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四章6〜“旅立ち”

 

 俺、レイス、ミシェイル、そしてエイルーナの4人でメニア魔導学園へ向かう事になった。


 アルフリードが護衛をと名乗り出たが勿論却下。

 アストラル領の戦力を下げるわけにはいかない。


 ルートとしてはペルロ跡地から北上してドワーフの国のグリンダムに入る。

 本来なら北上せずに西に進んで、港町のリズまで行くのが早いが、魔都と呼ばれるようになったゼレーネを避けて通る方が安全であることからグリンダムを経由する。


 さらに言えばグリンダムは治安もいいので安心、可能ならばそこで護衛を雇っても良いって事だ!

 港町リズに着けば海を越えて、リンドルム大陸へ。

 ミュール王国を抜けてそのままメニア連合国へ。

 余裕を見て大体半年のルートだ。


 道中の危険性は魔物や野盗に襲われる可能性だが、俺たちのレベルなら油断しない限りは問題ないだろうと…。

 特に中央大陸は野盗に襲われる確率は低い。


 グリンダムは治安のいい国で、野盗にとっては住み難い国らしい。

 かといってそのグリンダムまでのルートで襲われる可能性は、かなり低いそうだ。

 黒竜事件のせいで、魔物が凶暴化。

 野盗にも住み難いと…。

 どこも大変だね。


 アルフリード的にもグリンダムまでの護衛は必要だとか思ってるみたいだが、帰りはアルフリード1人になるのでやはりダメだ。


 俺たちは相変わらず逃げ回るスタイルでグリンダムを目指す。

 さて、行くと決まるとなると大変だった。


 キャンプの時の注意点。

 野営に適した場所と、野営しては行けない場所。

 グリンダム入国後の流れから、海を渡ってからの事。

 特にエイルーナはグリンダムまでの間、ミュール王国からメニア連合国までの間。

 この間は彼女が食事の用意を主に仕切っていく。

 調理法や毒などの見分け方。

 あらゆる事をたたき込まれている。

 非常に大変そうだ。


 もっとも、本人はスラスラと理解を示していく。

 頭の出来が違うと言うことだろうか?実に羨ましい。


 鍛錬も並行して行いながら準備期間に一月を費やした。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 〜当日〜


 軽量ながらしっかりした防具。

 防具といっても胴当てや、肘当てなどの簡易的な物だ。

 金はあれどそんなにいい防具があるわけではない我が領地。


 といっても魔装を使いこなす者には防具はお互いにあまり意味を持たないみたいなのだ。

 まぁ仕込みがあったり、防具に魔法を通す魔法なりと様々なので、完全に意味がないわけではない。


 かつての脱出時のアルフリードは、全身に鎧を着ていた。

 彼は勿論魔装を使えるが、彼の魔装が力と速度に偏っている事、またの鎧を強化する魔法を持っているらしいので、鎧を着ている。

 ジュラテッカ戦のように奇襲だと効果を発揮出来ないが…。


「忘れ物はありませんか?」

「何度も確認したので大丈夫です」


 ミリターナの言葉に返事を返す。

 訓練中に知ったのだが、ミリターナは妊娠したようだ。

 お腹が大きくなっているわけではないので、見ただけでわからないけど。


「帰ってきた時にはもう産まれてるんですね、すぐに見れないのは残念ですけど頑張ってください」

「お心遣いありがとうございますレオリス様」

「本当に僕も行かなくて…」

「大丈夫です!アルフリードさんはミリターナさんの近くに居てあげて下さい!」


 アルフリードは心配そうにするが、何を言おうと連れていくつもりはない。

 ミリターナが妊娠してるなら尚更だ。

 こういう時は些細な事でも不安になったりするものだろう?確か…。

 そこを支え合わずして夫婦とは言えまい!多分ね。


 エイルーナはメイリーンやリドルフと何やら話をしている。

 相変わらず無表情なのだが、何処か寂しそうというか泣きそうに見える気がしなくもない。

 レイスとミシェイルはアルミーナと話してる。

 結構軽い感じのアルミーナはレイスと仲良くやっていたらしい。

 ミシェイルはなんか勝手なイメージでコミュ障っぽい気がするのだけど、実はコミュ力は高い。

 というより人見知りから遠いとこにいるので、誰とでも臆せず話しかけるのだ。

 その点レイスと似てる。

 王族はそんな感じなのだろうか?


 アルミーナが俺の所に来た。


「レオリス様、気を付けて下さい!あと、妹をよろしくお願いします!」

「俺の方が世話になると思いますけどね、アルミーナさん、母様が帰ってきたら連絡お願いします」

「勿論です!」


 学園に到着したらアルミーナやミリターナとは手紙で常に現状報告をし合うつもりだ。

 しばらくはミリターナになるだろうが、子供が生まれてからはアルミーナになるだろう。

 最後に俺の元に来たのはメイリーンとリドルフだった。


「レオリス様、どうかお気を付けて」

「屋敷や、アストラル領は我々にお任せ下さい」

「いえ、わがまま聞いてもらってすいません、よろしくお願いします!」


 結局はこの2人が1番苦労するのだ。

 娘の心配も…。

 そういえば給料制なのかな?

 だとすればもっとあげた方が…。


 一通り別れを済ませた一同集まってくる。

 それぞれに馬が用意されている。

 すでに全員馬術を会得済みだ。


 領地に戻ってからすぐにレイスが自主的に習い、落ち込み期から回復した俺がその後に。

 最後にミシェイルも会得した。


 エイルーナはこの一月の間に片手間にささっと会得した。

 流石のレイスも苦笑いだったのは記憶に新しい。


「皆様、呉々も気をつけてください」


 リドルフがそう告げる。

 メイド陣が綺麗に一礼する。

 少し戸惑うアルフリードは何かほっこりする。


「うん、世話になったね!俺はまた帰ってくるかわからないけど、機会があればまた会おうね」


 そうか、コイツにとっては帰国になるんだな。

 久しぶりの故郷って感じか…。


「私も世話になった、まだまだ迷惑かけるが、戻る頃には恩を返せるよう大きくなって帰る!」


 ミシェイルは帰ってくるつもりらしい。

 これはこれでホッとする。

 あれ?何故だ?


「また手紙を送りますが、何かあったら連絡して下さい」


 少しエイルーナを見て待っていたが、何か言う気配は無かったので、俺がそう締める。

 それぞれ馬に跨るとレイスが走らせる。

 ミシェイルがその後に続く。


「…行ってきます…」


 そう小さな声で呟いたエイルーナ。

 すぐに馬を走らせてミシェイルを追いかける。

 小さな声だったが全員聞こえていたようだ。


「レオリス様、よろしくお願いします」

「はい、では行ってきます!」


 メイリーンの言葉にしっかり頷いた。

 そんなにしんみりする必要はない。

 5.6年もすればまた会えるんだ。


 俺も馬を走らせて後を追った。

 子供4人の旅が始まる。



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