プロローグ
六作目。
魔法少女が殺し合うゲームに転生した主人公のお話。
この世界には、かつて魔法が存在した。
何もない空間に火を灯し、空から雨を降らせ、風を自在に操る。
それらの奇跡は魔法と呼ばれ、使いこなす者は魔女と呼ばれていた。
けれど、その奇跡は今ではもう失われた力だ。
魔法を使える人間は、この世界にひとりも存在しない。
遥か昔、魔女たちは狩り尽くされてしまったからだ。
――魔女狩り。
学校の授業では、そう習った。
魔法という異質な力を恐れた人々が、魔女という存在を歴史から消し去ろうとした出来事。
彼女たちは捕らえられ、手足を縛られ、生きたまま火にかけられた。
教科書に載っていた惨たらしい絵を見たとき、思わず口を押さえたことを今でも覚えている。
魔法は、奇跡なんかじゃなかったらしい。
少なくとも、当時の人々にとっては。
普通の人間にとって、魔女は恐怖の象徴だった。魔法は世界を蝕む呪いであり、彼女たちはその呪いを振りまく化け物だと考えられていたのだ。
授業の最後、先生はこんなことを言っていた。
『魔女は最低最悪の存在です。魔法は私たちを殺すための凶器にすぎません。だからこそ、私たちは魔女のいない時代に生まれたことを感謝し、精一杯生きていきましょう』
教室にいたクラスメイトたちは、みんな頷いていた。
魔女のいない時代に生まれてよかった。
魔法の存在しない日常に感謝しよう。
それが普通の反応なのだろう。
だから、あの教室で私だけが異端だったのかもしれない。
――魔女に会ってみたい。
――魔法に触れてみたい。
そう、本気で考えてしまったのだから。
そんな私があのゲームに出会ったのは、今思えば必然だったのかもしれない。




