2022年2月17日
ハスラーの車内で休憩後、エボリューションと二台、昨日の雪による汚れの拭き取り。再びハスラーの中で過ごして居たらまた雪が吹き付けてきた。拭き取った甲斐がない。
女の子三人、16時過ぎにやって来た。『この寒いのにご苦労なことで』と感心する俺だ。時折エンジンを掛けて暖房を効かせて車内を温めながら三人を見守る。
きよのちゃんがステファニーを抱きかかえ過ぎて警戒して逃げるようになった。このことに、外に居たあいちゃん、車の中で暖まっていたきよのちゃんに、「毛玉がステ抱き過ぎたせいで逃げるようになったやん。うちもだんごに同じようなことするけんね」と仲間割しだす。俺としては、『あいちゃんときよのちゃんが言い合いするなんて珍しいな』という感覚だ。
意趣返しにあいちゃん、「毛玉このコート破ったことまだうちに謝罪してないよね」と蒸し返す。対してきよのちゃん、「雪玉うちに当てるの止めてって頼んだのに応えてくれんやったやない。冷たかったんやけんね」
「お前ら喧嘩は止めれや」と一応止めるふりをする俺。
きょとんとしているかなえちゃんに、「前、雪が降ったときかなえちゃんば車で迎えに行ってやったやろ。あのときのことや」
この寒さ、さすがに耐えられないようで、あいちゃんときよのちゃん、互いに車で暖まっては出て、ステファニーとたんごに餌をやっていた。
車に乗り込んできたあいちゃん、「猫じい、さてうち今いくら持ってるでしょう?」
「十円!」
「ブ、ブ〜!」
「なら二百円か?」
「ブ、ブ〜!」
雪が強くなって、「もうダメ!猫じい車、車」
いつもの通り、後部座席の左側にあいちゃん、右側にきよのちゃん、かなえちゃんは助手席だ。
俺はステファニーの餌としても使えて、女の子三人も好きなパウンドケーキをいつも買っておく。今日はステファニーに一つ、俺が一つ食ったせいで二つしか残ってなかった。まずいかなとは思ったが、「パウンドケーキ二つしか残ってないんじゃ」
「猫じいいいよ。うちとマリアで食べるけん」
かなえちゃん、「私はいいよ、二人で食べて」
きよのちゃん、「かなえちゃん嘘つきよね。スマホ1月に買って貰えるって去年の11月から言ってたのに」
あいちゃんも、「やっとラインで繋がれるって楽しみにしとったのに〜」
かなえちゃん、「お母さんに言って」
きよのちゃん、「そんなこと自分で言うもんやないん」
あいちゃん、「正直、いつ買って貰えるん?」
かなえちゃん、「誕生日になった」
あいちゃん、「誕生日いつやった?」
「3月22日」
「へっ卒業式の五日後か」と俺が口を挟む。
あいちゃん、「ところで卒業式が終わって資さんに行くんどうする?」
きよのちゃん、「うちのお母さん、かなえちゃんのお母さんとは初対面やけん無理って言うんよね」
あいちゃんも、「うち、かなえちゃんのお母さんに嫌われてるみたいなんよね。ラインしたときそんな感じやったよ」
俺が、「ああ覚えとるわ。あいちゃんがかなえちゃんに連絡取ろうとかなえちゃんのお母さんにラインしたときやな」
かなえちゃん、「私のお母さんそんなんNGやと思う」
きよのちゃん、「じゃぁ、うちのお母さんとマリア(あいちゃんのこと)のお母さんさんと五人で行く?でも一人だけ親がいなかったら肩身狭いよね」
あいちゃん、「うちもそんな経験あるよ」
「二人で行って来てよ。私は一人でカップ麺でも食べとくよ」とかなえちゃん。
きよのちゃん、餌を兄上(猫の名前)から守るために一旦車を下りた。
あいちゃん、かなえちゃんに、「私の500円玉見たい」
「えっ!あいちゃん500円も持ってるの?」
「そうです。これが500円玉です」とかなえちゃんに触らせてあげる。
かなえちゃん、「鉄の手触り」
俺、『ってかなえちゃん、500円玉って鉄か?』
車に乗り込んで来たきよのちゃんに、「見てこの500円玉」
「どしたん?」ときよのちゃん。
「さっき空き家(俺の家の前にある二棟の空き家のこと)の草むらで拾ったん」
「えっ嘘!」ときよのちゃん。
あいちゃん俺に、「猫じいも知ってるよね」と目配せ。
「さっき俺にいくら持っとるか訊いたんはこの500円玉のことやったんか」と俺。
あいちゃん、「拾ったとき一緒に居たかなえちゃんが証人だよ」
きよのちゃん、「かなえちゃんほんと?」ともろに疑いの眼差しで見つめる。
「うちは信じないよ。あいちゃんの性格からしたらその場で500円玉拾ったって叫び捲る筈やから」
きよのちゃん、厳しい目であいちゃんを見て、「嘘なら嘘って早く言った方がいいよ。嘘ぴょ〜んとかまじで許さん!シバく!」
あいちゃん、きよのちゃんの追及にこれ以上耐えられなくなって、「嘘ぴょ〜ん」と笑いだした。
きよのちゃん、「猫じいは惚けるのが上手いけどかなえちゃんはバレバレやから」
「苦しかったぁ」とほっと一息のかなえちゃん。
あいちゃん、「この貴重な500円玉はお婆ちゃんから貰ったものでしたぁ」
「中華料理店やっとるお婆ちゃんか?」と俺。
「中華料理店やってるのはお爺ちゃん」とあいちゃん。
「中華料理店やってるお爺ちゃんのお婆ちゃん?」と言い直してくれるかなえちゃん。
俺、「で、その500円でトライアルか?」
あいちゃん、目をうるうるさせて、「猫じいおねが〜い」と来た。
「もう五時半ぞ。門限の6時までに間に合うんか?」
きよのちゃんも、「だから猫じいおねが〜い」ときたもんだ。
「かなえちゃんもええんか」と問うた俺に、「猫じい、門限までにお願い」
「分かった」
住宅街を行く車の中であいちゃん、「猫じい、最初は誰かに見られる〜とか言って気にしよったけど、今は仕方ない乗れやもんね」
「もうこれでお前ら乗せるんは四回目じゃ。誘拐にも慣れたわ」と俺。
住宅街から四車線の大通りに。
きよのちゃん、「うち今日西村とニヤミスしたんよね。やっぱ気まずい。あいちゃんとのことがあったしね」と切り出した。
「あいちゃんと違ってうちは同じクラスやし。でも西村相変わらずのイケメンやわ。諦めきれんわ。猫じいどうしたらいい?」
「NM中はKZHR小だけやのうてNM小の奴らも来るけんそん中にきよのちゃんが待ち望むイケメン居るんやねぇか」
「KZHR小、イケメンって西村だけやったけんNM小には期待できんわ」ときよのちゃん。
あいちゃん、「猫じい、うちとマリア(きよのちゃん)今は仲良いけど前はどろどろやったんよ。西村とうち、2年付き合ってたん。でもあいつ、マリアにも手ぇ出しとったん分かって別れたんよ」
きよのちゃん、「あいちゃん、うちの下駄箱に入れとった蛙の死骸どこから調達してきたん。それ不思議やったわぁ」
「あの頃、マリア(きよのちゃんのこと)とはバチバチの関係やったもんね。ってマリア、うちの上履きに画鋲入れとったよね」
かなえちゃん、「あいちゃん怪我せんかったぁ?」
「お前らの恋の鞘当てっていうか、西村ってイケメン巡っての喧嘩、一番激しかったんはいつなんか?」と、興味津々に質問する俺。
きよのちゃん、「秋頃。五年生の11月かな。でもあいつイケメンやったなぁ。もったいなかったなぁ」
「あのまま続けとったらうちかマリアのどちらかが負けるってことだよね。でも、平気で二股掛ける奴とか付き合えんわ」
俺、「少女漫画の世界やな。恋をとるか友情を取るかか。かなえちゃん彼氏は?」
「そんなもの居ないよぉ」とかなえちゃんちゃん、言下に否定した。
「でも、ある男子にストーカーされて付きまとわれたよね」ときよのちゃん。
とか盛り上がっている最中に激安スーパートライアルに着いた。最後にきよのちゃん、「西村うちにお腹見せてくれたんやけど腹筋見事に割れとったよ」
スーパーの中に入って、戻って来た三人、「猫じいお願い。もう歩いたら門限間に合わん。車で家まで送ってぇ」
『くそっ!こいつら俺を足代わりにしやがって』とは思うものの、孫みたいでめっちゃかわいいから抗えない。
「しゃぁねぇな。今日だけやぞ」
きよのちゃんの家の前の駐車場に着いてあいちゃん、後部座席右側の窓を全開にして、「マリア〜、またね〜、握手〜」とまるで今生の別れみたいなパフォーマンスを繰り広げる。
俺は、『こいつら俺が車で送ってやったもんで完全に調子に乗ってやがるわ』と苦笑い。
自分もきよのちゃんと同じように別れを惜しみたがってる風なかなえちゃんには、「かなえちゃ〜ん、は、いいわ。キモいしぃ」と手を引っ込めるあいちゃん。
「もう〜あいちゃん酷いぃ〜」




