで、こっそり情報端末を眺める者、精神集中する者、早弁する者、様々だった。

 だが皆、一様に時折、天野と雑賀の方をちらちらと見ていた。

 そして放課後、少なくとも傍目には普段の日常であったが、ホームルームで異変が起きた。

 「あー、みな知っていると思うが、この中に、昨日、特別褒賞欲しさに総帥を襲撃した馬鹿がいる。馬鹿は手を上げろ」

 「はい、俺です」

 鳳仙先生の問いに雑賀は立ち上がり、正直に手を上げた。

 「よろしい。そして、この中に未来の馬鹿者がいる。そいつらも手を上げろ」

 ガタガタガタガタ

 机と椅子が音を立て、全員が立ちあがり手を上げた。

 「やっぱりお前らみんな馬鹿だな。だが馬鹿が出来るのも子供の内だ。存分にやれい!」

 鳳仙先生の言葉にクラスが沸き立った。

 「あと、連絡事項だ。これは雑賀の、いやお前達みんなの戦いだから先生は助けてやらん。だが保護者として付き合おう。それと天野、お前の申請は受理された。明日の場所はここではなく、隣の旧校舎に変更になった。先方には連絡してある。旧校舎がぶっ壊れてもかまわん。全力でやれい!」

 「もとよりそのつもりです!」

 力強い天野の答えに鳳仙先生は笑みを浮かべ、好物のお酢ドリンク『押酢! 番長』を一口すすると、

 「では、これでホームルームは終わりだ、解散、は、しないか」

 そう言って教室から出て行った。

 閉じられたドアが再び開き、鳳仙先生と入れ替わるように一人の人物が現れる。

 「義を見てせざるは勇無き也、このデイジー・ディジーが来たからには百人力ですわ」

 デイジーは高らかに宣言し、天野の席に詰め寄る。

 「天野さん。不本意ですけど、魚一君の頼みとあらばしょうがありませんわ。このわたくしが力を貸しましょう」

 「すげえ、破滅の女王まで参加するのかよ」

 「これなら一ダメージくらいは何とかなるかも」

 クラスのそこかしこから声があがる。

 雑賀も天野の席に近づき言う。

 「リン、みんなが力を貸すぜ。それで作戦は出来たのか」

 「ああ、その前に、目標の戦力分析とみんなの戦力を確認しよう。作戦を伝えるのはそれからだ」

 たちまち天野の席を中心に輪が出来る。

 「まずは総帥の過去の戦歴を見てもらおう。知っての通り、年に一回行われる武闘大会で優勝すると、総帥か戦力庁長官への挑戦権が与えられる。そして優勝者の九割が総帥へ挑戦している。その中で参考になりそうなものをピックアップした」

 情報端末が映像を再生し、教室の電子黒板もそれに連動して映像を映し出す。

 そこには全てを切り裂く光の剣を持つ者、原子の振動を止め絶対零度にさせる者、なんだかよく分からないがとにかくスゴイ力を発揮する者、六要素を極めた万能型から特殊型まで様々な能力者が次々と登場したが、彼らの攻撃は全て総帥の前に立ち塞がる光の壁に阻まれた。

 そして光の壁が布状に変化したかと思うと対戦相手はその布でぐるぐる巻きにされ、敗者ゾーンへと押し込まれていった。

 「これが総帥の戦いぶりだ。一言で言えば"横綱相撲"相手の攻撃を光の壁で受けきって、それが変化した光の布で相手を拘束し、敗者ゾーンへ放り込む。敗者ゾーンでは三分間カウントを取られると敗北が決定するルールだ。相手は三分間自分の無力さを感じながら敗北するって訳だな」

 天野が解説する。

 「俺の拳もあの光の壁の前に無力だった」

 昨晩の出来事を思い出して雑賀は言った。

 「これって、私達レベルでは無理な気がするんだけど」

 クラスメイトから弱気な声が上がる。

 「だけど、やってみなくちゃわからないだろう」

 雑賀は立ち上がり、皆を鼓舞するように言った。

 「お前は、条件付だけど強い能力(ちから)があるから良いけど、俺達レベルじゃ何も出来ないんじゃないか」

 クラスの一人が弱音を吐く。

 「でも、やらないと桃ちゃんが……」

 そう言い掛けた雑賀を天野が制止する。

 「みんなの言う事ももっともだ。だが策はある。その前に簡単に戦力を確認しておこう。私達の戦力は総勢十九名、その中での最大火力のある二名が……」

お読み頂きありがとうございます。

今回の小ネタというかモチーフが光の剣が超人ロックの能力から、原子の振動を止め絶対零度が聖闘士星矢の氷河から、なんだかよく分からないがとにかくスゴイ力がとある魔術の禁書目録の学園都市七位からですね。


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