第10話 コードネーム《S-8》 file 福川孝
悪戯者との戦闘から数日、孝(以下俺)は幼馴染みのことについて考えていた。俺には幼馴染みが1人いる。しかし、その幼馴染みは俺のせいで死んでしまった。幼馴染みも英雄になるかと思われたが事故でその夢は途絶えたのである。
「あの時俺が強かったら・・・今頃あいつと切磋琢磨して・・・いかんいかん今は目の前のことに集中しなければ・・・」
俺は考えを辞めトレーニングに戻った。しかし、駐屯地に帰宅後睡眠中に見た夢で俺はあの時の幼馴染みとの出来事についての夢を見た。
中学生の頃、俺は幼馴染みの遥と共に英雄になるため鍛練を積んでいた。俺の能力は身体掌握、幼馴染みの遥の能力も俺と似た能力を保持しており能力共有によって両者の能力を共有することが可能である。また、身体掌握という能力は悪戯者に対して有効であり目標の肉体・精神・行動等を掌握し操ることができる。
しかし、この身体掌握という能力はかなり操作が難しく慣れていない状態で目標の人間に使用すると自信の肉体にも影響を及ぼす代償があるため英雄側は当該能力者に対して能力の正常維持を行うため育成学校の掌握系コースが存在する。
俺と遥の能力は体育の授業中に同時に能力の発現が確認された。発現時は何が起きているか分からず周囲のクラスメイトの肉体を誤って掌握してしまった。
「福川!お前何をしてる!山本が痛がってるぞ!すぐに離れろ!岡島も」
「分かりました!たかくん。一旦離れよ?」
「そうだな」
遥と共に多少距離を取り能力の暴走が無いか確認した。一定の距離を取ると肉体を掌握され筋肉を誤って動かしてこむら返りをさせてしまった山本くんは痛がる素振りを見せてはいなかった。しかし、山本は息を整えながら俺たちの方に詰め寄って来た。
「ごめんね山本くん。私たちも何が起きたのか分からないんだ」
「大丈夫だよ岡島さん。福川くんも。だけどいきなりどうしたの?」
「それが俺にも分からないんだ。山本、何か分かる?」
こむら返りを起こさせてしまい申し訳ない気持ちで一杯の山本に考えさせてしまい申し訳ないと思っている。すると山本はあの言葉を口にした。
「もしかするとだよ?もしかすると2人は英雄なのかもしれない。英雄の才能がある人なら早くて小学校高学年、遅くても中学生には英雄の能力が開花するってお父さんが・・・」
「お前のお父さんって英雄の人なの?!すごいね!山本くんのお父さんの能力はどんな能力なの?」
「父さんは今怪我で活動停止中なんだ。だけど父さんの能力は炎系の能力なんだ。詳しいことは教えてくれてないけどね」
山本くんは俺たちに英雄の能力の発現時の話や能力の維持など彼の父親から伝授した様々な事を教えてくれた。
「ありがとな山本。色々と助かった。俺たち二人で何とか頑張ってみるよ」
「おう!」
こむら返りの件で山本くんに何か言われるかと思われたが心優しい持ち主で助かった。体育の授業終了後に先生は二人を呼び出し、今後のことについて話を校長ともした。英雄としての能力の発現、扱いの難しい能力の正常維持のための育成学校への入学について途中から呼び出された親とも意思確認し、俺と遥の英雄育成学校の転校が決まった。
英雄育成学校転校後、俺らは掌握系コースに入れられた。この掌握系コースの主な研究内容は身体・筋肉・精神・記憶などの掌握に関する能力を研究・開発するコースである。運良く同じクラス・隣の席・寮の部屋が隣など幼馴染らしからぬ運があった。
「たかくん、これから頑張ろうね」
「あぁ。俺たちで英雄S部隊に入ろうな」
という約束をした。しかし、能力の開発が着々に進んできた頃、遥はトラブルに見舞われた。何が起きたのか。それは英雄A部隊の見習い期間中の悪戯者による襲撃によって危害を加えられた。当時俺は別の場所で見習い(インターン)中であったことから遥を救うことが出来なかった。
危害を加えられたという情報を耳にしたのは夕方の事であった。遥は一時意識はあったものの深刻なダメージを負ったことにより死亡が確認された。
「遥・・・守ってやれなくて申し訳ない・・・」
遥という長く一緒にいた幼馴染の死に俺は涙を流してしまった。しかし、遥のためにも今後俺は頑張らなければならない。それに、ここに悲しい表情を見せてしまっていては今まで切磋琢磨してきた遥に申し訳ない感じになってくるため涙をそのあと見せることはなかった。
現在俺はS部隊として活動中である。英雄S部隊で活躍することは出来なかったが遥のためにも奮闘していく。
次回10月16日投稿予定




