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No.1引っ越しと理解

こんにちは。タルトです。

まずはこの作品にたどり着いてくださったこと、誠にありがとうございます。

もしよろしければ読んでいただけると嬉しいです。

 僕は大学1年生の田中 (さとし)。これといった特徴はない。しいて言うならすらっとした手足と180cmのムダに少し高い身長ぐらいだ。実は根っからの運動音痴で、初対面の人に言われる運動できそうが一番嫌いというようなぐらい運動が好きではないのだ。

 とりあえず頭一つ抜けた才能がないなら勉強しかないなと一念発起し、ド田舎の公立高校から旧帝〇大学と名高い九〇大学に入ったのだ。

 今は入学式が終わり、岐路についているところだ。

 初めての福岡で初めての都会。ド田舎出身からすればわくわくするなというのが無理な話だろう。

「が、なんか違うよなぁ。え、福岡って都会じゃないの?なんで周り田んぼしかないの?なんで食材買おうと思ったら15分自転車に乗ってイ〇ンに行かなきゃならんの?詐欺じゃんか。」

「幻想抱きすぎだ。そりゃあ福岡いったことないお前からしたら桃源郷のような場所をイメージするかもしれないが。それは博〇とか天〇の話であってここら辺は田舎だぞ。ちなみにだが、箱入りのお前に教えておくが、東京だって実は山と田んぼしかないような場所もあるんだぞ?」

 隣でそんな知りたくないことを言ってくるのは入学式でたまたま隣になって話した子だ。名前は何と言ったか・・・。確か、はるとだかはるきだかそんな名前だった気がする。

「あ?何言ってんだよ、天下の東京様だぞ、そんな訳ないだろ。そりゃああれだ、東京と間違えて千葉に行ったんだよ。千葉って言ったら何もなさそうじゃんか、葉って字も入ってるし。」

「お前一旦千葉にお住いの方々一人一人に土下座してこい。そしてその後チーバくんにたたかれて来い。次いでに某ネズミーランドに行ってキャストたちに頭たたかれて来い。」

「?東京ネズミーランドは東京にあるだろ。馬鹿かお前。」

「いなかっぺが出てるぞ。東京ネズミーランドは千葉県にあるんだぞ。おっと、そしたら俺はここで分かれるわ。また会おうぜ。バイビ。」

「おう、バイビ。またな。」


 ・・・。東京ネズミーランド 県 でG〇〇gle大先生に検索かけてみる。

 ・・・。なるほどなるほど。どうやら僕が間違っていたみたいだ。千葉県にあるらしい。

「いや、詐欺じゃね?」



 さて、これからここには最低でも4年間お世話になるのだ。少し散策しようと思う。

 スーツと革靴で歩くと似非サラリーマンのようで、いっぱしの社会人になったようで、なんだか誇らしい。



 随分と歩いた。あれだけ高く昇っていた日も随分傾き始めている。もう家に帰りつくころには真っ暗なんだろう。ポケットからイヤフォンを取り出し、BGMを聞きながら帰る。



「ドンッ!!!!!」

「まずい!待てよッ!!」


 ひったくりだ。いやいや、そんないつの時代だとか、今時ひったくりって笑と人伝なら笑っただろう。まず間違いなく。

 だが、バックを片手にすたこらと自転車で逃げる黒ずくめが遠くにいるのだ。時代とかそんな話ではない。バックは手元にない。ただその事実だけが肩に重くのしかかる。


「ちがう、警察だ。写真を持っていけば何とか!」


 写真を撮ろうと、相棒のスマホを・・・。スマホを・・・。

 いやだ、考えたくない。事実から目を背けれるなら、できることなら考えたくもない。

 ないのだ。スマホが。どこにも。


「ザザッ・・。ザッ・・。」


 突然、ワイヤレスイヤフォンの接続が切れた。どうやらスマホとイヤフォンが一定距離離れたかららしい。

 そんなことは百も承知であるが、それを認めてしまうと、スマホがカバンの中にあることを認めてしまう。直視してしまう。その事実を。


 交番も、公衆電話も帰り道ですら、わからない。何もかもわからない。



 帰りてぇ。この世に神が、人知を超えた存在がいるのなら、この世の中から、消してください。僕を。もう、ここで生きてけなんてしないです。来世に期待だ・・・。



「その願い、聞き入れよう。」



「・・ハッ?!誰だよ・・・?!!!」



「われはメーティス。叡智の神である。くくっ。お前みたいな凡愚を助けてやるのだ。感謝せぇ。」



 足元に魔法陣が浮かんでいる。びっくりするぐらいまぶしい。真っ暗だった世界が昼になったのかと錯覚するぐらいに。いや、そうじゃない!!!



「おい!馬鹿神!!!おまえ比喩とか冗談とか知らねえのか!?おいぃいいいいいいいい魔法陣から出られねえじゃねえか!」




「くくっ。凡愚に手を差し伸べるとは、われも随分と丸くなったものよなぁ。」



「おぃいいいい。なにモノローグ風に言ってまとめてんだよぉおお!!!そういうのをなぁ!ありがた迷惑って世間では言うんだよぉおおおお!!!!!」




「くくっ・・・。」



 意識が暗転する。クッソいつかぐーぱんの刑だ・・・。





 熱い。熱い。熱い・・・。アツイ・・・。



「熱いって言ってんだろぅがよぉおおおお!!!」



 ・・・・・・・



 は?どこだここ。西洋風のレンガで作られた家、蜥蜴と人間のハーフに漫画のようなエルフ、屈強な剣士もいる。明らか田んぼしかないあの場所じゃない。ってかなんかみんなこっち見てんな。なんでだっけ。



「くくっ。凡愚が、あんだけ叫べばそりゃあ注目も浴びるやろうて。」



 ・・・気まず。身に覚えしかないなぁ。目線に耐えかねて一旦路地裏に身をひそめる。



「おい、ところでメーティスさんよ。ここはどこなんだよ。あとさっきの熱さは何なんだ。地球に帰れるか?あのひったくりに痛い目あわせたいんだけど。」


「一気に質問するでない。そもそも貴様のような凡愚が我と話せることが奇跡のようなことなのだぞ?」

「まあよい。まず質問に答えていこうではないか。ここは貴様の居た地球なんぞとは違い、メーディアという星じゃ。我メーティスの管轄にある星じゃ。して、熱さは異世界に来るにあたってそのまま引っ越しってわけにはいかんからの。細胞レベルに分解してコンパクトにしてひっこすのじゃ。地球でいうとこの引っ越し業者と同じ手口じゃ。」

「そして最後の質問じゃが、無理であるな。諦めい。」

「我は星を管理する公務員じゃからな。まだまだ仕事が残っておるのだ。じゃあの。」



「ちょっとまてよ。アフターサービスが悪いぞ。ここの情報も何もないぞ。勝手に連れてきてほったらかしとはずいぶんと偉そうですねぇ!あーあー。星を統べる神様ってこんなもんなんだー。がっかりだぁ!」



「調子に乗るでない。凡愚。」



「おーい。かーみーさーま?」


 ・・・



「麗しくかわいい女神様ーーーーメーティス様ーどうかお慈悲をぉおおお!!!」



「・・・神と女神を同一視するでない。神格がちがうのだ。」



 ドサッ。

 ・・・目の前に麻袋的なものが落ちてきた。ちょうど腰のベルトにつるせそうなぐらいの。ってかスーツと革靴じゃない。そこら辺の冒険者のような動きやすい格好になっている。


「・・・結構手厚いアフターサービスじゃんけ。」



 さて、麻袋の中身は何だろうな。んー?広辞苑?それぐらいの大きさの本がある。パラパラとみるとどうやら辞書みたいだ。それにあとは銀貨?が5枚か。

 一旦危なそうな路地裏からは出て、この辞書をゆっくり読める場所と銀貨の価値を知ろう。と考え、道のマーケットらしき場所に来る。



「おいしいおいしいリンゴが1つで銅貨二枚だよ!5こ買うと銀貨一枚のとこサービスして銅貨八枚だよ!!!」

「一泊銀貨2まいだよ!ふかふかベットに防音機能付きドアだよ!!!」




 ふむ。日本円でいうと一銀貨1,000円ってとこか。じゃあなに?5,000円と辞書と動きやすい靴と服を初期手持ちとしてくれたの?優しいやんけ。あの神。



「よし!泊まろう、そして辞書を読めるだけ読んでみよう。すみませーん。一泊お願いできますか?」


「はいまいど!じゃあここに身分証明できるもの提示してね?」


「はーい。」


 大きな機械があるこの中にカードを入れて個人情報を記録するのだろうか。


 確か、保険証が・・・。保険証が・・・。あっ、そもそもないし、あっても異世界で通じるわけないか。



 え、じゃあ泊まれないじゃん。どうすんのさ。



「・・・。すみません身分を証明できるものないんですけど。泊まれます?」


「・・・身分証明できないと無理でして、そこをまっすぐ行った冒険者ギルドでなら身分証発行できるとおもいますよー。」


「あ、はい。また来ます。」



 おい。どういうことだ。しょっぱなつまずいたぞ。まあそういうことなら仕方ない。ギルドとやらに出向くとしよう。




「いらっしゃいませー。お食事ならテーブルに、各種手続きなら奥におすすみくださーい!」


 元気な定員さんが出迎えてくれる。異世界飯を食べたい欲をぐっと我慢して奥に進む。



 1,各種証明書発行

 2,届出受付

 3,住所変更

 4,保険受付

 5,お届け物受付

 6,資格等受付

 と書いてあるカウンターがある。


 いや、市役所か。行政結構しっかりしてんなぁ。これもメーティスのなせる業なのだろうか。

 と、考えながら、1のカウンターに進む。



「はい。こんにちは。証明書発行手続き受付です。本日はどういったご用件でしょうか?」


「えっと。身分証を作りたくて・・・。」


「はい。承りました。それでしたら冒険者カードでよろしいでしょうか?これは身分を証明できるだけでなく、数々の依頼をうけれたり、自分のレベルやスキル。資格なども記載されていく優れものでして。」


「はい。それで大丈夫です。」


「では、手数料として銀貨二枚頂戴いたします。」


「お願いします。」


「ちょうどお預かりいたします。では、この機械に入ってくださいね。」


 そういわれて案内されたのは大きな機械。MRIを縦にして入り口をつけたような・・・。そんなことを考えながら中に入る。

 ・・・10秒ほどたったころ。


「どうぞー。外に。」


 言われるがまま外に出る。


 何が何だかわからない。そのまま茶色のカードを渡され、どこが名前で、スキルで、資格で、といった説明をされる。


 名前は自分の名だが、スキルと資格が空欄なのを見るとほんの少し悲しくなる。


「説明は以上になります。なにかございますでしょうか?」


 たくさんある。たった10秒ほどで個人情報抜かれることもびっくりだし、資格やスキルの取り方だって聞きたい。が、前者は異世界だからで理解できないことはないし、後者は辞書に書いてありそうである。ならば、聞くことはたった一つだ。


「魔法ってありますか?」


「・・・はい。ありますよ?」


「そうですか。いろいろとありがとうございました。」


 受付の方が頭を下げるのを見てから僕はその場を後にした。

 というか質問はあっさり肯定された。というか何当たり前のこと聞いてんだというような表情をしないでほしい。僕はまだこの世界にきてまだ2時間ほどなのだ。

 でも、どうやら魔法はあるらしい。できれば大賢者とかになってウハウハな生活を送りたいものだ。夢がある。




 さて、今僕はふかふかのベットに寝転がり、片手で銀貨一枚を遊ばせながら辞書を読んでいる。

 いろいろこの世界について分かった。

 まず、スキルについては望めばもらえるとのことだ。努力や鍛錬によってそれを強く望む姿勢を示せば天から降ってくるようなものらしい。また、スキルにはコモン(C)、アンコモン(U)、レア(R)、スーパーレア(S)、レジェンド(L)の5種類あり、各スキルの熟練度を示す値として+値が使われるらしい。何もないのが習得したて、熟練度マックスが+5らしい。結構めんどくさそうである。

 また資格はギルドで受験料を払って試験を受けてもらえるものらしい。資格とスキルの線引きがよくわからないが、まあとりあえず取り方はわかった。


 また、この辞書はとても便利で、よく知られているスキル、資格等を一覧で出してくれているのだ。そしてほしいスキルも見つけた。

 その名も、鑑定スキルと記憶スキルだ。

 鑑定スキルは見たものを熟練度依存で鑑定してくれるというものだ。いつかは古物商になって成り上がるのも悪くないはずだ。

 記憶スキルは見たところそうでもなさそうなスキルだが、一度見たものを忘れにくくするスキルだ。熟練度を上げれば忘れないようにすることすら可能そうである。

 ちなみにだが、両スキルともコモンスキルである。

 それも当たり前といえば当たり前だ。というのも、習得が楽そうなコモンスキルの中から使えそうなものを選んで見つけたスキルなのだから。


 さて、何をすればいいかわからないが、とりあえずまだ日没までは結構な時間があるからこの辞書を全暗記する努力をしてみて、記憶スキルとやらを習得しようではないか。


皆様が読んだ感想を教えてくださると嬉しいです。

ダメだしや、誤字脱字などでも、教えてくださいね。


皆様の感想は全て読ませて頂き、今後に活かしたいと思います。

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

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