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いま何してるの?

 母によって再開され、賑わいを取り戻した民族料理店・ザキントス。私とシャリム・マリスは、その片隅にあるテーブルで絶賛お勉強中だった。一息入れようと、テーブルの上を片付けていると、私のパパが何冊かの本を抱えて現れた。


「はいどうぞ。頼まれてた資料が手に入ったよ、バーバラ」


 私がそのまま熱心に中身を読み耽ると、シャリム・マリスはパパと一緒に、お茶やら菓子やらコーヒーやらを用意した。


「バーバラが、こうして文化人類学に興味を持ってくれて嬉しいよ」


「サワ。彼女いま何してるの?」


「イニシエーションについて学んでいる真っ最中だと思うけど」


「何それ? 専門用語じゃなくて、もっと分かりやすくはっきり言って」


「今バーバラが読んでいる資料が指すイニシエーションは、成人にまつわる儀礼的同性愛のことだよ。具体的には、少年に対する成年男性達の、生殖能力継承の為行われる性交渉について」


「そんなもん用意するなよっ。貴方まさか、娘には何も伝えてないのか」


 急に席から立ち上がったシャリム・マリスの口から、耳慣れない彼の母国語が飛び出していたが、私には一切内容が分からなかった。パパは特に何も言わず、コーヒーを1杯だけ飲み干すと、そのまま空のカップだけ持って静かに立ち去った。


 シャリム・マリスが私の方ばかり見るので、私は長年温めている妄想ポルノグラフィの設定について語った。


「バーバラ先輩って、よくそんな設定思い付くよな。ちょっと最低じゃないか?」


「何で? この世の誰も、実際には傷付いて無いじゃない。全ては私の中の妄想の出来事でしょ、そんなのも区別つかないの? ひょっとしてアンタ、全年齢向けしか駄目なタイプ?」





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