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俺の初恋は若年性  作者: わたしはオジヘル
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そういうわけだった

〈 2026年5月14日、木曜日、予報通りちょうど雨が聞こえだしたお八つどき、同級生は車椅子をリクライニングに倒して、フォーレというフランス人作曲家のLP盤を聴いている。もとは伯母の所有だったレコードを、小学生の姪テレジアに贈ったもの。テレジアが宝物にしたレコード。ロベール&ギャビーなる夫婦が録音した黴臭いレコード。その音を今、時代がかった大きなステレオセットから出るのに目を閉じて聴きいっている。かつて、アップライトピアノの前にふたつ椅子を並べて伯母と姪っ子との連弾を教会員たちに披露した曲、ピアノが好きだった母親のために度々連弾してあげた曲──そう思って聴くと、自然と涙がとまらない。ふたつの今もつやつやしい手は少女の手。思いなしか音に合わせて指が動くよう。〉



これは前回のつづき


「俺変わるよ。オコシ行ってきて。」入って来た施設長が、二名同時介助を始めようとしている日勤者に向かって言う。日勤者は立って、エレベーターを呼ぶとそそくさと乗り込んだ。


「◇◇さん、今日はバタバタしてすみません。一人欠員が出まして。夕べの夜勤者にも四時まで残ってもらいました。」あの男はあの男でそういうわけだった。


「こちらの方の食事介助をお願いできますか?」と、手のひらで示した。「ゆっくりでいいですよ。飲み込みを確認しながらご本人のペースでお願いします。」


続けて男性入居者に向かって言う──「▲▲さん、お兄さんが手伝ってくれるて。向き、変ろうな」と車椅子を動かしてテーブルと平行にする。「◎◎さん、こっち向きましょうね」とテレジアの車椅子もテーブルと平行に。


そこにあったスツールを譲ると、自分用のを取って来て腰をおろした。わたしは施設長と二人で、一対一の食事介助を始めた。わたしは▲▲さんの正面に掛けて介助し、施設長はテレジアの正面に掛けて介助。


その間、日勤者はエレベーターで昇ったり降りたりをしていた──ひとり又ひとりと、車椅子に乗せた人を食堂に連れて。「オコシ」とは「起こし」で、寝ている入居者を起こして連れてくる意味なのだっ

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