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異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
六章 グリンダム〜変異種編
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六章7〜“共闘”

 その背丈にはまだ巨大に見える長剣を片手に、迫り来る岩の弾丸を躱し、叩き落とす青髪の少年。

 そしてその瞳は赤い…。

 最小限の回避で、最小限の動きで回避し、防御し、標的に近付いて行く彼の姿が俺には美しく見えた。

 こうでありたいと、こうなりたいと…そう思えるほどに…。


 今ドレイクやクリスの動きを見るとまた違うのだろうか…。

 あの頃見ていた2人の動きを俺は理解出来ていなかった、何をしているのか何がしたいのかを。

 今なら少しは理解できる…なんでそんなことを言っても今更である。



 ルシエルの周りには変異種のストーンタイガーだけではなく、通常のストーンタイガーも居た。

 恐らく最初の咆哮はコイツらを呼び寄せる為のものだったのではないだろうか?


「はぁぁっ!」


 ルシエルの姿を確認し、敵の大きさや数を確認している間に2人がすでに飛び出していた。

 1人はすでに剣を抜き放ち、最も近くにいて、尚且つ俺たちに向かって背を向けている個体に接近して行く。

 魔装によって強化された肉体は、本来の限界を上回る速度を使用者に与える。

 その加速した動きで虚を突いたにも関わらず、反応されて横に飛び退いて回避される。

 しかし、飛び出した彼女は前進し続ける。

 飛び退きながら発動された岩の弾丸を掻い潜りながら接近していく。

 ストーンタイガーは間一髪のところでまた飛び退く事で剣を回避する。

 もし魔法を放っていなければ確実に一撃入れていた事には間違いない。

 だが、彼女は止まらない。

 もっと疾く接近して、着地を刈り取ればいい…そう顔に書いてある、肉体がそう語っている。

 さらに踏み込んで行こうとするが、足元から岩の壁が出て来て、前進を止められていた。




 もう1人飛び出した青髪の少女は、ルシエルの元に一直線…かと思いきや、この群れのボスであろう変異種に向かって突撃していく。

 飛び出していくまで一瞬のことだったのでもしかしたら気のせいかも知れないが…彼女は笑っていた気がする。

 飛び出した彼女の手元が光を放ち、そして何処からか槍が現れた。

 穂の先から石突まで全てが真っ黒の異様な雰囲気を放つ槍。


「燃えて…燃えて…燃え上がれ」


 槍を回転させながら飛び上がる。

 穂の先からか真っ赤な炎が放たれて、槍の回転と共に美しく、そして巨大に炎が肥大化していく。

 その巨大な炎を纏った槍を持った彼女に向かって、岩の弾丸というよりも巨大な塊が高速回転しながら飛んでくる。


 その巨大な炎の槍を突き出す事で、岩は一瞬にして黒く染まり灰と化していく。

 だが、変異種はその巨体に似合わぬ機敏な動きで後ろに木々をなぎ倒すように飛び退いて距離を置く。

 炎を纏った彼女は地面に着地しながら槍を地面に叩きつける。

 炎は一瞬燃え広がったのか、爆発したのかと思わせるように光を放ち、その姿を消した。


「メリエル…お前ら…」


 ルシエルは派手に飛び出して来た己の姉…メリエルを見た後に、エイルーナを…そして俺達と順に視線を移した後、俺を睨むように見ている。

 正直今のメリエルを見たらなんだかいけそうな気がする〜って言いたいんだけどダメなんだろうか?


「どうしてきた?」


 ルシエルがこちらに駆け寄って来て、いつもより苛立ちを隠せていない声色で俺に問い詰めてくる。


「放っておけないからだ!」


 何を言われようとこれに尽きる。

 ルシエルがいくら強いといえど、1人でストーンタイガー達を相手するなんて無茶だろう。

 だから手を貸しに来た。


「…………」


 そう言ってルシエルを押し退けて前に出る。

 飛んできていた岩の弾丸に右手を向けてインパクトアームズを発動させる。

 手を中心に衝撃が広がり、飛んできた弾丸を弾く。


「俺はルーナちゃんの援護してくるよ」


 あと一歩足りていないエイルーナ、その様子を見てレイスが俺達に一言告げると、弓を片手にエイルーナの元に走り出した。

 ミシェイルもレイピアとバックラーを持って俺の横に立つ。


「私も戦うぞ」


 ミシェイルの横顔は覚悟に満ち足りた顔だった。


「援護をおね…頼む!」


 またちょっと怒られるところだったのは置いておこう。

 剣を鞘から抜き放ち左手に走り出す。


 ストーンタイガーは強敵だ、それに今回は群れで、そのボスであろう変異種もいる。

 とりあえず変異種に向かっていったメリエルを信じて、まずは周りの掃除をするべきだろう。

 そこからみんなで集中してボスを叩く。


 メリエル向けて魔法を放っているストーンタイガーに向かって一気に接近する。

 途中こちらの接近に気付かれ、メリエルに向けて撃とうとしていた弾丸をこちらに向けて放たれる。

 自分の後ろに追従するミシェイルがいる、つまり俺の選択肢は1つだ。

 右手を前に突き出してインパクトアームズを発動、先程と同じように衝撃で弾丸を弾く。

 そのまま踏み込む足に意識を向け、マナを練り込む。


「うぅぅらぁぁぁ!!」


 たった一歩の加速、ほんの一瞬だけ重力の影響を断った加速でストーンタイガーの横を駆け抜けると同時に剣を突き出し、勢いのままに斬りつける。

 傷口からは鮮血が舞い、自分の剣が血で赤く染まっているのもわかる。

 自然とストーンタイガーの後方に位置する形になったが、俺の方を警戒してのことか、俺の方に向き合うように動くが、その隙に遅れて走って来たミシェイルがレイピアを突き出した。


 レイピアはストーンタイガーの後ろから突き刺すが、すぐに反転して前足で攻撃を繰り出してくる。

 すかさずレイピアを抜いて、バックラーでその攻撃を受け止めている。

 ストーンタイガーの一撃の重さにミシェイルは体勢を崩し、すかさず追撃を仕掛けようとするが、そんな事は許さない!

 両手で剣を握って縦に剣を振り下ろす。

 しっかりとした感覚を感じながら振り抜く事が出来た。

 ストーンタイガーはたまらず飛び退いて距離を放とうとしているが、ダメージの影響なのか少し距離が甘い。


「ミシェイルッ!」


 俺の呼びかけに頷いて答えるミシェイルは、俺と少し左右に分かれながら距離を詰める。



 やはり1人で戦うのとは違う!

 上手く連携も取れている!

 そう思った時だった。

 ストーンタイガーは前足を地面に叩きつけた、マナの波動を感じた…しかし何度も感じたあの魔法では無いのがわかった。

 そしてその波動をミシェイルの足元に感じた時、思考より先に体は動いていた。


「ッッ!!」

「ッ!レオッ!」


 俺の右足が抉り取られていた。

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