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22賢者④


「では、早速情報交換を始めてもよろしいですか?」

「ええ、お願いします」

「ではまず私から、私達火の一族は、スキル炎操作の可能性について研究していました。その結果、炎操作による火の消火に成功しました。更に以前立証された他者の魔法に干渉する事に対する対策を発見しました。以前までは、属性操作系の魔法系スキルを持っている相手には実質的にその属性を封じられたも同然でしたが、相手に操作される前に、自身の魔法を自分で操作することである程度操作を封じれる事が分かりました。自身と相手がお互いにスキルを使用した場合、スキルの干渉力――つまり、スキルレベルと消費魔力量の高い方が優先される様です。また、干渉力がほぼ同じ場合、先にスキルを使用していた方が優先されます」


 炎操作で消火出来るのはシンプルに便利だ。木造建築が主流のこの国では、万が一火攻めをされた時の被害は計り知れない。幾ら水魔法を使える者がいても、結局は魔力が持たなかったり、その水で二次被害を被る場合もある。しかし、そんな事関係なく火を消せるこの方法は実に便利だ。

 更に気になるのは、属性操作スキルによる相手の魔法の操作だ。皆当たり前のように流しているが、俺はそれすらも知らなかった。知っていたらあんなに気軽にメテオ・ストライクを撃っていない。まぁ、あの魔法は炎と土の複合魔法なのに加え、相当な質量の魔法なので、生半可な属性操作は通用しなかっただろうが。とりあえず、これからは相手のスキルを鑑定し、属性操作スキルを持っているか否かで、魔法の撃ち方も変える必要がありそうだ。


「では、次に私が。水の一族では、水の攻撃力不足を補う方法を研究してきました。未だその成果は芳しくありませんが、その過程で、新たな水魔法の使い方を発見しました。注目したのは、水の質量です。その膨大な質量をもって、相手の陣形を乱したり、攻城兵器としての役割が期待出来ます」

「少し失礼。それなら、土の魔法で十分だろう?殺傷能力の低い水魔法を使う理由が無い」


 水の賢者の報告に、土の賢者が口を挟む。

 俺達は光魔法が不遇だと言ったが、どうやら水も相当に不遇な属性らしい。火力は火に負け、質量のゴリ押しも土の方が効率が良い。回復なら光で良い。水は使い手が多いが、中々に使い所の少ない属性の様だ。


「そうとも限りません。水魔法は質量に対する魔力の消費が土魔法より遥かに少ないのです。その為、見習いレベルの魔法使いでもある程度の質量を生み出すことができます。また、液体な為、他の者が生み出した水と合わせることも容易に出来、数を集めれば、見習いでも戦力になるというメリットがあります」

「なるほど、確かに複数人での魔法行使は魅力的ですね。水で出来るのならば、火や、私が操る風も同じようなことが出来るかもしれません」


 風の賢者がそうつぶやく。ちなみに風の賢者は、賢者達の中で唯一の女性だ。因みに、火、水、風、土の一族全てが、村長を魔法の練度などで選抜する。男性の家督相続が当たり前のこの世界で、稀有な例なのかもしれない。


「では次は私ですね。私の一族は、超鋭利な斬撃を生み出すことに成功しました。ある1点で外側に向けて風を操る事とその部分に鋭利な斬撃が生み出されます。実用化は出来ていませんが、これが完成すれば、魔種への切り札になり得るかもしれません」

「なるほど……それは、真空状態を作り出しているんだろうな」

「真空ですか?」

「あぁ、真空というのは、空気等、物質が何も無い空間の事だ。そこでは、近くの物を強く引き寄せる性質が生まれる。……まぁ、正確には色々と違う部分もあるが、概ねそんな所だ」

「なるほど、つまり私達は外側に風を起こす事でその内部の空気を無くしていたという訳ですか」

「そんな所だろうな」


 ただ気になるのは、真空にそんな威力と実用性があるのかということだ。真空を動かすのは不可能に近く、その場にとどめるので精一杯。更に真空の引き寄せる力に逆らって風を起こしている以上、本来以上の魔力を消費する。あまり実用的とは言えないだろう。


 その事を伝えると、風の賢者は少し考え込んだ。


「確かに動かした事はまだありませんでした。次までに実験しておくとしましょう」


「では最後に私ですね。ドワーフから伝わった金属の操作ですが、我々でも成功しました。そして、金属のみを操作することで、今までの魔法の大部分を単純強化する事が出来ました。魔法で作る壁も、槍も、鉄製になったことで実用性がましたと言っても良いでしょう。移動式砲台にも必要だから、今急速に我が一族は金属の操作の習得に取り掛かっている」

「それは防具等にもなりますか?」

「なるにはなるが、普通に鍛冶でつくったほうがいい。ただ金属を取り出して固めるより、少しばかり耐久性に難がある。魔力を切ると無くなってしまうし、その場しのぎぐらいが丁度いい」

 

「ではこれで私達賢者からの研究成果は出揃いましたね。では次に賢者エージ様、貴方が私達の知らない魔法を知っていましたら、是非お教え下さい。もし宜しければ、そちらの世界の進んだ文明についても教えて頂けると幸いです。」

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