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十話目



 昼食を食べ終わったので、一旦ギルドに顔を出すことにした。

 

 気が早いとは思うが、指名依頼が入っているかの確認もしなければならない。


  

 宿から、徒歩数十秒の場所にある冒険者ギルドに着いた。


 「ちょっとチヒロ君!?大丈夫だった?」 

 

 ファミレは前回と大して変わらない反応をした。

 俺が来ると、受付から身を乗り出さないといけない呪いにでもかかっているのだろうか。


 「あぁ、なんか領主さまが、ドラゴンの死んだ証拠を見せろとか言い出すもんだから、ドラゴンの頭の中身ぶちまけてきた。なんか失神してたぞ。」

 「なんてことをしてんのよぉ!」


 受付かのカウンターから、上半身どころか下半身まで乗り出してきた。

 体幹が強すぎではないだろうか。


 「そんなに驚くことか?」

 「そりゃあそうよ!領主さまって、この街で一番偉いのよ!?」

 「そんなに怒んなくてもいいと思うんだが。」

 「……領主さまはその気になれば、多分チヒロ君を簡単に殺せるんだからね?」


 …簡単に?え?ドラゴンをの脳みそ見せられて失神した奴が、簡単に?

 

 「無理だろ。」

 「なんでそう言い切れるのよ!?」

 「俺以外に、ドラゴンをただの槍の投擲で倒せる奴っているのか?」

 「……そう言う問題じゃなくて…。」


 ファミレは、受付の椅子に座ると、頭を抱えてそう言った。


 「あぁ、そうだ。指名依頼は来てるか?」

 「いえ、まだないわ。チヒロ君は、ランクはあるけど、知名度はないからね。」


 仕事になると落ち着くのか。

 …バイトの時の俺を思い出す。


 「そんなもんか。じゃ、草原の方でブラブラしてくる。」

 「あぁ…そう…。なんで私に言うのよ。」

 「?…だってファミレ、俺の専属だろ?」

 

 俺がそう言うと、ファミレは顔を赤くして俯いた。


 そこまで反応することか?とか思いながら、草原の方に向かった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 

 

 なんの問題も無く、草原にたどり着くことができた。


 …ここまで歩いてきた訳なのだが、街の冒険者は全員武器を持っていた事に気付いた。

 中には、武器で本人が分かるような冒険者もいるらしい。


 そう考えると、俺にも武器が必要だと思う。

 だって俺、下手すればローブ着ているただのチビだし。


 象徴となる武器が必要…だが、槍を投げた時に気付いた。

 俺が握ると柄が潰れる、ということに。


 普通どれだけ力を入れても潰れるはずが無い柄が、潰れた。

 その辺の石でさえ、握れば砂になった。


 俺に、武器は使うなということだろうか。

 

 

 なんかもう、土固めて、団子に投げたほうが良い気がする。

 

 …土を固める?ってことは、もう潰れないところまで固めるんだろ?

 てことは、これで剣作ればいいんじゃないか?


 土で作られた武器が代名詞になってもいいや。


 ……さて、できるだけ固めるためにどうするか。

 手作業でするにも時間かかるしな…。


 なんかこう…一気にバーッとできる方法ないかな…。


 

 魔法があったな。

 

 なんだっけ、想像力と魔力だっけ?

 生憎どっちもあるから、試してみるか。


 まずは、1メートル四方の大きさの、土の立方体を地面から取り出す。


 そうイメージすると、俺の想像通りに土の立方体は地面から浮いた。


 それを固める。これ以上は無理だというくらいに固める。



 ミチミチィ!という音を立てて、土は圧縮されて最終的に10センチ四方の立方体になった。

 長さとしては、10分の1だが、体積で考えると、1000分の1だ。


 …これは10メートル四方の立方体でする必要があるよな。

 という訳で、10メートル四方の立方体を取り出す。


 さて固めよう。 

 ギチギチギチギチィ!というどこか台所の悪魔みたいな音を出しながら、土が固まっていく。

 

 音がしなくなったところで、更に固める。

 

 下の方から、水滴が落ちていく。

 水が垂れなくなるまで待つのも面倒だし、もっと固めよう。


 段々水が抜けていき、最終的には1メートルよりも少し小さくなった立方体になった。


 …武器ねぇ。剣は片手剣でいいとして、遠距離をどうしようか。 

 弓…じゃないし…銃か?銃だとなんか象徴になりそうだな。


 なんでこんなものが作れたんだって聞かれたら、記憶が戻ったとか言えば良いし。


 まぁいい。まずは剣だ。


 柄の部分を含めて60センチ程度の、ありふれた片手剣を想像する。

 すると、立方体の中から剣が出てきて、俺の足元に落ちた。


 次、銃。


 まぁ、アサルトライフルあたりでいいか。一番想像しやすい。


 土だが、アサルトライフルが、俺の足元に落ちてきた。

 まぁ、弾もないとダメだし弾も作るか。

 

 残りの土全部使おう。

 

 普通の弾は先が丸いが、今回想像したのは先が尖った弾だ。

 空気抵抗が少ないほうが良いし、尖っていないと貫通してくれないはずだ。


 浮いていた土が全部、弾となって俺の足元に落ちてくる。



 弾はアイテムボックスにしまった。



 さて、剣は握っても大丈夫だろうか。

 

 お?中々力を入れても潰れる気配がしない。

 成功だな。

 


 じゃ、銃の性能テストか。

 …あ、火薬どうしよ。魔法でどうにかなるか。


 アサルトライフルに弾を込める。

 

 「…うまく行ってくれ…!」

 そう言って、引き金を引く。



 まぁ、魔法で撃つわけだから引き金なんて何の関係も無いのだけれど。


 魔法で壊れませんように。 


 そう思いながら、魔法を使って火薬の代わりに爆発させる。

 あれ?魔法で爆発できるんだったら魔法そのものでよくね?とか思ったけど、魔法を使って弾の推進力を得る。


 「お、いけた。弾の速さ目に追えないぐらい速いってなかなかだぞ。」 


 と、銃の出来に満足していると、後ろから声が掛けられた。


 「お前がチヒロだな!?」 


 ……またこのパターンかよ。




誤字脱字等があれば報告お願いします。


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