第17話 ◇決意◇ 08/01~
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◇決意◇ 08/01~
霧島避難所から菱刈鉱山を結ぶ連絡用回廊をつなげて地上に戻った時に博子からの着信と留守電が残っているのに気が付いた。
大深度地下でゴリゴリ作っていたので、地上に戻って圏内になったので留守電を確認すると、
「8/3-4の土日で両親が東京に来るので、会えませんか?」
という内容だったので、すぐに折り返し電話をすると
「会えなくて寂しい。少しは会って二人の時間をゆっくり過ごしたい。」と涙声で訴えられた。
言われて気が付いたが、最後に会った送別会から半年も過ぎていた。
最初のころは、毎晩のように頻繁に電話を架けていたが、やるべきことが次々と重なってしまい、特に連絡用回廊を作り始めた4/25以降は、電波も届かない大深度地下にほとんど潜りっぱなしで、現場に寝泊まりするような生活をしていたので、3か月以上電話を架けることを忘れていた。
「連絡しなくてごめん。
本当にごめん。
日本国中の地下に潜って作業していたら夢中になってしまったんだ。
もう半月もしたらひと段落するので、そうしたら少しはゆっくりできるようになると思うので、それまで待っていて欲しい。
週末は、必ず予定に入れて会いに行くから待っててほしい。
何時でも伺うようにするし、これまでの埋め合わせも後で必ずするんで許してほしい。
俺も博子に会いたかった。」
と本心から謝った。
「そこまで言うならしっかりと埋め合わせしてくださいね!!
両親は、金曜から泊まりに来るから何時でも大丈夫だよ。」
と機嫌が直ったようなので、10時に訪問することにした。
◇初顔合わせ◇ 08/03
博子と約束をしてから2日が過ぎた、その間、高千穂中継所から宮崎中継所への連絡用回廊87kmを通し終わり残りは、宮崎中継所⇔霧島避難所と熊本中継所⇔霧島避難所最後に霧島避難所から那覇中継所までの858kmだけとなった。
お土産を買うために宮崎中継所近くの和菓子屋に9時になるのを待って行ったら、おいしそうなラインナップが出迎えてくれたので、色々悩んで時期的に涼菓か良いと思い水羊羹と梅ゼリーにマンゴーゼリーの各4個詰め合わせセットを購入し店を出たのが9時半になってしまった。
一旦、宮崎中継所に戻ってから【無限蔵】に入れてあったスーツに着替えてから、石川台の東中公園に【瞬間移動】したのが、9:45分だったので、のんびり歩いて博子が住むアパートへ向かった。
アパートについて、門扉を空けて外階段を上っていき扉の前に立ちRINOMAの腕時計を見ると9:57分だったので、深呼吸を3回してインターフォンを押すと博子が扉を開けて出迎えてくれた。
「いらっしゃい。」
「お邪魔します。」
扉があくと右にキッチン台があるLDKとなっており奥には、御両親とお兄さんが待っていた。
玄関は、靴が3足並ぶと一杯になるこじんまりとしたものだったが、そこには博子の靴しかなかったので、靴を並べて脱いだ。
ご両親たちが待っている奥の座卓まで進んでいき
「はじめまして、本日はお時間をお取りいただきありがとうございます。
博子さんとお付き合いしています刃矢仕 潤と申します。
こちらは、宮崎の和菓子屋さんで買ってきた涼菓ですので、冷やして皆さんでお食べください。」
と博子にお土産を渡すとお母様から
「こちらこそ、ご丁寧にありがとうございます。
宮崎と言うのは宮崎県ですか。」
「はい。今朝まで宮崎神宮の方におりましたので、そちらのお店のものです。」
と話してみたが、博子をはじめとして何か雰囲気が重い感じがする。
御両親との初顔合わせのせいなのかと思い話を進めることにした。
「改めまして、自己紹介をさせていただきます。
私は現在29歳で、今年初めまで博子さんと同じ法人で勤務しており、昨年、博子さんと出会い結婚を前提にお付き合いしております。
今年初めに11年間務めた法人を退職いたしまして、現在は、五反田に本社を置く王我商事を立ち上げまして、伊勢、札幌、熱田、霧島、諏訪の倉庫兼事務所に事務員を5名雇用して取締役社長として日本全国を飛び回っております。」
「そうですか。
潤さん、あなたは娘の博子との結婚をどう考えているのですか。
今の段階では、あなたとの結婚を認めるわけにはいきませんよ。
おまけに今回は、娘からいきなり『危険になるから避難するようあなたから言われたので、家族4人で避難したい。』と言われて大変戸惑っています。
百歩譲って危険な状況になるとしましょう。
だからと言って私も息子も避難しろと言われても簡単に放り出せるような仕事はしていませんよ。
大事な娘があまりにも必死に頼むので、娘の様子を見に行こうという妻のとりなしもあって、今回上京しただけで、避難なんかできませんよ。」
と言い出したのです。
これは、踏み込んで話さないと駄目だと思って説明をはじめました。
「先ほど申し上げた王我商事は、表向きに使っている会社でして、これからお話しすることは、決してこの場に居ない方へは他言しないでいただきたいのですが、皆さんよろしいでしょうか?」
と確認し了承が得られたので、続きを話し始めた。
「私の素性ですが、鬼神という日本に古くから存在している一族の長をしております。
表には出ない一族なのですが、現在、八百八十万強の配下を地下で動かしております。
また、協力関係にある神狐一族と呼ばれる2万余の協力者とも連携して行動しております。」
「八百万の配下とか君は何を言い出すんだね。
私の会社だってグループ企業を合わせても従業員は、2800人しか居ないのに
おまけに2万の協力者だと言うのかね。」
「お父さん、私も協力者と言う人とは、会ったことがあるんだよ。
潤さんは、本当のことを正直に話してくれているんだから信じてあげてよ。」
「確かに私が今お話ししていることは、普通に考えればあり得ないことだと私も理解していますが、私の知り得た情報から年明け早々にも地上は、大変危険な状況になります。
そのために私と私の一族は、日々、日本各地に散って避難する場所などを作っているのです。
もし、お時間をいただけるのであれば、この後、避難所などをご案内しますが、お父様方のご都合は如何ですか。」
「残念だが、私も息子も午後から仕事が入っているので無理だな。」
「博子さんは、一生の伴侶として共に生きていきたい大切な方です。
結婚させていただきたいと思っていますが、年明け早々にも命の危険になる緊急事態が起きますので、まずは博子さんが大切に思っている方たちに避難していただきたいと考えて、今回の準備をしました。
決して簡単なお仕事だと思っているわけではなく、本当に命が危険になる状態が、差し迫っているため避難をお願いしているだけなんです。
結婚のお許しをいただけてもいないのに、差し出がましいことをしたことは、お許しください。
遅くとも年末までに避難しなければ、間に合わない可能性があります。
まだ5か月弱猶予がありますので、是非とも避難の検討と準備をしていただけないでしょうか。
お願いいたします。」
とお父様にお話しして時計を見たら2時間も経っていたので、一旦引き下がることにした。
「本日はお忙しい中、貴重なお時間を取っていただきありがとうございました。
私もこの後、宮崎と鹿児島に行って作業しないといけませんので、お暇させていただきます。」
と挨拶して辞去することにした。
階段を降りると博子もついてきたので、
「今日は、ごめんね。
お父さんたちにうまく説明できなかった。
何としても博子の家族は、俺の家族でもあるんだから一緒に避難する方向で結論を出してもらいたい。
年末まで5か月もあるから、家族でもう一度よく話しあって欲しい。
納得してもらえない場合でも、最悪、博子だけでも避難所に来て欲しい。
何でも相談に乗るから困ったことがあれば、連絡して欲しい。
あと半月もしたらひと段落すると思うので、そしたら二人で楽しいデートをしよう。」
と話していたら抱き着いてきたので、少し強めに抱きしめて、デコキスしたら顔を上げてきたので唇を重ねて別れた。
肝心の家族から避難しないと拒否されてしまったので、もう一度、家族で話し合ってもらうことにして退散したが、このままだと難しいのかもしれない。
会社第一という考え方では、この先会社が存在しなくなると言っても簡単には、理解してもらえないのかもしれない。
「それはそれで、しょうがない」
と決意を新たにして、宮崎中継所に【瞬間移動】で戻ったのである。
◇悩み◇ 08/03~
宮崎中継所に着いたので、霧島避難所への53kmの連絡用回廊を掘り進めながら少し考え事をした。
避難所運営にあたって一番大事なのは、人間をどうするか?ということなのだ。
何故かと言うと人間は、様々な思考・性格・行動をする多様性があるのだが、今回ばかりは、全ての人間を避難させると、地上と同じように瘴気の濃い人間、即ち他人や他国を不当に蔑んだり、恨んだり、陥れたりする等の悪感情を抱く汚い人間が残ってしまうことになる。
せっかく、魑魅魍魎を始末するのだから同じように瘴気まみれの人間は、地上に残して切り捨てようと思う。
幸いにも鬼神王の持つ【真眼】を使うと、心に害意を持った人間を見分けられるので、事前に瘴気まみれでない人間だけに避難所へ入るための【加護(天)】を付与しようと思う。
富士山の封印が壊れる前に加護を与えた人間だけに、周囲に黙って最寄りの避難用出入口から避難するように【思念伝達】を飛ばして、各地の出入口経由で集まった人々を、5か所の避難所で保護すれば良いだろう。
そのために各都道府県内に10ケ所(東京は20ケ所)の結界付き避難用出入口を作ったのだから。
万が一、加護が無い人間が来ても結界には、入れないようにしている。
日本国内にいる中国系や朝鮮系の人間には、両国政府に都合が良いように歪曲させた歴史認識を元にした日本に対する憎悪教育が浸透しすぎているためにこの際、割り切って地上にそのまま放置することにした。
とはいえ生き残るのも居るだろうが、蟲毒のように最悪な人間しか残らないかもしれないが、無視しようと割り切った。
本当に残念だが選べる善良な人間が居ないのだ、善良な日本人と一緒に避難させても問題を起こすのが目に見えているので、致し方のないことだと割り切った。
次話 ◇ありふれた日々◇ 08/15~
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