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観光都市・ホンゴウ

猫耳魔王たちは二泊三日で泊まるところが決まったようなので別行動だ。助けてやりたいのは山々だが、俺だってたまには安眠したい。とはいえ、先立つものは無いから冒険者ギルドに登録して宿代は稼いでおかないとならない。



「登録ですか…」



冒険者ギルドは犯罪者も取り締まっているから、猫耳魔王の面会をした俺を受付嬢は疑いの眼差しで見ている。まあ、当然だな。


それでもきちんと説明してくれた。この世界のギルドにはランクとかそういう類いは無いらしい。やりたいようにやって、死んだら自己責任。分かりやすくていいんじゃないか…色とかアルファベットとかでランク付けされて制限なんて設けられる方が面倒だ。


とはいえ、ギルドにも最低限の義務があり無闇に依頼を受けさせないよう配慮がされるようだ。つまりは【鑑定士】スキルを持つ人間による本格的な鑑定。やはり、【ステータスモノクル】は簡易鑑定でしかなかったらしい。本格的な鑑定をされたからこそミケは猫耳魔王として捕まったらしいし。あいつ、結構色んなところで悪さしてたみたいだ。その反面、巨大な魔物を幾つも所持しているから無闇に懲役だの処刑だのすればあいつらが暴れ出す可能性あるから短期間の禁固刑で済ましているとか。後で尻叩きの刑だな。


それはさて置き、俺も鑑定されるのかと。ちょっとヤバい感じもするが、やっぱり止めたとか言ったら余計怪しまれる。


魔王だからって捕まったりはしないだろう。捕まったら全力で逃げるが。


とりあえず、簡単な書類に記入…やはり、言語は日本語なんだな。前の世界は5歳以前のアレクの知識のお陰で不自由しなかったが、こちらでも楽出来そうだ。


名前と年齢など割と細かく書いていく。分からないところは空欄で鑑定した人が埋めてくれるそうだ。


受付嬢に【鑑定士】スキルの事を聞いたがレアスキルで各都市に最低でも1人は居る程度の割合らしい。逆に魔法やら武器に関するスキルは割と多いとか。【ステータスモノクル】にもランクがあって安物は全ての情報を処理できないとか。


結構いい加減な感じもするが、いいんちょ…いや、宇津木満うつぎみちるの手掛かりにはなるか。





宇津木満…俺は宇津木さんと呼んでいた彼女は、灯里の高校に入ってからの友人だ。灯里とは正反対のお下げ髪に眼鏡を掛けたまさに委員長タイプに女の子。


灯里と彼女が仲良くなるきっかけを作ったのは俺だったと思う。あんなに残念でも学校のアイドルみたいに扱われて灯里はうんざりしていた。宇津木さんはそれを見かねて俺に注意してくれたのだ。で、俺が灯里と付き合うためには俺を倒してから云々な事を始めた一方で宇津木さんは灯里のフォローをしてくれていた。


それは俺の死後も変わらなかったようだ。俺を好きだったなんて棺の前で言ってくれたっけ。それに灯里を守るとも…でも、命をかけてまでして欲しくなかったな。


そういえば、変な夢を見るって相談された事もあったか。そういう相談、よくされてたっけ…






猫耳魔王の正体がまさか彼女で、一緒に居たのがまさか…


やっぱり、わたしの予想は間違っていなかった。なら、なんでわたしたちは…



「領主代行。鑑定の依頼が来ています…冒険者ギルドの登録なのですが、猫耳魔王の知り合いらしく…」



秘書がそう告げてくる。彼女の知り合い…前世の彼女は友人関係が広かった。そして、さっき会ったわたしに3人は言ったのだ。懐かしいあの「いいんちょ」と…


髪の色も違うし眼鏡もしてなかったのに一発で見抜いた。猫耳魔王とは以前に何度も会っていたのにわたしが気付く事もなく…



「構いません。他に鑑定出来る人も居ないのですから業務に支障が出ても困ります」



幸い、先ほどのゴタゴタの報告を聞きに冒険者ギルドへ行くつもりだった。その片手間だ。



「その猫耳魔王の知り合いという方の情報はありますか?」



いずれにしても、転生者なら会わなければいけないし、事情を聞かなければならない。わたしはまだ知らなすぎる。



「トウマ・アレクトラという怪しげな男だそうです」



その秘書の言葉に耳を疑った。


その名前をわたしは【大賢者スキル】より詳しく知っていたのだから。

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