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五章20〜“ルシエルの要求”

 


 現在俺はベッドで横たわっている。

 仲間を助けに行かなければならないのに……である。

 勿論怪我のせいでもあるが、ルシエルの姉らしいメリエルが俺が逃げないように見張っているのである。

 さて考えて欲しい。

 見張ると言うことはどういうなのかを…。


 罪人の見張りじゃあるまいし普通は隣で何かしてたりするものだろう。

 俺なら剣の手入れをしてみたり、最悪見張りの対象に何か話を振ってみたりする。


 しかし彼女は違う。

 俺と目を離さないのだ。

 じっと…じーっと俺を見ている…、いつまで見てても飽きないイケメンではないので勘弁して欲しい。

 視線を逸らしてみても人間見られていると分かれば気になって仕方ないのだ。


「あの……なんか緊張するんで、そんなマジマジと見るのやめてもらえません?」


 そろそろ穴があきそうだ。

 メリエルはたしかに可愛い!俺としてはこのまま可愛い顔を眺めててもいいくらいだ。

 そんな可愛い女の子が俺を見つめているのだからそりゃ幸か不幸かで言うなら迷わず幸せだと答える。

 しかしそうやって呑気にしているのが許されるわけではないのだ。


「あっ!ルルが帰ってくる!」


 俺の見ないで欲しいと言うお願いをスルーして、そう口にする。

 しかし、結果的に俺から視線を外すことになったので良しとする。


 少し沈黙が続いている…。

 そもそも何故わかるのか?そういう探知魔法的なものがあるのか…?

 もしかしたらこの世界の兄弟とかはお互いの存在を離れていても感知できたり…しないか。

 流石にあったらミリターナとかが教えてくれそうだし。

 それにしても何もない。

 本当に帰って来ているのだろうか?

 メリエルはと言うと俺と扉を交互に見ている。

 俺を監視すること自体は終わっていないようだ。


 何かを感じたのかメリエルは立ち上がり扉の前に歩いていく。

 それと同時に扉が開いた。


「おかえりルル!ちゃんとレオリスを見張ってた」

「…ああ」


 そう言って姿を見せたルシエル、それに背負われているエイルーナがいた。


「いっ!!、エイルーナッ!どうした?大丈夫か?」


 慌てて起き上がって体に痛みが走るが、そんなことは気にせずにルシエルに背負われているエイルーナに声をかける。

 エイルーナは俺と目が合うとすぐに視線を外し、自分を背負うルシエルの背中を叩き始める。


「…大丈夫です、もう下ろしてください」

「大丈夫じゃないから倒れたんだろう!全く…」


 さらにその後ろから付いてきたミシェイルがエイルーナを叱っている。

 エイルーナもバツが悪そうな顔をしている。

 恐らく怪我して無理をしていたエイルーナが倒れたのだろうか?


「これも貸しにしとけばいいか?」


 そう言いながらエイルーナを下ろすルシエル。

 エイルーナに近付いて治療を始めるミシェイルを順に見る。

 ルシエルは置いといてエイルーナは顔色も良くないし見るからに怪我をしているのがわかる。

 ミシェイルは見る限り怪我は無さそうだ、服は汚れている程度しか見たまんまじゃわからないが…とりあえず元気そうではある…が、1人居ないことが気になる。


「ミシェイル様、レイスは?」

「安心しろ!レイスは別の件で寄り道している、無事だ」



 別の件?何か気になるが、とりあえず無事のようなら何よりだ。

 仲間全員の無事を聞いて力が抜けた…、再度ベッドに倒れこむ。

 さっき以上に体の節々が痛む気がする。

 まぁ実際ずっと痛かったんだけど、それどころではなかったって意識が痛みを忘れさせていたのだろうか?

 寝転ぶだけでも少し気を使う。


「レオ、怪我してるのか?」

「あー、大丈夫ですから、先にエイルーナを治療して下さい」


 俺の些細な反応からそう推測したのか、ミシェイルはすぐに確認してくる。

 確かに痛むが、とりあえず大丈夫だろう!

 これから何かするつもりもないのだ、横になって順番待ちするぐらい平気のはず…。

 少なくとも俺から見てもエイルーナはキツそうだったし……。


 さらに言えばメリエルもルシエルも治癒魔法を使えないのだろう。

 応急処置はされているが、魔法で治療されたって感じはない。

 なんかとりあえず傷口に薬塗って包帯巻きましたみたいな雑な感じ……。

 もしかしたらルシエルは使えるけど、仲間の救出を優先して俺の事を放置したって可能性もあるが……。

 そんな俺のベッドの横に歩み寄ってきて、俺を見下ろしてきたルシエルと目が合う、


「…えっと、とりあえず仲間を助けてくれてありがとう」

「気にするな、対価は要求するからな」


 そう、ルシエルからすれば仕事という意識に近いのだろう。

 俺に何を要求するつもりかわからないが……自分を、そして仲間を助けられたのだ!何を要求されても俺には断る事が出来なさそうだ。

 せめて金とか…そんな都合よくいかないか…。


「…じゃあその対価…報酬の話をしようか?…何が欲しいんだ?」

「……クリス・アストラルの情報、知り得る限り全てを提示しろ」


 言葉を失った。

 ルシエルの後ろでミシェイルとエイルーナも反応してこちらに視線を送っているのが分かる。


「…理由を聞いてもいいか?」

「………クリス・アストラルは俺の…俺たちの親を殺した」


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