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第二十話「イベントライブに向けて動き出す!」

「えーっと、というわけで……このメンバーでライブイベントに出るのが決まりました」


 次の日になり、金本に渡された紙をみんなに見せて僕は説明する。まったく聞いたことがないスーパーマーケット。その開業記念日に催されるイベントに参加することになった。


「……えええぇ!」


 それを聞いたみんなは、予想した通りのリアクションをしながら悲鳴に近い叫び声を上げる。


「ちょっと待ってくださいよ、岩崎先輩! いきなりそんなイベントに出るだなんて」


「そうそう! バンドを組むのはいいけど、それって校内の行事だけでやるライブだけじゃないんですかー?」


 瑠奈たちは思っていたのと違う口ぶりで話す。


 まさか街のイベントに出るとは考えていなかっだのだろう。そんな話は聞いていない表情を浮かべている。


「まあー。金ちゃんらしい要求というか、振り回し方だねー」


「馬場さんたちはこういうイベントに出たことがあるの?」


 芹沢さんは響子にそう尋ねる。


「ん? 普通にあるよ。ライブハウスでしょー、それに野外公演。私が入ってなかった時は商業施設でやったらしいし」


 僕と響子以外のメンバーは、過去に僕らがやってきたライブをあまり知らない。


 金本たちと一緒にやった時は、様々な場所でライブ活動をしてきた。


「先輩たち、ライブハウスでもライブをやってたのか……すごいな」


 琉偉は響子の話を聞いてか、驚く。


 ライブの経験がない二人にとって、ライブハウスでやった僕らにうらやましさを感じているようだった。


 ライブハウスや学校外でやるライブは、たしかに憧れる。僕自身も、一年生の時にそう感じた。


 だから琉偉たちにも、そのライブを肌で感じて欲しいと思う。


「これは新しいバンドにとって、いい経験になる。いきなり決まったことは申し訳ないが、是非イベントに出てほしい」


 僕は、そう琉偉たちや芹沢さんに向かって話す。


「わたしは構わないよ? ちょっと緊張しちゃうけど」


 しばらく黙っていた中、芹沢さんは口にする。少なくとも、彼女はイベント参加には肯定的。


 残るは瑠奈と琉偉だ。


 突然決まったイベントに動揺しているだろうけれど、二人の演奏レベルなら問題はない。


 後はやる気の問題だった。


「スーパーマーケットでやるのも、楽しいよー? そんなに、本格的なライブにはならないだろうし。気楽にやればいいのよー」


 考え込む二人に響子は、楽観的に話した。


「そうそう! 買い物客相手に、ちょっとギャルゲーソングとかを弾くだけさ。これを機会にギャルゲーソングを知ってもらおう」


 本来の目的はギャルゲーソングの良さを、一人でも知ってもらうこと。


 音楽研究同好会の活動はそこにある。


「そうだぞい! 君らもギャルゲーソングを弾く者ならば、それくらいしてもらいたいのだ!」


「金本先輩……いたんですか」


 まるで当たり前のようにいる金本が、説教みたく話す。


「いるに決まっているではないか、岩崎君! まだ君らだけでは心配だからな!」


「あんたがこんなイベント話を持って来なければ、ここまで荒れなかったんですがね……」


 まずはバンドとして、きちんと形を整えてからライブを考えていこうとしていた。


 ーーそれなのに、このトラブル製造機め。


 だが、すでにエントリーを済ませていた金本は僕らに向かって話を続ける。


「まあ僕は参加はしないが、その他の雑務はやってあげるから君たちはライブに集中すればよい!」


「ということらしいけど……瑠奈たちはどうする?」


「どうするにも、もう確定みたいなものですね」


「やるしか……ないのねえ」


 二人はお互いに顔を見合わせた後、ため息をつくが納得する顔をしていた。


「よし、決まりだ! さあ、イベントに向けてバンド練習だ! ギャルゲーソングを知らしめよう」


「おっ……おー?」


 なぜか僕ではなく金本が陣頭指揮を執る。金本も勢いに飲まれるように、僕らは掛け声を上げた。


「イベントでは一曲のみを演奏するんでしたっけ?」


「うむ! ちょうど君たちはアニソンを練習しているだろう? ギャルゲーソングではないが、まあ今回はその曲をやるのが負担も少なかろう」


 金本なりの配慮なのか、イベントでやる曲はアニソンで決まった。


 たしかにこれならば新しく曲を決めることもないし、練習する時間的にも都合がいい。


「瑠奈たちはあれから練習をしていたのか?」


 しばらく芹沢さんにかかりっきりで二人の進歩はどうか尋ねる。


「まあ、サビまでは弾けるようになりましたけど。きちんと形になってるか……不安ですかね」


「あたしらは二人で合わせてたからいいんですけど、やっぱりドラムとベースだけだとなんとも」


 二人はそう答える。少なくとも、ある程度は曲を弾けるようだ。


「響子はどうだ? おまえはボーカルだから、そこまで苦労しないだろ?」


「すでに知っている曲だからねー。バンドの音に合わせて歌ってみないとわかんなーい」


「とりあえず、みんなは曲を練習していたみたいだし大丈夫そうだな」


 芹沢さんもギターを弾けるようになってきたし、これからみんなで一緒に練習しても問題ないだろう。


「よーし! イベントのライブに向けて練習を始めていくぞー」


 こうして僕らはイベントでライブをやるために練習を開始する。同好会メンバーによるバンドがいよいよ動き始めた。

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