英雄は少女を助ける
一章とかどうやってつければ良いんだろうか。
俺は亜空間からの脱出を果たした。
俺は呆然とした。
俺が魔神討伐に出ていた間に大きな戦争があったのか、出発前この辺りは王都だったはずだ、ここで俺はさまざまな国の王や貴族、冒険者仲間、民衆からの見送られ、魔神討伐の為に亜空間に侵入した。
ここは間違いなくクラール王国の王都だったはず、しかし目の前に広がる光景は鬱蒼とした森だった。いずれにせよ長い時間が経っているのは間違いない。
呆気にとられていると、遠くの方から少女の悲鳴とモンスターの咆哮が聞こえた。
俺は少女を助け、現世に戻ってくるまでに何があった聞くことにした。
俺はスキル「疾走」と、現在身に付けている防具の専用スキル「透明な探検家」を発動させた。
防具は同じモンスターの素材で統一して一式を作るとそのモンスターが使っていたスキルの一部を使えるようになるのだ。
(ちなみに「疾走」は名前の通り素早く動くことが可能になるスキルで、「透明な探検家」は幻獣スケアの素材を使った防具一式で発動する専用スキルで、見た目が透明になり、匂いや音の発生を完全に防ぐスキルだ。)
そして俺は悲鳴と咆哮の元に向かった。
俺は悲鳴と咆哮の元に辿り着いた。
悲鳴を上げていた少女は見た目からして恐らく10代前半、身なりからして奴隷だろう。
付近に大破した少し大きめの馬車と、商人のような身なりの男に騎士のような鎧を身に付けた男の死体が転がっていた。
奴隷を運ぶ途中で襲われたのか。
モンスターは蜘蛛のような見た目で、金属のような光沢を放つ外殻を持ち、8本ある足は獣のような剛毛で覆われている。
間違いない、獅子蜘蛛、キルスパイダーだ。
戦闘能力のない一般人や駆け出し冒険者では厳しい相手ではあるが、ある程度モンスターの討伐に慣れた冒険者からすれば大した相手ではない。
こいつの討伐は足を全て切り飛ばし、動けなくなったところで弱点である背中の中央部を物理攻撃なり魔法攻撃なりで叩くのが定石だ。
(ちなみに背中の中央部が弱点なのは頻繁に脱皮を行うので、脱皮の起点になる背中の中央部が常に柔い為だと言われている。)
俺は定石通りやるのは面倒なので「透明の探検家」で気づかれずにキルスパイダーに近づき、大剣に風属性の魔力を込め、縦に一振りした。
キルスパイダーは一刀両断にされ、断末魔を上げる間も無く絶命した。
「助けてくれてありがとうございます!」
「あぁ、助けられて良かった。じゃあ...」
「待ってください!私の主人になってください!」
俺は困惑した。
自分を所有していた商人は死に、隷属魔法も解除された。
奴隷として生きる必要はないはずだ。
これからは自由を謳歌できるというのに何故再び奴隷になる選択をするのか、俺にはわからなかった。
「どうして奴隷になろうとするんだ?自由の身になったというのに。」
「私は両親がギャンブルで作った多額の借金を返済する為に売られました。帰るところなんてないし、大方誘拐されてまた奴隷になるだけです。何処かの知らない変な人の奴隷になるより、あなたの奴隷になりたいと思ったんです。助けられた恩もあります。」
「どの国にも貧しい民に対する救済措置はとっているはずだ。教育や金銭面での支援、働き口の紹介などもしていたはずだ。それを利用すれば良いのではないのか?」
「そんな制度があれば嬉しいんですが、どこの国にもそんな制度はないんです。」
「なんだと...。」
そもそも魔神討伐前の時では奴隷になるのは犯罪者か戦争捕虜だった。
何年経ったのかは分からないが世界は大きく変わったらしい。
「お願いします!何でもしますから、見捨てないでください!」
「...分かった。お前を奴隷にする。名前は?」
「ありがとうございます!フロトリン・リーリアと言います!」
「リーリアか、これからよろしくな。」
「よろしくお願いします!」
そして俺は少女を奴隷として仲間に引き入れた。
俺はこの世界の地理がどうなっているか分からないので、リーリアに聞いてここから1番近い国に行こうと思う。




