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オタクと美少女はバンドでギャルゲーソングを知らしめたい?!  作者: 獅子尾ケイ
再始動!新しいギャルゲーソングバンド編
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第九話「新しいメンバーは双子?!そして、現れるアイツ」

 僕らの目の前には、二人の生徒が立っている。


「あの、ここって音楽研究同好会で合ってます?」


「え? あ、ああ……そうだけど」


 二人同時にしゃべる声に、僕は少し驚きながら答える。


「ねー! 二人って、双子?」


 後ろにいた響子が、ふとそう尋ねた。たしかに、二人の姿を見るとまったく同じ顔をしている。


「とにかく岩崎君。中に入ってもらったらどうかな?」


「そうだね。まあ、中にどうぞ」


 突然現れた二人に、僕はそう言って部室に入るように言う。


「失礼しまっ……ここ、狭いですね!」


 入ってすぐに、部室の狭さを口にすると空いた椅子に座る。


「それで、君たちはいったい?」


 いきなり現れた双子の生徒に、僕はそう尋ねた。


「自己紹介がまだでしたね! 私は一年の葛西瑠奈(かさいるな)って言います。それで、こっちが……」


「葛西……琉偉(るい)です」


 そう言って二人はペコリと頭を下げる。


「僕は岩崎。そして、芹沢あきらさんと馬場響子」


 こちらも名前を名乗ると、同じように頭を下げた。


「いや、自己紹介とかじゃなく! 君たちはなぜこの同好会に足を運んだの?」


 芹沢さんのように、見るからにギャルゲーとは無縁のような容姿をする二人に僕は尋ねる。


「え? なぜって、私たちは一応入会希望で来たんですけど」


 瑠奈と名乗った女の子が、なにを言ってんだというような表情で話す。


「ええええ! なんで……頭は大丈夫? 軽音楽部と間違えてきたんじゃない?」


「岩崎君……」


「キョウちゃん、声デカ! それに、すごい失礼なこと言ってるよー」


「だって、この同好会はギャルゲーソングを広める活動するんだぞ? あきらかに間違えて来ただろう」


 こんな同好会にやってくるイメージは、オタクみたいなやつか陰キャだろうと僕は思った。ただでさえ、芹沢さんのような人がイレギュラーで入会したのだから余計に驚く。


「あのー、あたしらはギャルゲーは普通にプレイしてますよ?」


 僕の驚くとは裏腹に、二人はそう答えた。


「へー! 意外だねー、まだ若いのにー」


「けど、俺たちは二人ともプレイするジャンルが真逆なんですよ」


「そうそう! あたしは王道の学園恋愛ADVが好きなんですが、琉偉ってばアクション要素がある作品しかやらないんです」


「……アクション要素なんて、ギャルゲーにあるの?」


 僕はこれまでテキストを読み進めてヒロインを攻略するギャルゲーしかしてこなかった。


 アクションということは、自分で操作して敵を倒すようなゲーム。そんな要素が、ギャルゲーにあるとは初耳だ。


「先輩……ギャルゲーソングを弾いているのに、そんなことも知らないんですか?」


「いや……ギャルゲーっていえば、だいたいテキスト形式でしょう? 伝説の木の下で告白する、アレみたいな」


「先輩の視野……狭過ぎっすね」


 呆れた顔をする一年坊主に、そう言われてしまう僕。


「ギャルゲーが好きなのはわかったけどー。二人は、ギャルゲーソングとかはちゃんと聴いてるー?」


 響子は二人に尋ねる。たしかに、ギャルゲーソングを好きで聴いているかは大切だ。


「もちろんです! スマホの音楽アプリの八割はギャルゲーソングですから」


「まあ、アニソンとか……後は気に入った歌い手さんの曲ですかね」


 ーーなかなかのオタクじゃないか。


 見た目に似合わないジャンルの楽曲をスマホにまで入れて聴いていることに、僕は感心する。


「岩崎君、この二人なら同好会に迎入れても大丈夫そうだね」


「まあ……たしかに、趣味趣向は僕と同じだからね」


 ギャルゲーが好きであることは、二人の口ぶりから確かなことだ。


 しかし、それだけではいけない。問題は二人がバンドに入って演奏ができるか。


 ーー瑠奈さんは女の子だし、ベース? 琉偉君は男で体力があるだろうから、ドラムなら良いな。


 そう思いながら、僕は二人に楽器ができるかどうか尋ねた。


「それはできますよ? けど、あたしたちはそんな先輩たちよりレベルは低いですが」


「……僕もそこまで上手くないよ。プロ並みにいる先輩はいたけど、今は引退しているし」


「けど、体育館でオケ流してたじゃないですか! あれは岩崎先輩たちがパソコンで作ったんでしょう?」


「いやあ……あれは」


 体育館で僕らが弾いた音以外は、金本たちが用意してくるた音源を流していた。


 二人はそれを僕たちが作ったものだと勘違いしているようだった。


 一年生からしたら、同好会は僕たち三人しかいない部活動だと思っているのだろう。


「ベースもすごい再現度だし、ドラムも迫力があってすごいなって」


「オタクくさい雰囲気なのに、軽音楽部より本格的なバンドをしていて興味を持ったんです」


「あたしたちも美少女ゲームをやるオタクな趣味持ちだから、入ってもいいかなって」


 なんともありがたい言葉に、僕は感動する。なぜ、新入生歓迎会の部活紹介で現れてくれなかったのかは今はどうでもよい。


「いいんじゃなーい? この二人が入れば、とりあえず同好会消滅もナシ。バンド活動もできて、完璧ー」


「わたしもそう思うな。女の子が入ってくれたら、いろいろ話しやすいし」


「……? あ、ああ。そうだね、そのほうがギャルゲーの話がしやすいよね」


 響子や芹沢さんは、二人の同好会加入に賛成だ。僕も反対する理由が見つからない。


「よーし! なら、二人にはこの音楽研究同好会に入ってもらおう! 一応、ギャルゲーソングをバンドでやる活動が中心だけど、大丈夫?」


「はい! もちろんです。けど、部室でギャルゲーをやるのはオーケーですか?」


「あ、ああ……まあ、今までやってたからいいか」


 これで同好会は五人。同好会として、ギャルゲーソングをバンドでやれる。


 目標は変わらず、ギャルゲーソングの良さをもっと広めていくこと。その活動が、本格的に動き出すだろう。

 

「気持ちが変わらない内に、入会届を書いてもらうか」


「はーい」


 僕は二人に入会届を渡し、記入してもらう。


「きえええい! ちょいとマテ茶ー!」


 すると、奇声を上げて意味のわからない単語を口にする男が勢いよく扉を開けて現れた。

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