幕間 ミトゥース 其の思い2
ボクは、どうしてしまったのだろう。
「エドワード・カイザン・・・・・」名前を呟いただけなのに、胸がドキドキと高鳴り、体が熱くなる。
ボクは本当にどうしちゃったんだろう。
最初は、養父である可部靖迷の言いつけ通りお目付け役という名の監視役としてエドワード行動を監視していた。でも、遺跡で転移してから1ヵ月もたたないうちに、エドワードの人柄に触れ、仲間として共に戦ううちに違う感情が芽生えてきた、ボクはボクの中に芽生えた感情が何かわからない。その感情が恋なのか、友情なのか、それとももっと別の感情なのかはわからない。
わからないけれども、ボクはエドワードのことを心の底から信頼しているし尊敬もしている。
彼が居てくれると思うだけで不思議と勇気が湧いて来るのだ。
もう1週間もお風呂に入っていないのでさすがにベタベタしたい。それに臭うだろうなぁ、お風呂に入りたいよぉ~~。そんなことを考えているとお腹がグーとなった。恥ずかしい・・・・・ボクは慌てて周りを見るが誰もいなかったので安心した。すると今度はお腹がキュウ~となり余計に恥ずかしくなったので行きつけの食堂へ足を向けた。
食堂に着くとちょうど昼時だったせいか、とても混んでいたが何とか席に座ることが出来た。お腹が空いていたので何か食べるものを探すと美味しそうなハンバーグ定食があったので注文をした。すると「ハンバーグ定食一丁!!」という声が聞こえてきたのでどうやら聞こえたようだ。
ボクは料理が来るまでの間手持ち無沙汰だったので周りを見渡してみることにした。そうするとある1点で視線が止まったのだ。
「あれは、エドかな?」
そこにはエドがいた、ただいつものエドとは違う雰囲気を感じたので少しドキッとしてしまった。でも、何か変だ。いつものエドなら絶対にあんなラフな格好はしないはずだ。それに今日はいつもの鎧姿ではなく、動きやすそうな軽装だった。
それになんと言うかいつもは凛々しいが男らしい顔つきだったが今日のエドは少し顔色が悪いように見えたので体調が悪いのではないか心配になった。すると急にこちらの方に視線が来たので思わずドキッとしてしまった。するとエドはボクに手を振ったかと思うとどこかへ行ってしまった。
「え?」ボクは訳も分からずにただ茫然としていたのだった。
「何だったんだ?今の?」
ボクはエドの行動に疑問を抱きながら料理が来るのを待った。すると周りが妙にザワザワしだした。何だろうと思いふと見ると、周りにいた人たちがボクの方を見ていたのだ。
「え、な、なに!?」
ボクが戸惑っていると今度は給仕の人がこちらにやってきた。
「はいよ~ハンバーグ定食一丁お待ち!」
目の前には美味しそうな湯気を立てているハンバーグ定食が置かれていたのでボクは早速食べ始めた。食べている最中食堂に戻ってきたエドが、ボクの目の前に座ってボクと同じハンバーグ定食を食べ始めた。
「え、エド!?どうしたの?」
ボクはエドの行動に驚いてしまったが、エドはハンバーグを食べるのに夢中なのか、こちらを見向きもしないで黙々と食べていた。ボクはエドの態度に少しムッとしてきたので、こうなったら意地でもこっちを向かせてやると決意し、黙々と食べているエドの横で必死にアピールし続けたが一向にこちらを向くことはなかった。
もうどうにでもなれと、開き直り目の前に置かれていた水が入ったグラスを手にとり一気に飲み干したのだがそれがいけなかった。
「うぷっ、ごほ、げほっ!!」
ボクは咳き込みながらも何とか必死に我慢し、口元を押さえていたが、急に胸のあたりが熱くなり始めると次第に体が熱くなっていき息苦しくなってきた。ボクは胸の苦しみを少しでも和らげようと胸に手を当てて押さえ込んでみたが一向に収まらずむしろ悪化していく一方だった。
そんな時だった。エドは突然立ち上がるとボクの手を引いて走り出したのだ。いきなりのことで混乱しそうになったがボクはエドに連れられるまま店の外へ出たのだった。
「お、おい!どうしたんだよエド!」
ボクは息が苦しくなりながらも何とか声を出して聞いたが、エドは何も答えずただ走るだけだった。
しばらく走り続けていると街外れまで来ていた。
ボクは限界だったこともあり、その場に倒れてしまった。すると、エドはボクの体を抱き上げるとそのまま歩き出したのだ。
(どこに連れて行く気なんだろう?)
もう体力の限界だったので抵抗する気力も残っておらず、されるがままに運ばれていたが急に立ち止まってしまったため思わずエドにしがみついてしまったがそれでも離してくれないどころか、なぜか強く抱きしめられてしまった。
「え、エド?どうしたんだよ一体?」
ボクは訳が分からず困惑していたがエドは何も答えてくれなかった。それから少し経ってやっと落ち着いたのか、ゆっくりと降ろされたのでお礼を言おうとしたのだが出来なかったのだ。何故ならエドの顔が目の前にあったからだ。次の瞬間には唇が塞がれていたからだ。
その瞬間ボクは何が起こったのか分からなかったが、キスをされていることだけは分かったので慌てて離れようとしたがエドは逃さないとばかりに抱きしめてきたのだ。しかも舌まで入れてきてきたのだので頭の中が真っ白になってしまった。ところで、目が覚めて最初に目に入ったのは知らない天井だった。
「あれ、ここは・・・?」
ボクはぼんやりとした頭で考えようとしたが頭が働かない。すると隣から声が聞こえてきたのでそちらに顔を向けるとエドが何かを書いているところだった。そしてボクがいることに気づいたのか、すぐにこちらに振り向いたのだ。
「目が覚めたかい?よかった」
そう言ってエドは安堵した表情を見せた。どうして彼がここにいるのかなと考えていると次第に昨日のことを思い出してきたのだ!そうだ思い出した!!確か路地裏でエドに連れ出されて抱きしめられてキスされたんだ、でも夢だったんだ・・・・・・・。少し残念な気分になる自分の思いって、認めたくないけど・・・・・・、養父さんボクはどうすればいいでしょうか?




