119 事件、事件、また事件 その2
主人公は人型です
エルフの村の中がかなり騒がしくなる、一体何があったんだ?突然全員が何かに気づいたようだが、俺には分からない。
家を見るとカシムとカナリアの気配は家には感じられず、玄関のドアを開けて家の中に入ると食堂にはリリアナとエリカが不安そうになりながら座っていた。
俺が帰ってくると嬉しそうな顔をして、向かい入れてくれた。
「お帰り、アル。ねえ、外で一体何があったの?いきなりこの村を囲っていた魔法が消えたのよ」
「そうなのか?」
そうか、だからこんなにエルフの村の中がこんなに騒がしいんだ。魔力感知系のスキルは取っていないから、俺には分からなかったが。
「と言うかお前らには分かるのか?確かお前らも感知系のスキルは持っていなかっただろう?」
「ん~確かに持って無いけど……何となく分かるわ」
「長い間この中に居て、外に出たりすると感じるよ。産まれてからずっとあるからそれが突然無くなるのは結構分かるよ。私たちも最初外に出た時にも感じたよ。でも普通の魔法とかは感じられないけどね」
リリアナとエリカが説明してくれたことで謎が解けた。しかし、まだ解けていない謎がある。
「どうして突然魔法が消えたかと言う事だが……」
俺の発言で最初の質問に戻り、二人は俺の次の言葉を固唾を飲んで待つ。そして……
「知らん」
そう言った途端二人は体勢を崩した。
「知らないの?」
リリアナが残念そうな声を出す。俺が知っていると思っていたようだ。俺はそんな残念そうなリリアナの言葉を意に返さず椅子を引いて腰を掛けた。
「知らないに決まってるだろう、魔法が消えた事さえ知らないんだから。村が騒がしくなった事は分かったけどな」
「そりゃ村全体がこれだけそわそわしてれば誰だって気づくでしょうね…」
俺の言葉に呆れたようにリリアンが突っ込みを入れる。おっしゃる通りです、はい。
「それにしても何で突然魔法が消えたんだろうね」
「さあな」
エリカの言葉に適当に相槌を打って俺はその話題から離れ、お昼ご飯について聞くと……
「お母さんはお昼を作れないって言ってたよ」
何だと?!昼ごはんが無いだと。こっちは運動してお腹がぺこぺこなのに。
「そう言えばお稲荷さん作ったって言っていたから、みんなでそれ食べようよ」
な、なんだちゃんとあるじゃないか、食べる物。
俺とリリアナは目線でエリカの意見に賛同したことを伝えると、エリカがお稲荷さんをテーブルに持って来てくれた。
一つ摘まんで口に含んだ。
「味付けが一段と美味くなったな」
「うん」
「お母さん結構この料理に嵌っていたからね」
俺たちが作ってあったお稲荷さんをほとんど食べた頃にこの家に一人の意外な訪問者が現れた。
「爺さん、何しに来た?」
「お主たちのに相談があっての?呼びに来たのだ」
長老がこの家を訪れたのだった。実は爺さんがあの家から出て村に姿を見せることは滅多に無く、村の方針を決めるときも村長が長老の家に行くようで爺さんは世捨て人みたいな生活をしていいるそうだった。そして村長の家を訪ねるのも決まった人しか出来ないのだ。そんな爺さんが村に来ると言う事はただことではないと言う事だ。一体何があったのだろう?そしてもう一つ気になるセリフがあった『お主たち』と言う事は……。
「こいつら二人もか?」
俺はリリアナたちを見て聞いた
「え?あたしたちも」
リリアナとエリカはお互いに顔を見合わせた。それはそうだ、こいつらは長老から相談されるような関わりも知識も無いのだから。
「まあ、ここで話すのも何だ。ついて来てくれ」
察するにここで余り話せる事では無いみたいだ。俺は長老の真剣さに断ることは出来なかってついて行くことにした。
俺たちは村長の家の会議室みたいな部屋に通された。そこには大きくコの字に机が並べられそこには多くのエルフが座っていた。当然と言えば当然だが族長もいる。族長は一番奥の俗に言う誕生日席に座っている。族長は俺たちが部屋に入ってきたことには気づいた物の驚きはしていたが別段それ意外の非難などの感情は含まれていなかった。この場所にいる事を一番嫌がると思っていたのだが。
「長老も来ましたので話を始めましょう」
俺たちは長老の隣に座り、話し合いが始まった。
「まず今回の事件についてです。みなさんご存じの通り、我々の村を囲っていた魔法を解けてしまいました」
「一体何があったんですか?」
女性のエルフが早々と質問をする。ここにいるエルフの大半が理由を知らないようだった。
「それついてはもう一つ、お話ししなければいけない事があります。人間の来訪です」
その途端この場がざわめ始める。まあ、最悪な時に人間が来たもんだ。
「くっそ、こんな時にどうして!!」
全員の気持ちを代弁するように一人の男性エルフが、これ以上最悪な事が無いと言う感じで呻くように言う。まあ、こんな時に人間が来る何って悪夢以外の何物でもないな。
「いえ、偶然魔法が消えたのではなくて人間に魔法を消されました」
「な、何だと」
この発言で会議室の室温が一気に五度ほど下がった感じがする。この場にいるエルフの大半が顔を真っ青にしている。まあ最大の防壁が相手の意図で消されたとなると真っ青になってっも仕方が無いか。
「一体どうやって?」
「これじゃ我々は裸も同然じゃないか?!」
「どうするの一体」
「それよりもそいつらの目的は何だ?!」
「またあの悪夢の戦争を繰り返すのか?!」
「静まれーーーー!!!」
会議室は一括の声で一気に静かになり、それと同時に下がった気温も元に戻ったように感じた。
この場を静めたのは村長だった。意外な事に村長はしっかりとこの場を仕切るだけの器は持っていたようだった
「人間の目的はこの村に逃げ込んだと言う犯罪者を捕まえに来たと言う事だった」
「犯罪者だと?」
「そうだ、それが今日連れて来られた少女だ。クシア・クルジスそいつをここに連れてこい」
「分かりました」
来た時には気づかなかったが、部屋の出口の方にクシアが立っていた。クシアは部屋を出るとマリアを部屋の中に連れてきた。マリアの手首はロープによって背後に縛られていた。マリアはこの部屋の中央に連れて来られる。
「それではこの少女だけがどう言う経緯でここに連れてきたか説明してほしい」
「分かりました」
クシアは背筋を伸ばして緊張気味に説明をしだす。途中途中村長とクシアが話が合っているのか視線を飛ばしてくるが、間違っている所は特に無かったので、話を先に促した。すべての説明が終わると村長は少女の方に向き合った。
「君に聞きたい、君は人間に犯罪者として追われているのか?」
「……マリアは奴らに確かに追われている」
「それはどうしてだい?」
「マリアが貴族を殺したから」
「それはどうしてだい?」
「マリアを殺そうとしたから殺した」
少女は淡々答えるがその目には憎しみが宿っている。だれもマリアの淡々とした答えに耳を傾けているため、その目に宿っている憎しみに気づいていない。
「君は吸血鬼だと聞かされているが、それは本当なのか?」
村長の言葉に俺は驚いた。自分の勘だとこいつは吸血鬼じゃないと考えていたからだ。
「半分は吸血鬼」
「半分?」
「もう半分はマリアは人間」
こいつ(マリア)はハーフバンパイアなのか?!そうか、それなら合点が行く!!吸血を持っていることも本に吸血鬼が滅んだことが書かれていることも納得がいく。これで謎が解けたな。
「マリアが殺したのはマリアの父親で母を殺した奴」
マリアの口から新たな情報が出て来る。マリアの母親を愛玩動物兼性奴隷して貴族の男は飼っていたらしい。丁度性奴隷として飽きられた頃に子供が出来て堕胎させられることなくそれで生まれたのがマリアらしい。母親はマリアが五歳のころ殺されたと言う事だった。たぶんそれが最後の吸血鬼だったのだろう。
そして八歳の時に殺されそうになった時に喉元を食いちぎって殺してそこから逃げ出した。そして逃亡生活は村や人目を避けてここまで来て、そして二年を経て今に至ると言う。
人通り全部話し終わると一人のエルフが発言する。
「村長は彼女をどうするつもりですか?」
「それを今から話し合おう」
村長のその言葉を聞いて男性エルフ騒ぎ出す。
「村長!!さっさとその女を人間に引き渡すべきです!!」
「そう単純な話でもないのじゃよ」
「……もしかして村長その少女を助けようとか考えているんじゃないですよね」
「そんな事をは考えていない」
「なら何でさっさと人間に引き渡さないんですか?」
男性エルフの言葉に年若いエルフ数人が同じような疑問を抱いていたようで頷いて同意を示す。
「事はそう単純では無いのだ、彼らの本当の目的が何なのか分からない内は彼女を引き渡さな方が良いと私は考えておる」
「本当の目的ですか?」
「おかしいと思わないのかね?」
村長の言葉で俺は一つの疑問にたどり着いた。
「今まで人間は何をやっていたのか、か?」
全員の視線が集まる中、自分の疑問を声に出した。
「彼女が貴族を殺して二年を掛けてここに来ている。その二年間の間に捕まえることが出来たはずだ。さすがに吸血鬼の血を半分あるとは言え八歳の少女が、人目を避けてここまで悪路を通ってここまで来たのだ。移動速度が馬に乗った人間より早いとは思えない。先回りして包囲網を敷くことだって出来たはずなだ」
村長は俺の言葉に続けて話す。
「彼女がこの村に入ったことを人間が知っていると言う事は、人間は彼女を監視していたのではないかと私は考えている」
確かに村長の言う通りだ。人間の目的が分からない今彼女を引き渡すのは危険かもしれない。
あれ?村長意外と有能?
今回は村長が有能シーンを出してみました。だって村長に選ばれるくらいなんだから、普通は有能だと思うんで出してみました




