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第3の可能性

鑑定してくれる人が来るのをしばらく待つ事にした。本来なら予約しておくか決められた日でなければ鑑定してくれないので本登録が出来ず依頼が受けられないらしい。


何処かの誰かさんたちのお陰で運良く鑑定してくれる事になったのだ。感謝はしよう、説教もお仕置きもしよう。


しかし、【鑑定士】の目処はつきそうだが他の幸先がどうにも悪い。魔法使いや職業的なスキルは素養だけではなく後天的なスキルと化してしまっているようだ。そこから全員とまでは言わないが前世が知り合いの人間を集めるのは不可能に近い。


いや、どうして探すつもりになってるんだ。俺は…帰れもしないのに前世の事なんか思い出させても苦痛なだけだろ。あいつら3人だけきちんと受け入れて、奏多の事をどうにか考えてするだけで良いじゃないか。それでめでたしめでたし…いや、リーシャの事もどうにかすべきか。せめてあそこで仮面落ちなきゃなぁ…


待てよ。本物の鑑定ってどこまでするんだ。今の俺の称号ってどうなってる…変態仮面野郎とかじゃないよな。ではなく、測定不能で爆発するようなものを人に見せて大丈夫かと。最悪、鑑定した奴の頭が爆発とかって展開じゃないだろうな…例えばだ。ギルド登録しますね、魔力量測りますねで水晶とかが壊れるのは創作物ではよくある展開だ。それの俺の場合は頭爆発だろ、ただのうっかりミスなんかで終わるはずがない。むしろ善意の第三者が死んで大騒ぎの上にレアスキル持ちを事故でも死なせるわけだから大問題じゃないか。


なんだ、どう足掻いても絶望しかないじゃないか。逃げる…って選択肢は無い。ミケたちが暴れた上に脱獄してくれるなら一番なんだがあいつらにそんな知恵は無い。あったら既にやっている。


まあ、事実を説明して納得してもらうか。



「お待たせしました。鑑定の方がお見えになられましたので別室へ案内します」



何処からか現れたメイドが俺にそう声をかけて…



「………メア?」



そのメイドは、俺のよく知る彼女の姿をしていた。



「はい、レトラ兄様」







わたしはもがき苦しみながら【鑑定士】のスキルで出口や脱出方法を探していた。スイッチなんて体が浮力で浮けば押し続けられるわけなかったじゃないと気付いたのはしばらくしてだった。


姉小路あねのこうじさんと御字おんじさんを巻き込んだわたしの責任だ。わたしのスキルは探索にあれば良い程度のもので戦闘にはまったく役に立たない。体力の残量が分かるわけでもない、弱点が分かるわけでもないただの鑑定。だから、わたしは頭で皆を支えるしか出来なかった。なのに、この様だ。


ずぶ濡れになりながらも出口を探す。スキルの使いすぎで頭が痛い…それがなんだ。何処かに出口があるはずなんだ。



「空気を少しでも残さないといけませんね……宇津木さん、お嬢様ありがとうございました。先にいきます」



天井近くになりようやく水が止まって、御字さんの声が聞こえた。そして、彼女の姿が見えなくなった。



「…あたしもダメみたい。いいんちょ…ごめん」



御字さんを追うように姉小路さんの姿も消えた。


どうして、わたしはこうなんだろう。もっと【賢ければ】こんな過ちを犯さなかった。友達を死なせずに済んだ。


でも、もう遅い。わたしも力尽きて水の中へ沈んでいった。


死ぬんだと自覚して、いつも見ている悪夢を見た。メイド服を着たわたしが藤島先輩に似た男の人と楽しく話している夢…そして、彼の思いを踏み躙って死んでしまう夢。


ああ、藤島先輩との約束も守れなかったな…レトラ兄様、ごめんなさい。わたし、また幸せになれなかった。


こうして、わたしは死と同時に前世を思い出した。







「それで、気付けば2つの記憶を全て持ってこの体、イリーナ・シュトレイに転生していました」



知り合いの女の子の前世が妹みたいに可愛がっていた女の子で、更に領主の娘として転生していたでござる。ちょっと何言ってるか分からない…いや、何度目だよ。


でも、まさかメアが宇津木さんになっていたとは。で、宇津木さんがメアと容姿が同じ…領主の娘が何でメイド服だよ。



「レトラ兄様、殺戮を始めましょう」



笑顔で何言ってるかな、この娘さんは。ちょっとお話しましょうか。後、宇津木さんもメアもこんなんじゃなかったはずだ。

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