表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/107

風の吹く街へ

大森林を抜け、人里に来た。イリーナは長い銀の髪を三つ編みにして宇津木さんと同じ髪型にし素性を誤魔化そうとしているが、無意味な気もする。


そんなイリーナから申し出があった。「御字さんの転生した子に会う前に会いたい人が居る」と…まあ、急ぐ旅でもないし、少し遠回りしても良いのだが、誰に会うのかは教えてくれなかった。ただ、生き証人としか…


それは構わないとしても、少しキナ臭い話をこの人里で聞いた。アベルティアの魔王が滅んだのだが貴族や影響力のある神官たちが呪いで死んだと。まあ、それは自業自得なわけだが肝心なのはその後…



「軍主導の帝国化…」



民主国家を目指して身を引いたリーゼアリアにしてみればショックな内容だが、たった数日でそれを成し遂げるのだから事前に準備していたんだろう。元はといえば将軍と騎士団長の対立くちげんかから始まった騒動だ。裏に国家転覆とかがあったなら説明はつく。むしろ、それに紛れてアリエルアを嫁にすべく動いた国王がアホすぎて笑えるが…まあ、その上にリーゼアリアを嫁にして権威を得たりしようとしたバカ共が悪い。俺は悪くねぇと言っておこう。心の中で…


どちらにしても俺たちには関係ない話だ。小国が王国から帝国になっただけでリーゼアリアが狙われなければどうという事ではない。リーシャが魔王として召喚されているのがあの国なら話は別だが、加護がある時点で操られるとかはあり得ないし無関係だろう。


そんな話はさて置き、この人里は魔科学都市と定期航路が結ばれているらしい。馬車ではなく魔力によって航行する飛行船、通称【魔空船】というものらしい。魔力の関係で長距離運行には向かないらしく都市間の航路は無いらしい…というか、そう考えて地図を見ると短時間で転移しまくってかなりの距離を移動してきたものだと思う。まあ、変に迷わなくて良かったと思うが自信持って話す時のミケは信用しないように心掛けよう。


それより、【魔空船】だ。イリーナの会いたいという相手は魔科学都市に居るらしい。だから、それにの乗って行こうという話になったのだ。まあ、魔科学都市は生き残った灯里の同級生の多くが終の住処とした場所にあるから行くのは構わないんだが、魔科学の発達凄すぎだろ…



「猫耳魔王としては、その【まくーせん】欲しいにゃん」


「いや、ダメだろ…」


「でも、頼めばもらえるかもしれません。兄様が頼めば」



脅せばと聞こえた気がしてならない。まあ、足としては便利なんだろうが維持やら船員を雇うやらすればコストかかるし色んな問題だってある。ゲームとかならその点には触れないだろうが、船とかをその場に置いて探検している間に盗まれないわけがないだろと…それに何より【転移】すればいいだけだし。それに何より本気で要るならコピーするし。


とりあえず、次の便までは4日あるから暫くは滞在だ。宿屋の部屋割りで揉めたが、このチョロインたちは自重を知らんのか。







さすがに魔法の練習は宿屋では出来ないと抜け出して空き地へやってきた。



「さすが、【森の守り人】なんてスキルを持ってるだけあるな」



ファルに樹属性魔法を見せたらすぐに再現出来た。ステータスを鑑定すると【木魔法】を修得していたし才能あったんだろう。



「いや、【木魔法】なんて初めて見ました」



イリーナが言うには火、水、風、土に加えて雷は前世から知っているが光や闇は伝承レベルで木なんてのは初めて聞いたらしい。マイナーなだけとは思うが。


それはさておき、改めて全員のステータスを確認しておこうか。



リーゼアリア・シルコット(藤島灯里)

レベル:62

種族:人間

称号:残念王女、あかりん1号

所持スキル:【召喚師】【降霊術師】



アリエルア・テオライト(藤島灯里)

レベル:62

種族:人間

称号:残念聖女、あかりん2号

所持スキル:【女神の光】



ミケ(山根小夏)

レベル:92

種族:猫耳族

称号:猫耳魔王、ネコちゃん

所持スキル:【調教師テイマー】【猫魔王研鑽】



イリーナ・シュトレイ(宇津木満、メア)

レベル:28

種族:人間

称号:領主代行、いいんちょ、駄メイド

所持スキル:【大賢者】【金魔法】



ファル・エラーシャ(姉小路沙耶、ディナ)

レベル:14

種族:長耳族

称号:穀潰し、姐御、苦労人

所持スキル:【森の守り人】【木魔法】



もうツッコミどころ多すぎて頭痛いわ。この際、称号は無視だ。どうせ称号補正とかあるわけでもないし。


レベルはキツネに乗っている間とかに魔物を跳ね飛ばしたり大森林で戦ったので上がってはいる。といってもこれも飾りだから構わない。種族に関してもだ。


問題はスキル。リーゼアリアは属性魔法無理だった。水の魔法すら使えないので素養無いんだろう。アリエルアは回復魔法の向上で【聖女の光】から【女神の光】にランクアップしていたが回復以外は無理そうだ。光属性の攻撃魔法は何1つ覚えられなかったのだから筋金入りの回復職なんだろう。


で、イリーナは【金魔法】覚えてるじゃないかと思うが、この世界では【金魔法】は【土魔法】の派生らしいし価値は少ないとか。それで問題はやっぱり…



「【猫魔王研鑽】ってなんだよ…」



無属性魔法を幾つか教えただけなのに、そんな物を得ていた。闇属性の素養皆無だったというのに。さすが魔王称号の持ち主という事にしておこう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ