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鬼神王覚醒  作者: 森豆太郎
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第88話 ◇避難所受入開始◇ 01/22

2021/11/29 避難先の演習場を分けていましたが、統一しましたので一部修正しました。

◇避難所受入開始◇ 01/22


 新しい朝がやって来た。

 ベットルームの香炉に線香を焚いて、今日は、北海道の自衛隊基地にに残っていた善良な人々を避難所に迎え入れると報告してから、下に降りて準備を始めた。


 朝飯は、鹿島基地の食堂でモーニングセットを頼むことにして、とりあえず【瞬間移動】した。


 食堂に着くと、緑川さんがトレーを受取っているところだった。


 「おばちゃん。目玉焼きのモーニングセット、コーヒーで。緑川さん。おはよう。」


 「はいよー」


 「おはようございます。」


 「出来たよー。」


 俺もおばちゃんからトレーを受取って、緑川さんが待っている席に座って一緒に食べることにした。


 「今日は、北海道から避難民を受入れる日ですね。」


 「そうだ。矢臼別演習場から15時開始だ。朝の会議でも話すが、緑川さんは札幌避難所に入ってきた人間を選別して、健康診断を受けるよう手配を頼む。」


 「わかりました。」


 二人でトレーを返却口へ返してから、執務室に戻った。


 9時になり幹部会議室に行くと各隊の幹部たちが待っていてくれた。


 「皆さんおはようございます。それでは、本日の避難民受入れについて説明します。


 避難方法ですが、演習場には、本日限りで臨時の[転移ゲート]を設置して札幌避難所のエレベーターホールに転移させますので、到着したら、札幌避難所の病院を始めとした各避難所の病院で健康診断を受けてもらいます。


 自衛隊員とその家族については、殲滅軍参加者は、鹿島基地へ送ってもらい、参加しない隊員たちは、そのまま一般人と同じ扱いで、病院を手配してください。


 健康診断が終わったら、順次、生活するための家を提供して、仕事の希望を聞いたり、生活方法について案内してください。


 避難開始は、15時からになります。


 現地には、山王分隊に同行してもらいます。


 何か質問はありますか?」


 と聞くと、緑川さんが手を上げた。


 「善良な人で地上に残って戦う事を選んだ人たちには、何か支援をするのですか?」

 

 「そうですねー。とくには考えていないのですが、何かありますか?」


 「早矢仕さんの考えの基本は、善良な日本人は守る。瘴気人間は切り捨てる。という事だと思いますが、間違っていますか?」


 「間違っていません。その通りです。」


 「だったら、地上に残った善良な人たちのことも守るべきだと思います。」


 「なるほど。でもそれは、本人たちが選んだ道ですよ。」


 「確かにそうです。が、自衛隊の方たちは、例え瘴気人間であっても日本人を守る。という選択をする人が、居ると思います。そんな善意の人たちを、見殺しにするんですか。」


 「それでは、こうしましょう。地上に残る選択をした善良な人たちの保護は、緑川さんにお任せします。どうしたいですか?」


 「私は、出来る限り地上に残る人達の手助けをしたいです。」


 「良いでしょう。避難所運営に支障が出ない範囲での援助なら緑川さんの判断で行動してください。但し、地上に限ります。」


 「了解しました。それでは、私も矢臼別演習場にご一緒したいです。」


 「良いでしょう。」


 「他に、ご意見ご質問はありますか?」


 ・・・・・・・・・・・・・


 「無いようなので、皆さん受け入れの準備をお願いします。山王分隊と緑川さんは、この後、14:30になったら作戦指令室1に集合してください。以上、ご苦労様でした。」





 14:30になったので、自分の装備を整えてから作戦指令室1に入ると、山王分隊長、斧寺さん、江野本さん、仁紫蔭さん、前寺さんに緑川さんが装備を整えて待機していた。


 「お疲れさまです。今日はこの後15時から、矢臼別演習場の避難民受入れを行う。住民の整理は、現地の自衛隊員に頼むので、皆は転移ゲート周辺の警備を頼む。


 十中八九、瘴気人間たちが邪魔するだろうが、避難民に混ざって来てもその時点では、手を出さずに[転移ゲート]で転移できなかった時点で、排除に動いてくれ。」


 江野本さんの手が上がった。


 「江野本さん。どうぞ。」


 「最初から排除しておいた方が、簡単ではありませんか。」


 「自分が、対象外だと認識させるためです。それを目の辺りにした周囲の人もそのように認識するから、今後の二次被害が減らせるでしょう。」


 「それは、人を明確に選別するという事ですよね。」


 「そうですね、善良な人たちを守るためにも、瘴気人間は選別するべきだと思います。」


 「私は納得できません。瘴気人間と言いますが、同じ日本人なんですから、助けてられませんか。」


 「他人に害意を持つ瘴気人間は、私の避難所には不要ですから、地上で頑張ってもらうしかありません。

 緑川さんが、地上に残る人達に援助を行っていく予定です。」


 「それでも私は、納得が出来ません。」


 「江野本さん。私が作った避難所ネットワークでは、無理やり強制することはありません。この作戦への参加するのも参加しないのも各自の意思が最優先されますので、江野本さんが考えるとおりに行動されるのが、良いと思いますよ。」


 「わかりました。私は今回の作戦で、避難所に戻らず地上に残って戦うことにします。」


 「山王さん。という事なので、後で人員の補充をしますので、よろしいですね。」


 「了解です。」


 「それでは、矢臼別演習場に向かいましょう。これが今回使う[転移カード]です。」


 と鹿島基地、札幌避難所、矢臼別演習場が指定された[転移カード]を6人に手渡して矢臼別演習場に転移した。




 矢臼別演習場では、十三桜陸将たちが、出迎えてくれた。


 「早矢仕さん、先日は、防護壁と武器弾薬をありがとうございました。無事に奴らを撃退することが出来ました。これで市民の皆さんを守れます。」


 「それで、避難する人数は、どの位になりそうですか?」


 「隊員約1万名の内、6,500名が避難します。また、市民の希望者が約7,000人ですが、そんな人数を受入れ可能でしょうか?」


 「問題ありません。市民7,000と言ってもほとんど、避難できないでしょうから。」


 「それは、どういうことですか?」


 「瘴気を出している人間は、避難路を利用できませんから。それでは、避難を開始しましょう。」


 と宣言してから、建屋前の道路に[転移ゲート]を作り出した。

 当然だが、[転移ゲート]は、【加護(天)】を付与されていないと利用できないようになっている。


 「みなさ~ん。お待たせしました。これより避難を開始しますので、順番に道路に並んで、この印があるところを踏み越えてください。


 転移した先で、係員が待機していますからその指示に従ってください。


 最初に皆さんの健康診断を実施してから、住まいに案内されます。


 時間は十分ありますから、慌てず押し合わず、他人を思いやって行動してください。それでは、どうぞ。」


 と言ったそばから周囲の迷惑になるような大荷物を抱えて周りの人間をかき分けて、やってきた家族が居た。


 「早くいかせてくれ。金ならいくらでも払う。」


 と汗まみれになりながら、諭吉の札束を見せてくる男と女とその子供らしき3人。当然だが瘴気人間家族だった。


 「これは、これは、大きな荷物を抱えて大変だったでしょう。他人に悪意を持たない善良な人間ならば、このまま進めば避難所に到着しますよ。

 但し、他人に悪意を持っていた場合は、そのまま道路の上を進むことになります。


 さあ、どうぞーーーー。」


 当然だが、この家族は、ただ道路を歩いただけで何も起こらなかったので、騒ぎだした家族を山王さんに合図して排除してもらった。


 「お待たせしました。この方たちの様に他人に悪意を持った人は、同じように道路を歩くだけになりますからご注意くださーい。」


 そう言うと、小さな子供を抱えた家族や老人を支えている家族などが、次々に[転移ゲート]で札幌避難所に向けて消えて行った。


 当然、家族だけが転移して自分が残ったり、家族が残ってしまったので、これでもかと言うくらいの喜怒哀楽(喜怒哀楽)を振りまく人達が、残っていて、悲喜交々(ひきこもごも)だ。


 本当に残念な状況だが、良い見本を見せたのに懲りない瘴気人間の自業自得なんで、そんな連中は、前例に倣い山王さんたちに、さっさと排除してもらった。


 本当に時間の無駄だからやめて欲しい。瘴気人間だけに正気を保てないようだ。


 一般人が終わると迷彩服を着た自衛隊員とその家族たちの番だが、自衛隊員といえどもパワハラ・セクハラなど他人に悪意を向ける隊員は、居るもので、同じように家族だけが転移して自分が残ったり、隊員は転移したのに家族が残ってしまったりした。


 (早矢仕さん。久久能です。こちらに転移してきた人で、家族が地上に残ってしまったので、戻りたいと言う人が大量に出てます。どうしますか?)


 (そんなにですか。仕方がありません。地上に戻ることを希望する人たちは、地上に戻しましょう。これから札幌避難所に戻って、こちらに戻るための[転移ゲート]を作りますから、希望者は、地上に戻すので、そのまま待っているように伝えてください。)


 (了解しました。)


 「十三桜さん。どうやら避難所から地上に戻りたいという人が、出ているようです。私はこれから避難所に戻って、ここに戻るための[転移ゲート]を作ってきますので、もう一度受け入れてもらえますか。」


 「はい。元々こちらに居た人たちですから問題ありません。こちらに残ってしまった人たちにもそのように伝えて良いでしょうか?」


 「どうぞ教えてあげてください。」


 十三桜さんから、避難所から戻ってくる人が居ると説明すると、喜びの声が聞こえて来た。


 地上に残ることが、危険だと分かっているのに、戻ってくると聞いて喜ぶ意識が理解できない。


 本当なら、自分以外の家族が安全なところに逃げられたことを喜ぶべきじゃないのか。と思う。


 残った人たちの列は、しっかりと整列して次々と転移して行く人と残ってしまう人に分かれて行ったが、やっと最後の一人が[転移ゲート]を潜ったので、避難所行の[転移ゲート]を消して空江陸将補の所に向かった。


 「十三桜さんは、避難しないのですか?」


 「ここに残った隊員たちは、地上に残る日本国民を守ると覚悟を決めた者たちです。そんな仲間を残して私が避難することなど出来ません。」


 「流石は、世界に誇る自衛隊ですね。緑川さん、こっちに。


 十三桜さん、こちらがこれから皆さんのサポート兼連絡係をすることになった、緑川 瑠璃子です。


 これからもちょくちょくお邪魔すると思いますので、何でも相談してください。」


 「こんな若い女性が地上に出て危険じゃないですか。」


 「大丈夫です。当然、地上に来るときは単独ではなく同行者を付けますし、彼女自身もスナイパーとしては超一流ですから問題ありません。それでは、また後日という事で、・・・・・・


 「わかりました。これからも早矢仕さんの援助を受けられるのですね。それを聞けて安心しました。正直言うと心細かったんですよ。」


 「申し訳ありませんが、援助と言っても大したことは出来ないと思いますよ。」


 「それでもです。孤立無援(こりつむえん)で消耗していく事を考えれば、とてつもない安心感なんですよ。」


 そうだ。今日避難所に受け入れた方の中で、やっぱり地上が良いという方が居ましたら、地上にお連れしますので、その際は、面倒を見てあげてください。」


 「当然です。」


 「山王さん、ここは撤収してください。」


 「了解しました。撤収!!」

この小説を見つけ出して読んでいただけた皆様、ありがとうございます。

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