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五章22〜“夜な夜な”

「……つまりほとんど情報なんてないって事か…」



 しばらく俺の持つクリスの情報の提示が行われた。

 クリスの髪の毛や瞳の色、実は喧嘩早かったりするところや、大雑把な性格。

 好きな食べ物や嫌いな食べ物。

 知り得る事のほとんどをルシエルに伝えた。

 結果はもの凄く深いため息であった。


「今更な事で笑いがそう言う事だ…俺達も用のついでに探しているくらいだ」

「まぁ収穫はゼロじゃねぇよ、息子や弟子にすら居場所を伝えてなくて、しかも家に帰ってもいねぇ……それだけはわかった」


 本当に煮え切らないと言った顔をしているが仕方ない。

 まぁ騙すとはいかずとも、それに近いような事をした点については少し心苦しさを感じるが……。


「じゃあ俺も聞きたいことがあるんだが…」

「なんでお前に接近したか、か?」


 ルシエルは俺が聞きたかった事をわかっていたように答える。


「…自分の仇の情報の真偽も含めた確認でしょ?赤い髪の剣士って部分ならレオだって一致するしね」


 レイスが割り込んでくる。

 ここに来るまでに俺とルシエルのやり取りについて聞いたのだろう。

 聞かれても困る事なんてないからいいが…。


「それもある、俺の前で演技している可能性も含めてギリギリまで放置した」


 だから助けてくれなかったのね、いや結果的には助けてくれてるんだし、過ぎたことに今更ネチネチ言っても意味あるまい…うん。


「どっちにしろ恩を売って情報を確実に得るつもりだった」

「その為に人攫いにも協力したと?」


 ルシエルに噛み付くよう質問を投げかけるエイルーナ。

 何となくだが、エイルーナはルシエルにさっきから視線も含めて棘がある気がする。


「多分ね…負けたからイライラしてるんじゃないかな?」


 ルシエルとエイルーナに視線が集まる中、コッソリと俺に耳打ちするレイス。

 負けた……俺達が攫われた時のことか。

 まぁエイルーナらしいといえばらしいか。


「アレは別で欲しいものがあいつが持ってたからな、そのついでだ」


 俺の前で報酬を受け取っていたな、そういえば…。

 しかしエイルーナの機嫌はさらに悪くなっている。


「ついで、ですか…何でも思い通りになっていいですね」


 なんか見てて疲れてきた。

 他所でやってくれないかな…。

 ミシェイルが当たり前のように俺の隣に来て治療を始めた。

 エイルーナがああやって噛み付いている間も同じようにひっそりと治療していたんだろうな。


「犯されそうなとこを助けてやったんだ、それでチャラにしろ」

「ッッッ!!」


 エイルーナの顔が側から見てもわかるくらいに、下から上に赤く染まっていくのがわかる。

 てか犯されそうになってたのか?

 そんな危ない……真面目にルシエルに礼を言うべきなんじゃ…。


「別に助けてなんで言ってません!」

「そうか?泣いてたくせに」

「泣いてませんっ!!」


 レイスも気にしてる感じだが、とりあえず俺は決めた。

 エイルーナはあの感じだと礼を言ってなさそうだし言えない気がする。

 俺からでもしっかり礼を言っておこう、うん!



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 今回の件でごちゃごちゃしてしまったが、とりあえず俺たちの目的があるのだ。

 運良くストーンタイガーの排除に成功したこともあって港町リズへのルートが予定と変更された事。

 つまりは時短で向かう事ができる。

 勿論案内人を雇ったほうがいいのは変わらないだろうが、時短になるだけで色々な面での時間は…時間は……。


「あーっ!!」


 深夜にもかかわらず声を上げてしまった。

 同室で眠るレイスが一瞬目を覚ますして、眠そうに目をこすりながら何事かとこちらを見ている。


「ごめん、大したことじゃないんだ、本当にごめん」

「……そう」


 そう言ってレイスは再び横になって眠ろうとしている。申し訳ない…。

 そう言えばルシエルも同室のはずだがルシエルの姿が見当たらない。

 まぁアイツはどうでもいいか……。


 明日まではこの宿を借りてるらしく、俺やエイルーナの怪我もあってとりあえずは泊めてくれると話になった。

 まぁミシェイルの治療もあって怪我は殆ど完治している。

 治療魔法は治療する側マナを使うが、される側もマナを…そして体力を使うのだ。


 そして、俺は思い出したのだ。

 まずは焼き鳥や武器を仕入れてその日に誘拐された。

 気が付けば夜でルシエルさんの無茶ぶりで虎とランデブーしてハグされて死にかけた。

 朝にはここにいてメリエルに押さえ付けられて、夕方にはレイス達が戻ってきて今は深夜。

 そう、明日…というより今日の朝にはナタリアから情報を貰いに行かなければならないのだ。

 完全に忘れていた、というか絶対みんな忘れてるだろうな。


 外で物音が聞こえる…。

 ここは確か二階だったな…。

 そう思って窓際に行き窓の外を覗く。

 そこには剣を持ったエイルーナとルシエルがいた。

 一瞬何事かと思ったが、その様子を見てなんとなく理解した。

 見るからに疲弊しているのがわかるエイルーナと、余裕がありそうだが、どこか疲れているようにも見えるルシエル。


 エイルーナは負けたのを認められなかった、怪我が治ったばかりで、体力的にも厳しいのは承知で夜な夜な挑んでいるのだろう。

 彼女はそれだけ負けず嫌いなのだから。

 とはいえそれに付き合うルシエルも…案外優しい奴なのかもしれないが…。

 窓を閉めているからか話している声は聞こえない。

 ルシエルの表情に差がなさ過ぎて雰囲気も悟りづらい。


「中で奇声あげる奴もいるし、外は外でうるさいし…夜中にみんな元気すぎでしょ」


 ベッドに横たわったままレイスが小言を言っている、こっちとしても苦笑いを返すしかない…

 奇声は言い過ぎだと思うけどね。


 何も言わずに眠ろうとするレイス、俺も流石に悪く思ったので素直にベッドに戻った。


 とりあえず明日は早めに起きてナタリアのところに行くこと、そしてルシエルに今回の件で改めて礼と諸々の謝罪をしよう。


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