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子熊のせかい  作者: 日野
幼少期
12/12

ライルと一緒 五日目・後




つんつんと、突かれ目が覚める。

起こしてくれたのはでかくて黒い鳥だった。おれより大きいから目の前にいた時はびっくりした。



『お前、変な感じがするな』



そんなことを言われて思わずじっと見つめ返してしまった。内心なんだか落ち着かなくなってうまく返せなかったのだ。というか、返しようがない。え、てか喋れるの?なにそれ、もしかしておれも喋れたりする?って思ったら察しの良い鳥さんは頷いた。



『相手に向かって伝えようという意志があれば出来る』

『えー、なにそれアバウトー』



て言って固まった。今できたじゃん自分!やればできるじゃんおれ!



『生まれたばかりにしてはやるな』



そーなんですよ、おれまだこの体なって全然経ってないんすよー。と完全に舎弟気分だ。鳥さんまじイケメン!かぁっくいー!

そんなおれの言葉は届いてなかった。やっぱりまだまだ生まれたてのひよっこみたいだ。無念。


鳥さんに起こされてからは話の練習をしつつライルたちの話に耳を傾けた。気になることがあれば鳥さんが説明してくれた。まじリスペクトっす鳥さん!

ちなみに鳥さんの名前はセブルというらしい。最初に言ったぞと怒られたけど、子供だと言うこともあって大目に見てもらえた。セブル何気にあまあまだった。



『セブルはいつからミラノといるの?』

『あいつがまだ10代の頃からだ。学園というところに行っていたな』

『学校あるんだやっぱり! ライルは行かないのかな』

『今は休みの時期だったと思う、そのうち行くのではないか?』



やっぱり学校あるんだ。まぁ、王様の息子ってなると、家庭教師みたいなの家に呼ぶことだって出来るだろうけど……これ偏見かな。なんかごめん、ライル。



『ただ、学園は今の時期のように長期の休みは帰省できるが、それ以外は学園の所有する寮に住んで基本的に外出は認められていない』



えーなにそれ幽閉みたいだなあ。



『ん? じゃあセブルはどうやってミラノと出会ったの?』



出られないのなら、セブルとだって出会えなかったはずじゃないのだろうか。



『ミラノは特殊だったんだ。学園にいた頃から研究体質で、隙を見つけて外へ脱出しては珍しい生き物を探しに行っていた。ひと月帰らないことはザラだった』

『それでセブルとも出会えたんだ』

『あぁ』



なんというかミラノさん、行動派といえば良く聞こえるけど脱走癖がなぁ……学者ってもっと机に向かっているイメージがあったけど、もしかして特殊ってそういう意味?


その辺りからもうおれは完璧に話し方をマスターしていた。セブルにも褒められ、調子に乗りやすいおれは天狗になった。かっこいいセブルに褒められたらそりゃテンションも上がるってもんよ!


話もだいたい終えた頃、ミラノとセブルが帰る時間になった。帰るときミラノが「何かあったら適当に呼んでください、すぐに飛んできますので」と爽やかな笑顔で去っていった姿はさながら鳥のようだった。


一人と一匹が帰った頃には丁度お昼の時間になっていた。おれの城での楽しみは食事と寝ることぐらいなので、早く部屋に戻って食べようと急かすため椅子に座っていたライルの足に体重をかける。


けれどライルは何やら考え事をしているようで気付いていない様子。真剣な表情で何か考え込んでいる。おれがセブルと話をしている間、ミラノとの話の中に何かまずい事でもあったのだろうか。

ライルはよく一人で考え込んでいることがある。おれにはライルが何をそんなに考えることがあるのか、いまいち分からない。ライルは真面目なんだと思う。もっと楽に生きればいいのにと、いつも思う。そうもいかないのだろうけど。


しばらくじっ、と見つめているとよくやくライルが気付いたようで「なんだ?」と言われた。


それはおれのセリフだ、はよ昼飯食おうぜ。とさっきセブルと練習した話し方をやってみたが、伝わらない。分かってはいたけど、あれは対聖獣用だったみたいだ。


でも、今回の話し合いでおれは“ある”知識を得たから良しとしよう!



ブックマーク・評価、嬉しいです。

ありがとうございます。


更新が滞ってしまっていて、大変申し訳ありません。また止まるかもしれませんが、気長にお待ちいただけたら幸いです。(H29.7.2)

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