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ハニーポット  作者: 指猿キササゲ
$4$ 刹那の生
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#11 朱莉


 授業中、いつも薫が仏頂面なのは、朱莉にとっては日常である。

 だが、今日のそれは、いつもと違っていた。普段の不機嫌さが、諦めているようなそれなら、今日の仏頂面は、何かに悩んでいるようだった。どこか上の空なのだ。

 ――ますます分かんないなぁ……。

 先週は折り鶴を教えて欲しいと言い、なにかあったのかと思った矢先にこれだ。朱莉としては、薫の事が少し心配だ。

「どう思う?」

 昼休み、朱莉は美羽に相談した。今日の薫は、昼食を済ませた後、ふらふらとどこかえ消えてしまった。

「確かに、様子が変だったわね。人の話を真面目に聞かないのはいつものことだけど、今日は何か、思いつめている感じだったし」

 やはり、美羽も同じように感じていたらしい。朱莉は心配を共有できた安心から、捲くし立てるようにして喋る。

「やっぱり、相談に乗ってあげた方が良いかな?」

 どうかしら、と美羽は朱莉の言葉の真意を理解した上で、否定的な見解を述べる。

「あの人にだって、あの人なりの悩みがあるのよ」

「それはそうだろうけど……」

 朱莉にだって、人に言えない悩みの一つ二つはあるし、薫にそれがあるのも、承知しているつもりではあった。

「だから、少し様子を見て、良くなりそうに無かったら、声を掛けてみたら?」

「……そうだね」

 美羽の意見は最もだと思い――朱莉は、了解した。

 手遅れになってはいけない。けれど、あまりにも一々心に触れるのは、それはそれで厚かましい。あくまで助言は『相手に良くなって欲しい』という思いでやるべきだ。『相手が自分の影響で良くなって欲しい』という自分勝手な都合でやるべきではない。

 最善は、薫自身が、自分の力で解決することなのだから。

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