83 クリス・ミーン 2
お久しぶりです!!遅くなりました。
私は剣を持ってサリーを連れて外に出ました。天気は良く丁度お昼を過ぎた所でしょうか、太陽は真上より少し傾いて輝いていました。
「馬車を出してきますので少しお待ちください」
「分かりました」
サリーは馬車小屋に馬車を取りに行く、サリーは馬車の運転もできる。ここから馬車で三十分くらいで冒険者ギルドに行くことができる。
ガラガラガラ
馬車が近づいてくる音が聞こえるサリーが馬車を持ってきたのだろう
「お嬢様馬車を持ってきました、お乗りください」
サリーは御者台から降りると馬車のドアを開けてくれた。
「ありがとう、サリー」
「どういたしまして」
私は馬車の中に足を踏み入れ椅子に座った。この馬車は四人用なので一人だけだとのびのびと足を伸ばすことができて過ごしやすい。
「それじゃ出してくれる?」
私はサリーに馬車の窓から出してくれるように頼んだ。
「じゃあ出しますね」
サリーは馬を走らせる。
道はしっかりと舗装されていて馬車が揺れることは少なくて、のんびり過ごすことが出来た。
「着きました」
サリーが馬を止めて馬車のドアを開けてくれる。私は降りると冒険者ギルドのドアを開けて入っていった。サリーは馬車をギルドの馬車小屋に止めに行ってくれる。
「お邪魔するわ」
私の姿を見ると誰もが苦笑で迎えてくれた。今度は誰がプライドをズタズタにされるのかと笑って気の毒がっているのだろう。
最初に私がここに来て勝負を申し込んだ時は、貴族しかも女ということで舐められていた。冒険者たちはその強さでご飯を食べているのだ、それを温室育ちの貴族しかも女に。この女の伸びきった鼻をへし折ってやる!!そのような感情で多くの冒険者たちは私と戦った。
そして負けた。冒険者達はこてんぱんに負けたのだった。
最初私は貴族だから手加減しているのかと思ったのだが……そうでは無かったらしい。全員本気で最後は殺す気で私と戦っていたのだが手も足も出なかったと後で語ってくれた。
負けた冒険者はことごとく自分たちの強さと言うプライドが砕け散り、一部の負けた冒険者が宿に引きこもってしまったという話も私の耳に入ってきた。それからも時々来て強者と呼ばれる者と戦った、そしてそのプライドをズタボロにしてしまったのだ。
一時期心配になって冒険者にギルドマスターに聞いたところ
「自分の強さに過信して無茶をする奴が減ったから別に構わない」
と言う事だった。
そして冒険者とは強さをお金にしている集団である、強いものには敬意を払うのが暗黙の了解、彼らの掟のような物になっている。
そんな感じで私と冒険者の関係は良好になった。
「で噂の強者とは一体どこにいるの?」
私は周りを見渡して全員に聞くと全員一斉に受付で会話している男を指差す。後ろ姿は男は私と同じくらいの容姿で黒い髪に身長は165ぐらいで、背中に一本、腰に一本剣を剣を持っている。
この男は二刀流なの?でもそれにしては剣の大きさは両手剣。普通は両手剣で二刀流をやらない、まともに剣を振るうことに出来なくなるから。それとも両手剣を片手で扱えるのかしら?腕を見る限りそんな力は無さそうだけど……。手合わせすれば分かるわね。
「すいません、そこのあなた」
私は男の肩に手を置いてこっちに向かせる。
「え、何ですか?」
「すいませんがあなたと手合わせがしたいの。付き合って貰えますか?」
「えっと、あなたは?」
男は困惑したようにこちら向く。私は男の顔を見て驚いた、男はとてもじゃないけど冒険者だと思えるような顔をしていなかった、何というか知性を感じさせる顔で戦いと言うものを一切感じさせない。
「私の名前はクリス・ミーンです」
「俺の名前はクラフトだ。よろしく?」
やはり名前を聞く限り平民か、それにしては礼儀正しい。
「それで答えを頂きたいですけど……」
「なぜ手合わせを?」
「趣味みたいなものです、あまり深く考えなくて良いわ」
「そうですか……別に構いませんよ」
「ありがとうございます。訓練所を借りますね」
受付嬢にそう言ってギルドの訓練所に私たちは向かった。
次回にはクリスのステータスを出そうと思っています。




