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ラズーン 7  作者: segakiyui
6.ハテノトショカン

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31/31

5

2130000ヒット、ありがとうございました!

 アシャは満足していた。

 もたらされる結果も、それによって噛み締める後悔も、考えることなく、初めて自分の全ての力を解き放った。

 世界を破滅させるための兵器と化した自分は、魔性にしか過ぎない。

 けれど、その自分を確実にユーノが屠ってくれる。

 最後の一滴まで力を搾り出し、ボロ切れのようになったらユーノを探せばいい。

 ユーノの剣の下に頭を垂れれば、速やかで安らかな死を導いてくれる。

 何という安堵。

 向かってくる気配に容赦なく炎を放つ。焦げ崩れる姿を何度も焼き払う。

 『太皇スーグ』の積み重なる記憶の中でさえ、アシャのような存在はいなかったらしい。『人』の姿を模した天の雷、終末を知らせる炎を溜め込んだ体を、あえてかつての記憶で探すなら、天空に浮かんでいたと言う巨大な道具だろう。

 その道具は空も地上も、『人』も太古生物も分け隔てることなく、凄まじい熱量で貫き灼いたと言う。

 放て、放て。

 これが終焉、美しく輝かしく、世界に君臨した『ラズーン』の末路。

 黒く焦げた大地に、命の燃え滓が灰色の塊として積もる光景の中、アシャは微笑みながら彷徨っている。

 何も残すな。

 この後の世界は、ユーノ達『人』の世界となる。

 ぎりぎりで生き延びられる数しか残っていないだろう。

 未来を脅かすような存在は、今ここで全て消滅させておかねばならない。

 ユーノを護る。

 ユーノが守ろうとする『人』を護る。

 遠く彼方に自分を呼ぶ声がした。

 懐かしい、甘い、切ない、愛おしい、大切で、かけがえがない、声。

『違うっ! そっちじゃない、こっち! 私だ! 私に向かって撃って、アシャ!』

 ああ、ユーノ。

 何と正しく的確にアシャの本分を望んでくれるのか。

「もちろんだ、ユーノ」

 微笑み頷く。

 ユーノのためなら、骨が折れ、肉を突き破り、ただの血肉の塊となろうとも、敵を屠ろう。

 全開にしたのに、ほんの僅かだが力が絞り切れなくて、アシャは煙る世界の中で立ち上がる。自分の中に燻る悪夢の炎を使い尽くそうと、内側から自身に炎を放とうとし……体から力が抜けた。

 ミネルバのように『運命リマイン』狩に世界を巡るはずだったのに、自身への過大評価だったのか。命が揺らぎ細く頼りなく小さくなっていくのが分かる。

『っ、アシャ!』

 ユーノの声が耳元で聞こえる。

「随分優しいじゃないか」

 自分を生み出した存在に苦笑いする。

「命の最後を、彼女の声で送ってくれるとは」

 満足感がなお広がる。

 深く柔らかく、重く静かな闇。

 アシャは微笑みながら沈んで行った。


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