表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/107

再開、目的の旅へ

大魔王ブチを討伐という名目のリンチをしてから数日が過ぎた。まあ、その間にシュウゾウたちからの事情聴取があったり、新生あかりん教の布教活動を阻止したりと色々あった。


だが、本来の目的を忘れてはいけない。墓参りだ、墓参り。シュウがだいたい知っていたし、何人かは竜介みたいに骸骨軍に紛れ込んでいた…その回収もやりたくないけどやったさ。纏めて自分の墓へ帰らせたさ…きっと、アベルティア帝国(笑)では大量の骸骨軍来襲とかで大騒ぎなんだろうなぁ…


それはさて置き、生き残った大多数はトウシューの墓地へ埋葬され、残りはシラヌイや開拓した村で手厚く葬られている。戦の途中で犠牲になった生徒は遺体が見つかっている人だけ大森林の広場の一角に共同で葬られているらしい。戦後に行方不明となった数人を除いてだいたい分かった。


まあ、だからといってその転生とかしてるメンバーを引き連れて移動するのもどうかと思うわけで…



「分かれて行動しても構わないんだぞ。というか、そうしたい…」



最高条件としたら1人でさっさと墓参りしてくるのが理想なんだが、それを切り出すと説教コースは確実なので口にはしない。



「そうやって現地妻を増やしていきたい気持ちは分かるけど、まずは私たちに手を出してからにしてよっ!」



残念真剣【駄女神アカリ】って改名してやろうかと思えてきたんだが…というか、武器を用意しないといけないなとも思う。そんな事は後々考えてよう。



「残念女神剣を封印するには何処にするか…」


「封印しないでっ!!」


「お兄が灯里ちゃんにちょっと冷たくなった気がする…」


「転生しても兄離れ出来なかった人ですもの」


「アースちん、そのガトリングガンの弾は飛散してるみゃん」



好き勝手言ってるが、全員で行動する気はないので話を進めよう。


俺としては墓参りを終えれば特に何も無いのが現状だ。まあ、その墓参り自体が言い訳みたいにもなっているが…リーゼアリアとアリエルアの事だって亡命という形で安全は既に得ているし必要ならこの国を最南端にすれば良いだけだ。さすがに必要ならという前提だが。つまり、墓参りの間はシュウゾウの保護下で自由にする事が出来るし、ここをしばらくの拠点をするからこれでお別れというつもりは無い。


ミケにはアクアと一緒にクソ兄貴の始末を頼みたい。それとイリーナやファル、シュウにサレナで都市の融和とかあるだろと。そこに北の未開地を加えて…アベルティアはどうでもいいが、奏多の後始末の事を考えると余計なイザコザに巻き込まれないために動いて欲しいわけだ。ウィンディアに【小型魔空戦艦】の操縦を覚えてもらう事にして、特使みたいな感じで回って欲しい。


奏多はアースとフレアが見張ってるから放置して構わないが、リーシャとセーラにマリンは…まあ、観光するなり護衛で誰かと一緒に行動してくれて構わない。特にマリンは墓参りなんかに付き合う必要無いわけだし…というか、マリンとアクアにはスキル付与しとかないとな…



「やっぱり、私はお兄ちゃんと一緒に行動するんだね」


「だから、封印すると言ってるだろ」


「灯里ちゃん、新生あかりん教の布教しようとしてお兄に怒られたばかりなんだから大人しくあたしの手伝いしてよ」



奏多が監視してくれるなら構わない。灯里には動かないよう全部のスキル付与してみたがこいつには何の効果も無かった…というか、こいつと2人だけで行動してたら確実に食われるのが証明されたわけだ。チート系残念駄女神妹とか欲しくなかった。



「とりあえず、そんなに時間はかからないと思うから墓参り行かせてくれ。じゃないと本気で捨てるぞ、お前ら」



そう言ったら全員が泣き出した…いや、何故にアースとアクアも泣くよ。それとボロ雑巾のクソ猫大魔王、お前は近寄るな。











「お兄ちゃん、お墓参りって…私たちの世界の方も行くんだよね?」


【小型魔空戦艦】や皆の武器を作って疲れたのか横になっているお兄ちゃんに私は声をかけた。セーラも一緒にだ。


魔王レトラは神出鬼没で、現れた地には不幸が訪れる…という噂があった。でも、お兄ちゃんが居なくなった後も魔王の亡霊が悪行をしているなんて噂の出来事は沢山あった。それにお兄ちゃんが残してあった日記を見るとその噂が疑わしいのも多々あった。とはいえ、実際にやってるのもあったけど…



「まあ、【転移】で行けるならな」



奏多さんが言っていた。私たちが魔王城の魔法陣を再起動させた際に何が起きたのか…お兄ちゃんがやろうとした本来の事を私たちは対価に転移した。後悔は無かった…


魔王レトラは勇者アレクだった。殺してしまったのだと、日記には真実が書いてあったのだと…そう訴えても、私を褒め称えようとする人たちに掻き消された。勇者などと呼ばれ、お兄ちゃんに言われた事を考えた。私は愚かだったのだと…世界がこんなに醜いものだったのかと。その醜い世界の一部分になったからこうなってしまったのだと。


そんな時、セーラの声が聞こえた。あまりにも遅すぎた…お兄ちゃんにすら聞こえなかった声。お兄ちゃんの苦悩…お兄ちゃんの気持ち。ずっと叫びながら私たちを止めようとしていた。でも、私はお兄ちゃんに復讐をしてしまった。お兄ちゃんが託してくれた剣でお兄ちゃんの大切なものを奪い、お兄ちゃんの心を砕いてしまった。



「私も一緒に行っちゃダメ…かな?」


「わらわもな」



お兄ちゃんに託された世界は、お兄ちゃんが望んだ世界になった。そこに後悔や罪悪感は無い。でも、この目で見たかった…



「そういえば…俺はまだ謝ってもらってないな。理解してたとはいえ…いや、お互い様だな。忘れてくれ」



私はメアさんだったイリーナさんに謝った。許してくれたかどうかはよく分からないけど済んだ事と言ってもらえた。でも、お兄ちゃんには謝ってない…サレナさんもウィンディアさんも、おそらくファルもそれぞれきちんと謝って許したもらったのだろう。



「謝って許したら…許されたら、私を助けてくれた大好きな人は勇者になっていっぱい傷付いて苦しんで、大切な人たちを優しいその手で殺してしまった。そして、魔王になっていっぱい人を傷付けて…それなのに、私は許したはずなのに、勝手な逆恨みして最後の優しさを踏み躙って大切な人たちを奪って、殺そうとした。だから、許してもらえるはずないし、許されたくない。もし、許されたら繰り返すかもしれないんだよ…セーラの命を、お兄ちゃんの大切な人たちを奪って生きている時点で許されようなんて思ったらダメだったんだよ」


「トウマ、この根暗バカ娘をさっさと許してやるのじゃ…何も分かっておらん。お主がどれだけの気持ちでいるのかもな。わらわはお主を貫いた時に全て知ったぞ…ほれ、早く言わぬか」


「やかましい、駄剣」



セーラを罵倒するお兄ちゃん…昔の優しいお兄ちゃんが懐かしい気もする。いや、お兄ちゃんは私には優しいところしか見せてくれなかったんだよね。ある時、お兄ちゃんを追って屋敷まで来たユーカさんと親しくなって色んな話を聞いた。その中で話してくれたお兄ちゃんは私の知らないお兄ちゃんだった。きっとまだまだ私の知らないお兄ちゃんが居る。そう思うとちょっと悔しい。



「……とりあえず、あんまり拘るな。お前らの知ってるアレクも、お前らの憎んでたレトラも死んだと思えばいい。正直言えば、今すぐお前ら全員の記憶を改竄して前世なんてものも、トウマ・アレクトラなんて存在も全て忘れさせた方が良いと思ってる。藤島燈真はドラゴンに殺され、アレクは魔王に倒され、レトラはリーシャに倒され命を捧げリーシャ以外の人間を道連れに死んだ。それでおしまいで良いはずだったんだよ。本当は」


「そんなのっ…」



もし、そんな事になっていたら…それはとても悲しい事だった。でも、そうなっていたはずだったのは知ってる。もし、あの魔法陣がお兄ちゃんの思ってるものだったら…私は家族になってくれる人たちを殺してしまったのだと思うと…



「今ならまだ間に合うぞ。全てレトラがやった事にすればリーシャはあの世界で居られる。たった1人生き残った勇者として」



そう言った途端、お兄ちゃんがセーラに蹴り飛ばされた…



「誰が魔王としての気持ちを言えと言ったか、バカ者。殺意を抑えて、一度たりともリーシャを切ろうとせず最後まで幸せを願っていた事を言わぬか」


「それが分かっていたなら止めとけ、駄剣。リーシャの幸せを思うなら、ここに来ない事も出来ただろうが」


「お主と生まれ変わっても過ごしたいと、傍に居たいと思った魂たちも道連れにしたからここに居るのじゃ。でなければ、メアもディナもユートもユーカもお主と再会なぞ出来ておらぬわ」


「あの世界に転生させたのはお前の所為か、駄剣っ!」



どうしよう、お兄ちゃんとセーラが取っ組み合いの喧嘩を始めちゃったよ…


結局、この後灯里さんと奏多さんが止めに来るまで2人の喧嘩は続いてしまった。それで、罰としてお兄ちゃんの墓参りは日帰りでという事になってしまった…お兄ちゃんに嫌われそうな気がするよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ