第一章第一話『——見つけて』
初めまして、ミウラです!
この作品は、
「もし未来が見えてしまったら」
そして、
「救えなかった後、人はどう生きるのか」
をテーマに書き始めました。
最弱の主人公が、
ある王女との出会いをきっかけに、
“運命”へ抗っていく物語です。
少しでも、
綾人の物語を楽しんでいただけたら嬉しいです!!
それでは、
『——見つけて』
よろしくお願いいたします!!
雨の匂いがした。
空は灰色に濁り、東京の街を冷たい風が吹き抜けていく。
内堀綾人は、ふらつく足取りで人混みの中を歩いていた。腹は空っぽだった。もう何日まともな物を食ていないのか、自分でも覚えていない。 制服だったはずの服は汚れ、靴底は擦り切れている。
高校を辞めた。
家から逃げた。
何もかも嫌になって、気づけば東京にいた。
けれど、逃げた先にあったのは自由なんかじゃない。
冷たい現実だけだった。
「……っ」
視界が揺れる。
眠気なのか、空腹なのか、それとも疲労なのかも分からない。綾人は俯いたまま、人混みを避けるように 歩いた。
その時だった。ドン、と誰かの肩にぶつかる。
「あ……」
顔を上げる。
黒いフードを深く被った女性だった。
綺麗な人だ、と思った。
それだけが妙に印象に残った。
「す、すみません……!」
綾人は反射的に頭を下げ、そのまま逃げるように走り去る。空から、ぽつりと雨粒が落ちた。
次の瞬間。
――世界が歪んだ。
「……え?」
視界の奥で、何かが見えた。
雨。
赤い光。
ブレーキ音。
血飛沫。
誰かが倒れている。
車に轢かれて――
「っ!?」
綾人は息を呑む。
何だ、今の。
夢?
幻覚?
頭がおかしくなったのか?
混乱したまま顔を上げる。
気づけば、赤信号の道路へ足を踏み出していた。
クラクションが鳴る。
横から眩しいライトが迫る。
「――危ないッ!!」
強い衝撃。
誰かに突き飛ばされた。
アスファルトに倒れ込み、肺から空気が抜ける。
「が……っ」
何が起きたのか分からないまま、綾人は顔を上げた。
そこで、時間が止まる。 道路の上。
血を流して倒れているのは――
さっきの女性だった。
「あ……」
声が出ない。頭が真っ白になる。雨が降っている。
アスファルトを赤い血がゆっくり流れていく。
さっき見た光景と、まったく同じだった。
「なん、で……」
呼吸が苦しい。
心臓が痛い。
耳鳴りがする。
「なんで……僕が……」
助かった?
どうして?
なんで自分なんかが。
学校から逃げた。
家からも逃げた。
何もできないくせに。
何の価値もないくせに。
なのにまた、自分だけが生き残った。
「なんで……」
喉が震える。
「なんで僕が生きてるんだよ……!」
気づけば、綾人は走り出していた。
逃げるように、現実から目を逸らすように。
雨の中を、無我夢中で。
何も見えない。何も考えられない。
ただ苦しくて、怖くて、息が詰まりそうで――
その瞬間。
「あ――」
足元が消えた。階段だった。
踏み外した身体が、暗闇へ落ちていく。
どこまでも。どこまでも深く。
意識が沈んでいく。
最後に見えたのは、灰色の空だった。
――そして。
綾人が次に目を覚ました時。
そこは、見たこともない世界だった。
第一話を読んでいただき、本当にありがとうございます。
綾人はまだ、
自分が何者なのかも、
この世界が何なのかも分かっていません。
ですが、
彼が最初に見た“未来”は、
これから物語の大きな軸になっていきます。
そしてタイトルの
『——見つけて』
という言葉の意味も、
物語が進むにつれて少しずつ見えていく予定です。
もし少しでも続きが気になったら、
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これからよろしくお願いします!




