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最強ダンジョンの最弱ダンジョンマスター  作者: 蓮華


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07

※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。

イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。


なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは

作中の描写と多少異なる場合があります。

あらかじめご了承ください。

世界:アルヴィレア


ヴァルセイン王国、リュゼル辺境領。


交易都市リュゼラは、森と山脈から運び込まれる資源によって栄えていた。

冒険者ギルドには日々、魔物討伐、薬草採集、鉱石輸送の護衛といった依頼が持ち込まれる。

その日、三人組の冒険者パーティー《灰燕の羽》もまた、依頼を受けてミレノアの森へと向かっていた。


「銀露草の採集、ねぇ。もう少し稼ぎのいい依頼はなかったの?」


赤褐色の短髪を揺らし、斥候のマルティナ・ロウゼがぼやいた。


「文句を言わない。先月の装備修理代、まだ全部払えてないでしょう」


そう返したのは、リーダーのエリナ・ヴァレルだった。

使い込まれた槍と円盾を携え、先頭を歩く。


「それに、今回の依頼は採集だけじゃない。旧採石場周辺の道を確認するよう頼まれてる」


「旧採石場ですか……」


エルフの魔術師、ネフィリア・ミレアが眉を寄せた。


「北側の採集路は、近頃ほとんど使われていません。踏み跡も薄くなっているはずです」


「だから調べるんでしょ」


エリナが肩をすくめた。

三人が向かっているのは、リュゼラから街道を経由し、森の古道へ入った先にある廃採石場だった。


かつて石材の切り出しに使われていた場所だが、採掘が止まって久しい。

人の往来は減り、今では薬草採りや物好きな探索者が訪れる程度になっている。


昼を過ぎた頃、三人は採石場の南側に到着した。


「……ずいぶん荒れてるね」


マルティナは苔むした石段を見上げた。


崩れた石垣。

草に埋もれた荷車の轍。木の根に覆われた作業道。

その先には、さらに北へ続く岩場があった。


「こっちにも道があるみたい」


「今日は踏み込まないわよ」


エリナが制した。


「採集を終わらせて、使える道だけ記録する。奥を調べるなら別の依頼として受けるわ」


マルティナは少し残念そうに口を尖らせたが、すぐに周辺の地形を記録し始めた。

このとき、三人はまだ知らない。


北側の岩棚に、ひとつの新しい迷宮が存在していることを。


 ◇ ◇ ◇


翌日。


リュゼラの採鉱商会では、旧採石場の扱いを巡って意見が交わされていた。


「放っておくには惜しい場所なんだがな」


現地監督のヴェルド・グラハンは、机に広げた古い採掘図を指で叩いた。


「石材はまだ残っている。街道からも遠すぎるわけじゃない。問題は、運搬路と安全確認だ」


古い採石場を再利用できれば、山奥の採掘場から石材を運ぶより安く済む可能性がある。

しかし、長年放置された作業道には崩落の危険があり、魔物が住み着いている恐れもあった。


「まずは道を調べる。人を入れるのはその後だ」


ヴェルドはギルドに調査の見積もりを取るよう指示した。


ギルド支部長のレオナ・リュゼルは、提出された《灰燕の羽》の報告書を確認していた。


採集依頼は完了。

旧採石場の南側は通行可能。

ただし、北側の岩場と古い作業道は未調査。


「……商会が本気で再開発するなら、追加の調査が必要ね」


レオナは報告書を閉じた。

魔物がいるかもしれない場所へ、無防備な作業員を送り込むわけにはいかない。

彼女は商会からの正式な依頼を待ちつつ、現地を歩いた三人に追加情報を求めることにした。


 ◇ ◇ ◇


同じ頃。


リュゼラの裏通りにある一軒の酒場。

奥の個室で、黒絹の上着を纏った女性が、古びた地図を眺めていた。


セルヴァ・オルダ。

希少な魔石や遺物を扱う、非合法な仲買組織《夜鴉》の交渉役である。


「……旧採石場、ですか」


彼女は細い指で地図をなぞった。

グルダン岩嶺から運ばれる品物は、リュゼラの街道を通る。

だが、街道には税関や商会の検査がある。

品物によっては、それが非常に都合の悪いこともあった。


「北側の古道が使えれば、少しは面白い商売ができそうですね」


対面の男が声を潜める。


「ですが、あの辺りは長らく人が入っていません。道が残っているかどうかも……」


「だから調べるのです」


セルヴァは微笑んだ。


「通れないなら、それで構いません。まずは使える道があるのか、確かめてください」


彼女は案内人を雇う金を用意し、旧採石場の迂回路を探すよう依頼した。


こうして旧採石場には、互いに異なる目的を持つ人間たちの関心が向き始めていた。


冒険者は依頼と報酬のため。

商会は石材の利益のため。

そして夜鴉は、密輸に使える道を求めて。


だが、誰一人として、そこに新しい迷宮が存在するとは考えていなかった。


 ◇ ◇ ◇


教国・聖女に降りた神託


そして、主人公がダンジョンコアの内部システムを無限へ書き換えた、その瞬間。


遥か遠く、教国の大聖堂。

祭壇の前で祈りを捧げていた聖女が、不意に顔を上げた。


「……っ!」


胸の奥に、冷たいものが走った。

それは魔力の波動ではなかった。

誰かが魔法を使った気配でもない。

もっと根源的な、世界を成り立たせる何かが変化したような感覚。


聖女は両手を胸元で組み、息を呑んだ。

その意識に、言葉が降りてくる。


『世界の辺境にて――』


『理を捻じ曲げし者、誕生せり』


『魔神、顕現』


「…………魔神?」


聖女の唇が震えた。


魔神。


神話や古い聖典には、その名を持つ存在が幾度も記されている。

だが、今回の神託は異質だった。


邪悪な存在が現れたとは告げていない。

災厄が始まるとも、討伐すべき敵だとも言っていない。


ただ、世界の理を捻じ曲げた存在が生まれたと告げただけだった。

しかも、場所が分からない。


辺境という言葉だけでは、あまりにも範囲が広すぎる。


この世界には多くの王国、帝国、教国、魔族領がある。

そのどこにも辺境は存在する。


「……どこの国なのでしょう」


聖女は祭壇を見つめた。


何も見えない。

魔神と呼ばれた存在がどんな姿をしているのか。

何を望み、何のために世界の理を変えたのか。

そして、その存在が人々にとって敵なのか、味方なのか。


神託は何も教えてくれなかった。


やがて駆けつけた聖職者たちに、聖女は受け取った言葉をそのまま伝えた。


「魔神が……誕生したと?」


年配の聖職者が険しい顔をした。


「聖女様、それは魔王の出現とは異なるのですか」


「分かりません」


「危険な存在なのでしょうか」


「……それも、分かりません」


聖女は静かに首を振った。


「ただ、一つだけ確かなことがあります」


祭壇の燭火が、小さく揺れた。


「この世界の理に干渉し、それを変えてしまった存在がいるのです」


聖職者たちは言葉を失った。


魔王であれば、強大な軍勢や魔力を警戒すればよい。

邪神であれば、その信仰や眷属を調べればよい。


しかし、世界の理そのものを書き換える存在とは、いったい何なのか。


聖女自身にも答えはなかった。


教国の聖職者たちは、ひとまず神託の内容を記録し、上層部で扱いを協議することにした。


ただ一つ。


この世界には、従来の常識では測れない存在が生まれてしまった。

それだけが、神託の告げた事実だった。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。

物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、

あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。


感想・考察・ツッコミなど、

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