81 晩ご飯
俺の平和はすぐに終わってしまった。夕方になって周りが騒がしくなった。大きく欠伸をして体を伸ばしす。
「起きたー」
「猫が起きたよ」
「起きた起きた」
やはりというべきか俺の周りには妖精が沢山周りを飛んでいた。さっさと消えて貰うために全身から魔力を噴出させた。
これを食べてさっさと帰ってくれよ。
俺はそれを願って魔力を出し続けた。昨日よりは数は少なくて一分程度で妖精は全員消えた。これで俺は今日何も無いはずだ。俺は安心しているふと頭に疑問が過ぎった。
そう言えばなんで今日は俺にちょっかいを掛けて来なかったんだろう?
その疑問の答えをすぐに知ることになった。
「あいつらーーーー!!」
そこにはからの桶が転がっていた。俺にちょっかいをかける代わりに魚にちょっかいを掛けていたみたいだ。魚はどこに消えたかは分からないが、問題なのは今日の俺の夕食が無くなっているという事だ。
すでに空は暗くなってきていて魚は取れなくなってきている。
「くそったれーーーーーーー!!」
俺は叫んで森の中を猛スピードで走り回って食べ物を探した。
トントン
俺はリリアン達の家のドアを叩いて中に居るであろう誰かを呼んだ。
「は~い」
中からカナリアが返事をする。
「今開けますよ~。あら白猫さん?」
「ただいま」
「なんで赤猫さんになってるんですか?」
全身の毛が真っ赤に染まっているからなとても白猫と言えないだろうな。
「それは良いからあそこにあるものから食べれる物を教えてくれ」
俺はそう言って顎で玄関先を指した。カナリアは完全に玄関を開けて玄関先に目を向ける。
「まあまあこれは……」
玄関先には俺が狩ってきた鳥系の動物が大量にまとめられて置かれていた。ちなみに全員頭は無い。怒りに任せて攻撃したので全部吹っ飛んでいった。そのせいで俺は全身が真っ赤に染まった。殺すと同時にアイテムボックスに収納したから血のことを忘れて玄関先に出したことで出して返り血を全身に浴びたのだ。
「モンスターも入っているのですよ~」
そう言って俺が狩ってきたものの周りを歩いて感心したように言う。
「でどれが食べれそうだ?」
「これとこれとあれとそれとこれも食べれるのですよ~」
「ほかのはダメなのか?」
「そうですね~毒があるから余り食べるのをおすすめしませんね」
「毒か~」
一応毒耐性を持っているが進んで食べようとは思わないな。
「分かった、ありがとう」
「どういたしましてなのですよ~」
カナリアはそう言って家の中に戻っていった。
「いらない物は焼却処分かな。精霊よ地面に穴を」
言葉のとおり大きな穴が開ける。そこに食べられない物を落とし、精霊魔法で燃やした。燃やしたあとは土を被せる。
今食べないものはアイテムボックスに一旦仕舞った。俺が今日食べようと思ったのは孔雀みたいに派手な色の翼を持った鳥だ。木から飛び立とうとしたところを殺したのだ。大きさは俺よりふたまわり程でかい。羽を伸ばしたらもっと大きくなるかな。
俺は精霊魔法で表面の羽を一気に燃やし尽くすと皮にかぶりついた。特に味が付いているわけで無いが、血が口の中に広がった。猫になった当初はこう言った生のものを食べることに抵抗感があったが、今はそんな思いはひとかけらも残っていない。慣れてしまえば何事もどうってこと無くなるな。
一匹丸々食べてしまった、骨なので食べる部分が少ないところあったからだろうな。
「ごちそうさま」
俺はそう言って口の周りを一舐めして、自分の体にフレッシュを掛けて血を綺麗にした。
ちなみに食べ残った部分は土中だ。玄関先はしっかりと精霊魔法で血を洗い流した。
次回は希望があった猫が居なくなってあの人は今どうなった?
をやります。




