112 中級ダンジョン43階層2
ウォーターヒュージスライムを幾度となく倒したリュージはふとある変化に気付いた。
だんだん、ウォーターヒュージスライムが大きくなっているのだ。
「大きくなってきているよなぁ? 俺の勘違いではないよな。」
リュージは誰となく確認の意味で周りに聞いた。
「はい、確実に、大きくなっています。何故かはわかりませんが、出会うたびに、段々と個体全てが大きくなってきています。鑑定では特に何も変化はありません。」
鑑定大の使えるモコートが既に察しており、何度か鑑定大を使って調べていたようだった。
しかしながら、鑑定大では本人が言っていた通り、何も鑑定できなかったようである。
「わからないが、倒していくしかないだろう。スピードが遅いから、倒さずにすり抜けるのは容易だが、人数がいるのに放置するのもなんだしな。」
リュージは知らなかったが、ここを通る冒険者はウォーターヒュージスライムの厄介さを考えると、全滅させるほどのものでもないため、すり抜けるのが通常である。
また、知らずに仮に倒し続けたとしても、途中で気付いて、厄介だということになり、すり抜けることにするのが、通常であった。
「どこまで大きくなるか見ものだな。」
そうこうしている間に、ウォーターヒュージスライムは、少しずつだが確実に大きくなっていった。
10から20匹ごとのウォーターヒュージスライムとの遭遇は15回以上続いた。
その度に、それぞれの個体は大きくなっていき、時間がかかるようになっていた。
「うーん、ちょっとまずいな。時間がかかり過ぎている。少しテコ入れするかな。」
そう言ってリュージは自身のスキルであるエアーフライングナイフを使って戦っているバディーのそれぞれの個体を狙ってサポートした。
リュージのエアーフライングナイフはアイテムボックスの変形である。
アイテムボックス刀と同じ、いわゆる次元ナイフであるため、基本的には切れないものはない。
飛んでいったエアーフライングナイフはとびっっぱなしではなく、元はアイテムボックスなので、戻ってくる。
スパッスパッスパッっとキャベツを千切りにするように切り刻む。
物理担当はすぐにウォーターヒュージスライムの核を見つけ出すことができ、ついて核を砕いた。
サンダー魔法担当は、サンダーで全滅するより早く核が潰されるので、補助に成り下がってしまっている。
まぁ、もともと人数も少なかったので、ちょうど良い。
時間がかかっていたのも、サンダー魔法の人数が少なかったためだ。
そしてペースアップして、再び次々とウォーターヒュージスライムは倒されていき、遭遇回数を30回を越える頃になると、ウォーターヒュージスライムの1体の大きさは10メートルを越える大きさになっていた。
「流石にヤバくなってきたな。逆にするか。サンダーを使っている者は、核の近くを攻撃、物理攻撃の者は核が見えたら、手早く核を破壊する。このルーティンに変更してみてくれ。」
リュージはサンダーの魔法を効率よく核の近くまで破壊できるように、タイミングを合わせてエアーフライングナイフを大型にして飛ばす。
飛ばしたエアーフライングナイフはウォーターヒュージスライムの上半分ぐらいを一旦飛ばすことに成功するが、しばらくしたらスライムのカケラが寄ってきて、回復してしまうが、そこにサンダーを入れて核をむき出しにする。
最終的に物理攻撃の者が核を突いて潰すといった流れだ。
1回のウォーターヒュージスライムとの遭遇は20匹近いので、なかなかのスリリングさである。
それでもペース落とさずウォーターヒュージスライムを狩ることができている。
リュージの負担は大きいが、魔力を使っているわけではなく、スキルのアイテムボックスを動かしているだけなので、消耗はしていない。
「そろそろ、次の階層の階段が見えてくる筈だ。このフロアーのウォーターヒュージスライムは粗方、倒した感じだな。だんだんと大きくなるから、きっとフロアー中のウォーターヒュージスライムがくっついてきたんだろうな。不思議なこともあるもんだな。」
「リュージ様ぁー、それだとフラグたっちゃうと思うんですー。もうすぐ終わりとが、ヤバヤバぁー。」
ミカが慌てて、フラグを倒すような発言をしてきた。
「まぁ、どっちにしろ、倒すには変わりない。」
リュージは既に知覚していた。
どう考えても、次の階層にいく階段前に、このフロアー最後のモンスターがいるのである。
リュージのスキルの1つであるエアーサーチによると、かなりな大物である。
「どうやらこのフロアー最後のモンスターがいるようだ。大きさは50メートルはありそうだ。今までの大型ウォーターヒュージスライムの倍以上ある。気をつけて倒すぞ。」
リュージはこのフロアー最後のウォーターヒュージスライムを視認した。
ウォーターヒュージスライムは次の階層の階段を完全に塞いでいた。
次の階層に行くためには、このウォーターヒュージスライムを倒すしかないようだ。
リュージと仲間たちのこのフロアー最後の戦いが始まろうとしていた。




