お願いだからもうやめて……
私はミズキの待つ校門に向かっていた。
「愛想を尽かした」「浮気」……ミユキが言った言葉を聞いた瞬間頭が真っ白になり、気づいたら体が動いていた。
何が悪かったのだろう?私はミズキに何をするべきだったのだろう?
校門に着くまで色々考えていたら、一つの言葉を思い出す。
『だから、気にしないで!私、ミズキにそこまで求めてなかったから』
ミズキに告白されて付き合うことになった日に言った言葉。その言葉が…ミズキの反応が…脳内を反復する。
あの時、あんなこと言わなければ、しっかり確認をしていればこんなことにならなかったのかもしれない。
今更ながら私はあの時の自分の言動を後悔した。
「ミズキ!!」
校門前に待機していたミズキを視界で捉えた瞬間、大声で名前を叫ぶ。
「ん?どうしたんだよリサ……そんなに急いで」
「はぁ……はぁ……。ねぇ……」
息を整えながら問いかけようとするも、私は口籠る。
どう言えばいいんだろう?なんて聞けばいいのだろう?
私はミズキに何を言えばいいのかわからず、沈黙してしまった。
そんな私に気を遣ったか。はたまた、堪え兼ねたかミズキは話しかけてくる。
「どうしたんだよリサ……何があった?」
「……少し話したいことあって」
「リサも?じつは俺も話があるんだ」
「………え?」
「リサ、どうしたんだよ!」
気づいたら私の頬に一つの水滴が流れ、ミズキはそれを見てか、慌てて声をかけてくる。
たが、私は気にせず言葉を絞り出す。
「……は、話って……何?」
「何でそんな泣きそうなんだよ」
「………」
「ここにいても話進まないし、とりあえず場所変えないか?ちょっとここだと言いづらいし……。こっちきて」
黙って何も言わない私にミズキはそう言いながらも、右手で私の左手を引いて歩き始めた。
私は何も出来ず、手を引かれるままについていく。
この後どうなるんだろう?
その疑問が心に残った。
「着いたよ」
「……どこ、ここ?」
ミズキに手を引かれ着いたところは、人気が無い小さな公園だった。
中心に大きな大木があり、周りにブランコやベンチがある、小さくてかわいい公園。
時間帯も相まって、その公園は夕日の光が差し掛かり幻想的な空間であった。
「こっち来て」
「……うん」
私はみずきにそう言われ公園に着くなり公園の中心に立つ大木近くまで移動した。
私はミズキの行動の訳が分からず思わずーー。
「何?」
ーーそう聞いた。
「さっきも言ったけど、リサに話があって」
私はこの言葉を聞いた瞬間胸のざわめき始める。
「話って……何?」
「……どうしたの?」
「別に……」
「いや、言わなきゃ分からないって」
「……今日、クラスの女子と話してたよね。何で?」
私は決死の覚悟でそう質問をする。
だが、ミズキは特に反応を示さずに
「あぁ、別に何でもないよ」
平然とそう返してきた。
ミズキの悪気のないその反応にさらに苛立ちが増していった。
このままじゃ話が進まない。
私はミズキに直接聞くことにする。
「もう私に愛想尽きたの?」
「え?」
「私何かした?もしかして、告白された日に言ったこと気にしてしたの?」
「だから何を言って……あ!もしかしてリサ……俺に嫉妬した?」
「?!」
確信をつくその質問に驚き、私は黙り込んでしまう。
「そっか……リサが俺にねぇ」
「……何その反応?ムカつくんだけど」
「ごめんて、そんなに怒らないでよ。そうか、そうなんだ」
「……何でそんなに嬉しそうなのよ」
「何でもないよ。嫉妬しなくても平気だよ!ここに来たのリサのためだよ」
「は?嫉妬してないし自意識過剰すぎるんじゃない?てか私のためって何?」
私の反応を見てか、ミズキはニヤけながらそう言ってくる。
私のためって何?意味わからないんだけど。
そんな疑問を思いつつ、今のやりとりで少なくともミズキが私に愛想を尽かしたわけではない。
そう分かっただけでも少しだけ胸のモヤモヤが晴れていき、何故か「リサのため」そう聞いた時のとても心地よかった。
「ごめんね。リサを不安にさせちゃったね。なら……安心させなきゃね」
「安心って何?」
「それはね……こういうことだよ」
「?!」
ミズキはそう言いながらも私の背後にある大きな大木に手をかけ、顔を近づけてくる。
ミズキのことしか頭になかったことで移動していたことに気がついていなかったらしい。
私の背後にある大木にミズキは右手で押し、左足をわたしの両足の間に入れてきた。
いわゆる壁ドン体制だ。
目の前にいるミズキの呼吸が聞こえるくらい顔が近くにあり恥ずかくなり、この体制になってからというもの、次第に鼓動が速くなる。
「ち、近いから離れて!他の人見られるの恥ずかしいから!」
「大丈夫だよ。友達から聞いたんだけど、実はこの公園穴場でね……人通りが少ないんだよ。だから安心して」
「そう言う問題じゃないから!」
恥ずかしさのあまり、私はミズキを退けようとするも、意味をなさない。
男と女……力の差は明白であった。
どうにもできず、何もできない。
「この場所探すの大変だったんだよ。人に聞いて、現地を下見して。……それに」
ミズキはそう言いながら、私に顔を近づけて左耳に口を近づけてーー。
「リサはこういうのを望んでたんでしょ」
そう耳元で囁かれ、私は体温が一気に上昇するのを感じる。
おそらく顔は真っ赤になっているかもしれない。
その姿をミズキにあまり見られたくない為、早くこの場から逃げたい。
その思いが次第に強くなり、逃げ出したい衝動に駆られる。
「分かった、分かったから早く退いて!」
「え、リサはこういうの望んでたんじゃないの?」
「そ、そうだけど!もういいから!」
私の反応を見てか、ミズキは何かを思いついたのだろう。
悪戯の笑みを浮かべて話し始めた。
「ふふ……こういうリサ初めてみたよ。攻められるのには弱いんだね」
「……」
私はミズキの言葉に対して言葉を絞り出すことができなかった。
この時の私は恥ずかしさが限界を迎えていた。
顔も赤くなるのが自覚できるくらい身体中が熱かった。
「リサ」
「……え?」
ミズキは私の名前を呼びながら顔を近づる。
この場の雰囲気、行動からミズキのやろうとしていることが分かり、恥ずかしさの限界点を超えた私は……。
「いい加減にしろ!!」
声を上げながら、左足でミズキの股間に蹴りを入れた。
「う……なんでぇ」
ミズキは蹲りながら、あまりの痛さに震えながらも言葉を絞り出すようにそう言っていた。
「最低!キス魔!ばーか!ばか!あほ!ばか!」
私はミズキに思いつく限りの暴言を吐きながら逃げるようにその場を去った。
この時の私は初めて感じていた胸の感覚はもうすっかり消えていて、心は晴れ晴れとしていた。
お読みいただきありがとうございます。
これで完結です。
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