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真菜さん、僕はこういう人間だ。
腹蔵のないところをいうと、真菜ちゃんの知らせは福音だとばかりは言えない。この僕の耳に福音でなどあるべき道理がない。
僕は朋子の祈りがなければ救われない。あなたに救ってもらわなければ未来永劫に赦されることが出来ない。
ひどい男だ。サヨナラ電報を打ってから三十年間、僕はあなたを踏みつけにした。朋子は僕の踏み絵になった。踏み絵になり続けた。泥の足で踏むための。あなたの聖性に唾するための。おのれの獣性を満足させる踏み絵があなただった。
再会したあともだ。再会したあとでこそ踏み絵にした。
僕は踏みつけた。あなたをケアする一方で、あなたを憎んだ。軽蔑した。俺を裏切った朋子、裏切った成れの果てがこれだ、ザマを見あがれ。そうやって心の中で笑った。
遊び相手を作った。真菜ちゃんぐらいの子のアパートから通勤した。朋子を虐待する代わりに彼女を虐待した。
真菜さん、僕はこういう人間だぜ。最低だろう?でも田村のおじちゃんはその最低なんだよ。お父さんが心配されるのも無理ない。なぜ真菜さんが味方してくれるのか不思議な話だ。このうえ家族になる資格なんかない。みんなの奴隷になれるだけで僕は十分だ。




