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僕は女の子になりたい。  作者: 立田友紀
3. 若葉ガールは苦悩する
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28.「祭りに行こうよ!(前編)」

◇第2章までのあらすじ◇

 クラスメイトの勧めもあり「料理部」という部活に所属することになった春奈。そこでは、料理という共通項目を通じて交友関係が生まれていき、同じクラスの中村結衣という少女と仲良くなることが出来たのである。ところが彼女には、人間関係という面で一つ大きな問題を抱えており……。また、妹の秋奈と母親の関係性も徐々に変化していき……。

 浴衣を買って一週間。暦は八月に変わり、いよいよ約束の日はやって来た。

「お金の管理と怪しい人には気を付けるのよ。あと、あまり遅くまでは出歩かないこと」

「はいはい、大丈夫だって」

 母さんに浴衣を着つけてもらい、黒い巾着に小物を入れる。女の子になったあの日よりもさらに気持ち長くなった髪は、お団子にして簪を差してもらった。顔も今日は、母さんにお化粧をしてもらっている。浴衣に合う、薄化粧だ。

 途中で崩れないように固く締めた帯には黒い扇子を差した。玄関の姿見に写る僕は、これまでに見たこと無いくらいに綺麗だった。

 あとは、下駄を履けば良いだけ。手首に巾着を掛けて、下駄の板に足を乗せるのだが……。

「浴衣は動きづらいし混むから、お手洗いは早めに済ますのよ」

「分かってるって」

 ……何でだろう。珍しく母さんが過保護だ。

「それじゃ行ってくるね」

「人が多いから、周囲には注意するのよ?」

「くどいなぁ。大丈夫だって」

 同じこと、たぶん着付けの間から数えて5回は聞いた気がする。これが小学生ならばまだ話も分かるのだけど、さすがに僕も14歳だしそこまで過保護に心配されるほどではないとは思うのだが。

「……わたし、もう14だよ? 秋奈だってここまで心配しないでしょ?」

 秋奈も今年は、友達とお祭りに行くと行って一人で出て行ってしまった。もちろん秋奈にはこんなことを言っておらず、僕の浴衣を着つけながら行ってらっしゃいって言っただけ。さすがに秋奈との対応が違い過ぎると言い返すのだが。

「だってねぇ……。あなた、見た目だけならそこそこ美少女だしさらわれるかもしれないでしょ?」

「んなわけあるか!」

 大声で突っ込んでしまう。我ながらどこからそんな声が出るのか。

 そもそも人さらいだなんて、今どき起こるわけが無いしいくら何でも過保護すぎやしないだろうか。

「……だいたいなんでそんなに心配するのさ。美少女だなんて今さら……」

 だいたいこの前は、僕が女になることそれそのものを否定したじゃないか。それなのにどの口がそうほざくのさ。この前と態度が正反対になるというのは……もちろんそこに色々な複雑な状況があったからだとは分かっているけど。それでも、矛盾しているようで何だか嫌だった。

「……そうね」

「うん」

 結局母さんは、どうして急に僕を女として扱うようになったんだろう。だとしたら、秋奈だって同じくらい心配をするべきはずなのに。

 たぶん、引っかかってる理由は――この前の母さんとのやり取りのせいなのだろう。結局僕は、母さんのことをどこかで信頼できていないんだと思う。しかも僕は、母さんが嫌がっていたはずの女の子になる路線を強行したわけだし。

「そもそもおかしくないか? 今の僕は、たぶん母さんが嫌がることを平気でやっているはずなんだ。なのに母さんは僕のことを心配して――本当は気に食わないはずなのに」

 つくづく僕はひねくれていると思う。どうしてこんな嫌味なことを、言ってしまうのだろう。浴衣を着つけて、お化粧をしてくれたのは他ならぬ母さんだというのに……。

「気に食わなくても、親の言うことを聞かない娘でも言うしか無いじゃない。あなたのことが、本当に心配なのだから」

「口では、何とでも言えるよ」

 僕は、母さんの言葉を素直に受け取れなかった。

 なぜそこまでひねくれたことを言えるのか。それはたぶん、水面下にあった母さんに対する不信が今さら表に湧き出てきたからなのだろう。

「……仕事ばかりで、昔から僕たちのこと見てなかったくせに」

 男だった頃は、それでもどこかで割り切れたはずなのに。

「待ちなさい。それでも私は……」

「言い訳なんか聞きたくないっ!」

 母さんの言葉を塞ぐように家から飛び出る。……その時はまだ、母さんの心配がまさか現実のものになるだなんてつゆほども思わないまま。

 

 ◇


 せっかくのお祭りなのに、始まる前から嫌な気分になってしまった。おまけに説教と着付けで思っていた以上に時間を食ってるし。携帯を見る限り遅刻しそうな状況だけは間違いなく少女漫画やゲームでよくある転校生よろしく慌てて集合場所の学校正門に向かう。

 しかし、浴衣という衣服は思っていたより動きづらい。特に足元は洋服と違ってあまり幅を広げることが出来ないせいか、急いでいるのにもかかわらずスローペースでしか歩けない。おまけに下駄の歯が高いせいで重心が崩れてしまいよろけてこけそうになる。おまけに足と下駄が合わないせいか鼻緒が擦れてジンジンしてくる。

 端的に言えば、浴衣姿というのはかなり歩き辛いのである。靴ならばさっさと走ってしまえるのに。そう考えると、毎年眞子や秋奈は当たり前のように浴衣を着て祭りに出かけていたけれど――それって意外に大変なことだったんだなとしみじみ感じた。

 結局、集合場所である中学校正門には予定よりもちょっとだけ遅れて到着した。

「こんばんは、ハルちゃん」

「遅刻よ、春奈?」

 二人は既に集合場所についていたようで、予想していた通り綺麗な浴衣姿で待っていた。

「ごめんごめん! 着付けとか慣れて無くて」

 息を整えて、再び二人の浴衣姿をよく眺める。

 眞子は、桃色の浴衣。明るくて快活な彼女らしいデザインだと思った。アクセサリーもやはりファッションリーダーなだけあって明るく華やかで、でも下品なというよりは健全で元気な女の子がつけそうなものをつけていた。反面、委員長さんは黒色の浴衣。静かで知的な彼女らしく、アクセサリーとかも控えめな印象だ。

 正直、二人の浴衣姿は思っていた以上に気合の入ったもので、ただ浴衣の印象だけで選んでしまった分僕自身が浮いているような気もしてきた。

「それよりも、二人とも似合うね! 特に委員長さんが」

「そう? ……かなぁ? こういうの、小学生以来だから」

 小学生以来って、ゆっても君たち2年前まで小学生だっただろうが。僕もだけど。

 委員長さんは恥ずかしがって俯いてしまうけど、実際のところこの3人で一番うまく着こなせているのは彼女なのかもしれない。

「ちょっと、わたしはどうなのよ?」

「あぁ、可愛い可愛い」

「ちょっと、塩対応過ぎない?」

 眞子がムキになって何か言ってるけど、実際はこちらもやはり可愛いと思う。小学生の頃から毎年こいつとお祭りに行ってたから、こいつの浴衣姿は見慣れてはいたつもりだけど――性別が変わったこともあって女の子が感じる「カワイイ」にハマった着方だと思った。

「でも、本当に可愛いよ。毎年見てるから知ってはいたけど、今年は髪型変えたでしょ?」

 さすがにこれ以上適当を言ってへそを曲げられたら困るので、褒めるところはきちんと褒める。女の子は褒められると喜ぶ生き物だから、こういうときは素直に褒めるべきなのである。

「……よく見てるじゃない」 

 そう言い、眞子は俯く。分かりやすいやつだ……と思っていたのだが。

「そういうあんたも似合ってるよ。浴衣の色、華やかだけど大人っぽくて良いと思う」

 眞子の不意打ちが僕を襲う。いや、眞子だけじゃない。

「私も思うわ。ハルちゃんって、ぱっと見だと小さくてお人形さんみたいだからギャップもあってすごく魅力的に映る」

 よりによって、委員長さんまで追撃してきたのである。しかも、浴衣の色合いとかは僕が何だかんだでこだわっていたポイントだから、そういうところに気づいてくれるのは嬉しいようで恥ずかしいようで。

「別に? 浴衣を着て来いってあなたたちが言ったから、わたしは仕方なく買っただけで? 本当は私服で良かったんだけどね」

 それなのに、ついついつまらない意地を張ってしまう。確かに褒められることは嬉しい。先述したが、女の子は褒められれば喜ぶものなのである。それは僕だって同じ。しかしそれを見せるのは、何だかはしたないというか弱みを見せているような感覚に陥るのである。

 ところが。

「つまり秋奈ちゃんの言うとおりってわけだ。よっぽど悩んで、自分が気に入ったものを選んだのね」

「何でそうなるのさ?」

 眞子の意味深なというか、ニヤニヤで背筋が凍る。もしかしたら秋奈が余計なことを眞子に吹き込んでいるのではないかと考えたからだ。そしてそれは案の定で……。

「だって春樹(あんた)がそうひねくれたことを言うときって、大抵恥ずかしがって本心と真逆のことしか言わないわけだから」

「あーきーなーっ! 余計なことしくさってッ!」

 くそぅ、戦犯はやはりあいつだったか。眞子は何だかニヤニヤしているし、委員長さんも委員長さんで気を遣ってか逆に妙に優しい微笑みを見せてくるし。

「しかも、お化粧や小物選びも本当に上手くなったね。もうわたしが居なくても大丈夫だ!」

「あぁ、もう殺してくれ。元……おと……が調子乗りました」

 恥ずかしくてその場にうずくまる。これじゃ完全に、この場のために何日も前から入念な準備をしてきたみたいになるじゃないか。元男が女以上に女っぽいことをするだなんて、完全にヤバいやつである。確かに浴衣を着ることは想定してたけど、まさかここまで……女っぽいことになるとは僕自身思っていなかったのだ。

「ほんとこうなったのは、僕……わたしが浴衣について一から徹底的に調べたというかイメージしたというかそれの集大成なだけで。でもそれって本当はおかしなことで……」

 何だかわからない言い訳を始める。僕は一体誰に言い訳をしているのだろうか。考えてもみれば悪いことなんて何一つしてないはずなのに、意味分からないことばかり言葉に出るのである。

 ところがその言い訳も……。

「ハルちゃん、そこまで」

 肩を優しく叩かれて、右手を掴まれる。目線をあげるとそこには――。

「今のハルちゃんは、誰よりも乙女(おとめ)だよ。可愛いよ。だから、いつまでもその可愛い顔を隠さないで」

 よりにもよって、委員長さんに励まされていたのだ。もともとは、彼女を励ますために立てた企画だったはずなのに。

「そうね、結衣の言う通り。あんたは可愛いんだから、もっと胸を張りなさい」

 そう言い、眞子もまた僕の左手を掴んでいた。

『よいしょ』

 二人が手を掴んだまま、僕を引き上げる。僕の視界には、二人の笑顔が。周囲の人々が。お祭り会場へと続く提灯が入ってきた。

「それじゃ、行こうか」

「そうね」


「……ああ」


 二人に手をつながれ、一歩歩み出す。こうして、僕たちの夏祭りが幕を開けたのであった。


 ◇


 僕たちが行くことになるこの夏祭り。正式には「千種祭り」というのだが、これは僕たちが住む街の中でも最大規模のお祭りだ。そのため、僕たちが会場に入るころには、この街のメインストリートである御城通りはすでに人でごった返すという状態になっていた。

「相変わらずここの混雑は酷いね」

 溜め息をつきながら、眞子が言う。

「仕方ないよね。日が暮れて涼しいうえに、花火の前で落ち着いて縁日が見れるのってこのタイミングだろうし」

 委員長さんが返す。確かにその通りで、夜の8時から花火が始まるとみんな花火のほうに注目してしまう。そうなると、陽が暮れて涼しい時間帯かつ夕飯時のこの時間にが縁日のピークとなるのはある意味仕方ないことなのである。

 しかも縁日が集中しているのが、駅から街の主要施設を貫くこの大通りに絞られるのだから……パンク寸前なのは当然のことなのである。しかも花火会場の隣に架かる大橋も、この大通りの一部だし。

 そのため、最初は三人で手を繋いでいたものの、列をかき分けるうちに自然と崩れてしまう。

「これじゃお互いに迷子になっちゃうね」

「しっかりと手でも繋いじゃう?」

「あら、いいわね」

「えぇ、迷惑にならない?」

 というか、最初の時は雰囲気に押されて手を繋いでしまったけど……これって女の子同士だとしてもアリなのだろうか。子供と親とかならまだ分かるけど、手を繋ぐって一般的には恋人がやることのような気がする。男同士で手を繋ぐとか、それこそモロそっち系の人しか居ないだろうし。

 って、何でこんなことばかり心配してるんだ。

「お祭りらしいことをやらない?」

 せっかくお祭りに来たのだ。こんなところで男だ女だって考えるのもさすがにナンセンスだし、どうせならお祭りらしいことをしたいではないか。

「そうね、じゃあ……」

 委員長さんが、近くの屋台を指さす。

 そこには、お祭りの華。金魚すくいの屋台があった。一回300円と、お祭りのアトラクションとしては手ごろな価格だし、ご飯を食べるにもちょっと早いし良いのではないだろうか。

「ここ、行きたい」

「わたしは賛成。眞子は?」

「わたしもやるわよ! 20匹くらいすくってやるわ」

 まーたそうやって出来もしないことを言い始める。そんなわけで浴衣を着た中学生女子3人。小学生たちに交じって金魚すくいをやることになった。といっても、僕は引率みたいな感じで普段はあまりこういうのをやらなかったりするわけなのだが。

「一回300円ね。空いたところに入ってな」

 そう言って二人は網を受け取る。

「私小学生以来なのよね。しかも当時もあまり取れなくて……」

「わたしは去年も確かやったなあ。まあ、秋奈ちゃんと2人でやってズタボロだったけど」

「懐かしいな! そういえばそんなこともあったね」

 委員長さんのときの状況は見てないから、どんな感じだったかは分からないけど。でも、眞子たちはまあ面白いくらいに取れてなかったことは覚えている。さすがに2人いれば2、3匹程度は持って帰ってくるだろうと踏んでだけど、まあ全滅で。

 もちろん持ち帰ったとしてもお祭りの金魚なんてすぐ死んじゃうからとれたとしてもそれはそれで困ってしまうことになるのだが。

 そんなわけで、空きスペースが出来ると二人は子供たちに交じって金魚に狙いをつけ始めた。微笑ましくて、つい新しいスマホでパシャリと二人を撮る。

「ちょっと春奈、子ども扱いしてるでしょ?」

「あら眞子ちゃん、私たちまだまだ子供よ?」

 眞子が文句付けてきたけど、意外にも委員長さんはノリノリ。普段は静かで真面目なイメージがあるだけに、こういうところで見せる委員長さんの意外な一面はちょっとドキッとするものだった。

 ところが、子供らしさを見せつつ金魚に狙いを定めて網を突っ込んだはいいけど。

「あぁ、破れちゃった!」

「私も。意外に難しいわよね」

 二人はあっさりと網を破っちゃったみたいだ。確かに、紙の網なのだから水につければ脆くなってしまう。だから二人はそろそろと網を水面につけて、上に乗った魚をしゃもじで拾うようにすくったわけなのだが……水につけた状態で金魚なんか掬ったら重みで破れるのは当たり前の話だ。

 そもそもそんなほぼ不可能な条件で金魚をすくうからこそ金魚すくいってゲームになるわけだし、商売になるわけなのだが。

「お嬢ちゃんたち、もう一度やるかい?」

 屋台のおっちゃんは笑いながら乾いた網を差し出す。地味に鬼畜な行為だ。

「いや、私は……」

「わたしもちょっと……」 

 二人とも少し引きつった顔になっている。当然だ、300円が一瞬でそれこそ文字通り水に溶けてしまったわけなのだから。こんな状況でおっちゃんの追撃なんか普通はスルーするわけなのだが。

「そうかい。だけど、小学生の坊主でも取れるのにお嬢ちゃんたちは諦めるのかい?」

 ここにきておっちゃん、二人を挑発しに掛かったのである。なるほど、年齢が若干高いからもっと搾り取れるだろうと判断したのか。そしてそんな見え透いた挑発に……。

「諦めない! おっちゃん、もう一枚!」

「まいどッ」

 眞子はあっさりと乗ってしまう。もう長い付き合いだから今さらだけど、こいつの負けず嫌いっぷりはなかなかに酷い。そしてだからこそしょっちゅう痛い目見てるのだが……。

「あぁ、また破けた! どうなってるのよ!」

「これは、ひどい」

 まあ案の定、である。ただでさえ繊細な作業が要求されるゲームなのに、血が昇った状態で取れるわけが無いだろう。

「はーるーなー! あいつにぎゃふんって言わせてよ!」

「幼児退行すなっ!」

 あと店主をあいつ呼ばわりするな。仮にもお前は中学生だろうが。しかし眞子はぷんぷんとしながら、子供じみたことを言う。そうはいっても手首にはお情けの金魚が一匹掛かっているわけなのだが。店の看板に小学生まではすくえなくても一匹とあるあたり、店主も眞子のことを子ども扱いしているのではないだろうか?

「そこの紫の浴衣のお嬢さんもどうだい?」

 しかしこの人も懲りないな。眞子たちからはこれ以上絞れないと判断したのか、今度はターゲットを僕に変えたというわけなのか。もっとも、僕も僕で金魚すくいをやる気も無いのに二人に付き添っていたのがまずかったわけなのだが。

 まあ別に300円だし、たまにはこういうのも良いだろう。店主のおっちゃんから網を受け取り、子どもたちに交じる。そして、静かに水面とその下に泳ぐ金魚の動きを見つめる。20秒ほど眺めると、金魚の泳ぎ方に一定の法則性があることが分かった。

「これ、10匹は固いな」

 やろうと思えばそれ以上いけるけど、さすがにそんな大人げないことはしない。

「待って、春奈それ本気?」

「まあ黙って見てなって」

 そう言い、静かに水面に網を突っ込む。金魚に狙いを定め、網のフチで金魚を拾い上げる。

 重要なのは、網の面は一切使わないことだ。そもそも紙でできた脆い素材だ。例え3枚重ねたとしても、湿っていたら金魚の重みに耐えきれず、落っこちてしまう。フチならば網の面にダメージは行かないし、そもそもテコの原理で軽い力で大きなエネルギーを使えるというわけである。

「ちょっと、ハルちゃん上手くない?」

「……そういえばこいつ、射的とか輪投げとかめっちゃ上手いんだった」

「別にそんなことないよ。コツを掴めば誰でもできる」

 なんて言ってる間に10匹である。これ以上はさすがに迷惑だろうし、というか目的を達成したので意図的に網を破る。

「お、お嬢ちゃん上手いね。全部持ち帰るのかい?」

「いえ、差し支えなければいけすに戻していいでしょうか。荷物が増えるとアレなので……」

 そんなわけで、眞子の仇も討ったわけだし金魚すくいの店を後にする。ちなみにその後も、射的や輪投げなどの屋台に入ったのだが、そこでも眞子がことごとくボロ負けしてその分を僕が取り返したわけなのだが……それはまた別の話。

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