表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の再英雄譚  作者: 紅満月
間章 400年間の物語
48/107

4つの聖剣と勇者の物語2


「志村くんは【地図師マッパー】ね。これで全員かしら?」



わたしはスキルで皆がこの世界に来て得たそれぞれのスキルを鑑定して回った。


代表団の人たちが「召喚された勇者たちにはスキルというものがある」なんてよく分からない事を言ってきたけど、確かに全員がスキルを持っていた。わたしは【鑑定士】、藤島さんは【水魔法】、本郷さんは【土魔法】といった感じだ。


そうは言っても全員が良いスキルを持っているとは言えない。ハズレとまでは言わないけど、戦いが苦手そうな人が戦い向きのスキルを持っていたり逆に戦いが得意そうな人が生産系のスキルだったりと様々だ。


その中でも代表団の人が真の勇者だというのが4人。藤島さんと本郷さん、それに【風魔法】がスキルの北里くん、【火魔法】がスキルの沖田くん。なんか、とても強い武器がこの世界にはあって4人なら使いこなせるんじゃないかって話をしていた。


4人はそれを聞いて…沖田くん以外は微妙な顔してた。燈真先輩ならそういう顔するだろうなって思う顔だった。「無理はするなよ」って感じで。


確かにいくら強くても無理して手に入れるものじゃない。聞けば、危ない場所にあるっていうし…そもそも、全員が無理する必要なんて無いと思う。戦えない人のために戦えない人が戦うのは矛盾してる…だから、わたしは交渉しなくちゃいけない。勇者だと舞い上がってる人の説得も。







大規模な実施訓練が行われる事になった。実力が見たいといった代表団の天使たちにそそのかされた気もする。風の勇者とか言われて悪い気はしない事もないけど、良い気分でもない。戦えない人や戦いたくない人も強制的に訓練と称して、実際は出なければ生活の保証は出来ないと脅されたのだ。


大森林の魔物を最低でも1人1匹は倒すだけなんて簡単に言うけど、武器を無理やり持たされてではやる気が出ない。魔物とはいえゲームみたいなものではない。切れば血が流れる。焼けば臭いもするし魔物は声にならない鳴き声を叫ぶ…命を奪う事を強制的にさせられる。狂いそうになって武器を振り回す人や自分の命を絶とうとする人だって居た。


そして、その最中…俺たちは出会ってはならない魔物と出会った。







スライムだけに関しては注意されていた。タマちゃんから何度も何度も。あたしたちは後衛として最前列から離れ、皆が仕留め損ねて敗走する魔物を倒していたからノルマは達成出来ていた。でも、そのノルマのために最前列に非力な子たちが強い子と一緒に魔物退治しているところを襲われた。



「志村が…【地図師マッパー】が真っ裸にされたぞっ!」



スライムは服を溶かし、人間を飲み込む。そして快楽の事しか考えられないよう分泌液で洗脳するらしい…命は助かるけどケモノに成り下がる。でも、志村くんの犠牲を皮切りに自ら飲まれに行く子も含めて何人もスライムの魔の手にかかった。


そして、この襲撃によって心が折られた子も多かった。あたしたちが折れなかったのは燈真さんが居たから…燈真さんの背中をあたしたちの親友たちがきちんと追っていたからだった。






タマちゃんは戦えなくなった人の保護をきちんとしてくれるように手配してくれた。一方でこんな事を推し進めた天使たちと私たちの溝が出来た。使えない勇者だと罵られた…でも、天使の中にも理解してくれる人は居た。タマちゃんの想い人のリエルくんだ。彼は北里くんに協力してくれて【風の聖剣】を取りに行くのをサポートしてくれるらしい。


でも、この事件がきっかけで聖剣は私たちにとってあれば良いなってものではなくなった。勝つためには絶対必要なものになっていた。沖田くんたちは魔族の人たちに協力してもらって、かなちゃんたちは精霊の人たちに協力してもらって…そして、私たちは水の洞窟へ。その間、一番人数が多い亜人の人たちと天使たちが協力して魔物を退治してくれる事になった。


でも、それは焦りすぎた結果になる事を私はまだ知らなかった。







地下迷宮で俺は男友達を次々失った。慌てて細い橋の上から落ちて剣山のような床で串刺しにされた奴も居た。ギロチンの振り子を避けれたのに油断して石像が振り下ろした斧で切り裂かれた奴も…俺より先に聖剣を掴み資格が無いとドリルに貫かれたのも。まあ、俺を襲う算段立ててたし自業自得って気もした。でも、気付くべきだった。他の聖剣が安置されていた場所も同様に危険だと…


灯里ちゃんと一緒に行けば良かったと後悔した。俺の…あたしたちの友達がお兄と同じように逝ってしまった。灯里ちゃんは自分を責めた。でも、あたしだって同じだ。皆笑ってたでもお兄みたく誇らしげに笑ってた。水の抜けた洞窟の一番奥で眠るようにして死んでいた。



「何故、皆様が犠牲にならなければいけないにゃん。これは私たちの問題だったのに…どうして…」



もし、タマちゃんが親身になってくれなかったら…あたしたちはこの聖剣を使って自殺していたかもしれない。灯里ちゃんは特にそうだったと思う。お兄も居なくなって、皆も目の前で失って…


タマちゃんが友達としてあたしたちを慰めてくれなかったら…それだけ、こなっちゃんもいいんちょも姐御もしのぶちゃんも大切な友達だった。居なくなって良い存在じゃなかった。そんな事分かっていたのに…


あたしたちは泣き続けた。何日も何日も…







戻ってくると訃報があった。多くの人が亡くなっていた。俺たちはリエルのお陰で無事に帰ってこれた。本郷さんのところは精霊たちが最後の最後で「聖地だから」など言って協力を拒んだらしい。藤島さんのところは…詳しくは聞けなかった。いや、聞き出したくなかった。信じたくもなかった。


たった3本の剣を手にするためだけに失ったものは多すぎた。そして、4本目は…魔族の人たちが沖田たちを捜索したが見つけ出す事が出来なかった。【炎の聖剣】が安置された火山が噴火し全てが消え去ってしまったのだから。


あまりにも多過ぎる代償。そして、元々仲が悪かった天使と魔族の対立悪化…勇者を見限ろうとした天使が沖田という真の勇者を守れなかったと因縁をつけて魔族に戦いを挑もうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ