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墓参りの旅、但し日帰り



セーラの無駄な気遣いで幸せな転生させてやれなかったという事が発覚したので昨夕は殴り合いをした。が、よくよく考えれば奏多も絡んでた…神って奴はアホしか居ないのか。


それはさておき、せっかくもぎ取った2泊3日の墓参り旅行が日帰りにまでさせられた。それが認められない場合は墓を荒らして纏めて連れてくると言う混沌駄女神が居たから渋々だ。最悪、纏めて束ねてハーレム入りさせるぞとか言い出したらたまったものではない。


まあ、その分追々行ける場所とかを削って1ヶ所だけに絞り込んだ。フレアの…沖田たちが行った火山だ。大森林やシラヌイには足を運びやすいが、未だ活火山である場所をこの機会に行かないと全員で行ける場所ではないのに着いてきて大変な目に遭うのは分かりきっている。


とはいえ、案内してもらうべきかとも思うわけでフレアに頼んでみる事にした。当日だから断られるのは確実だが。



「火山に…まあ、先輩なら大丈夫だと思いますけど毒性のガスとか今も出てますし…」


「それを知ってるって事は、行ったのか?」


「まあ…ただ、噴火とかで地形も昔と変わって最後の場所まで辿り着けてないんですけど…」



詳しく聞けばマスター奏多が墓参りしてくるついでに調査してきて欲しいとかで攻略中らしかった。件の逃げ出してきた神やら王の捜索でそんな場所を探す必要あるのか不明だが。



「無理やりでも最奥まで行けば逃げてる奴が出てくるか…あるいは、洞窟の時みたいに消し飛ばせば纏めて…」


「先輩、その思考はヤバいです。それで天変地異とか起きたらどうするんですか…」


「まあ、何か起きるなら起きてるだろ。既に洞窟は消し飛んでるんだし」



だが、そういうイベントがあるとしたら消し飛ばすべきではなかったかもしれない。とはいえ、進化イベントだと残念な武器になりそうだからなぁ…駄剣が増えても困る。「お主を貫いた詫びに思う存分貫くが良いぞ」とか言って仲直りと称して夜這いしてきたのが昨夜居たわけだし。勿論、部屋から叩き出したが。









マスターからの許可も貰い、先輩と一緒に火山へと向かった。


あの日、俺たちは魔族の2人の案内でここにやってきた。休火山だと聞かされていたのと、他のところみたいにダンジョンらしくないただのピクニック気分。正直、こんなに簡単で良いのかと、他のところに向かった皆に申し訳ないと思えるほど楽な道のりだった。まあ、魔物も出はしたが俺には着いてきてくれた仲間も案内してくれる人たちも居たから恐れるものはなかった。


山頂近くの横穴の中に聖剣を祀った祭壇があって、聖剣を手に取った瞬間にそれは起きた。入ってきた穴から大量の溶岩がいきなり流れ込んできて…俺は、俺だけがマナの女神に助け出された。



「皆、良い奴だったんですよ。同じサッカー部の奴とか、同じ中学の奴とか、こんなオレの事を好きだって言ってくれた。魔族の2人だって、優しくって…なのに、助けられなかった」


「…それで、世界を壊そうとしたか」


「…そう、ですね」


「……良かったな。止めてくれる奴が居て。間違わずに止めてくれて」



先輩は、少し遠い目をしていた。よくよく考えれば先輩はもっと酷かったのだと思う。次々と大切な人たちを失うか自ら手に掛けて…もし、全てが先輩の思った通りになっていたら、オレの思った通りになっていたら。先輩はその先に幸せがあった。だけど、オレには無かったのだと思う。そこが、オレとこの人の決定的な違いだ。



「マスターには感謝しています。でも、先輩はどうなんですか…リーシャちゃんに止められて…」


「止まらなかっただろ。世界は守られた…レトラの思惑通りに。挙句、この世界と完全にくっ付いた。それが良かったとは言わないし、悪かったとも言い切れない。多くの人が死んで歴史も何もかも消えたが罪は消えない」


「罪ですか…」



オレは、どれだけの罪を重ねただろう。皆を助けられずマナの女神を殺し、マスターに全てを背負わせマナの女神の右腕として職務で多くの命を奪った。職務としては割り切れる…そうしないと色々なものが守れなかった。だが、それをマスターに背負わせた罪はある。


だけど、もし止められていなければ…オレは多くの世界を、命を奪っただろう。どっちが良かったとか考えられるものではないけど。



「まあ、お前の場合は防いでもらえたし代償に体も失って奏多にこき使われている。だから、償いなんてのは済んでるだろ…400年も昔の事をいつまでも悔やむな。体を失って生まれ変わったようなものだ。今生きている奴を、大事だと思う奴を助ける事が出来ればそれで十分だ…忘れる事もある種の供養だと思うぞ、俺は」



何でだろうな、そう言われるとそうなんじゃないかって、それで良いんじゃないかって思えてしまう。その後でぼそりと「だから、俺はあれが妹である事を忘れよう。あんな駄女神じゃなかった、絶対に」と言っていたのは…うん、先輩の闇を感じた。あまりにも深すぎる闇を。


それはさて置き。先輩の言葉を受け入れようと思う。今生きている大事な人を助けたい…沖田彰司ではなく、フレアという剣として。だから、これからは…



「…うん。すぐに忘れるのは難しいけど、大事な人を助けるために頑張るよ。だから…兄貴・・の傍にずっと居るよ」



ずっと呼びたかった言葉でこの人を呼んで、ずっと傍に居よう。

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