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夜更かしと子守唄

「……飲み過ぎた」



結局、4人とハーブティーでの茶会は日暮れまで続いた。親密にはなったが、左手にすると3バカに嫉妬されるからと辞退されて右手のままだ。


リラックス効果とか安眠効果なんかのハーブティーを次々飲んでろくに夕食を食べる事が出来なかったが、俺の食べ残しを狙う奴は多いから無駄にならないのも微妙だ…


とりあえず、リラックスして安眠したい。食っちゃ寝の生活な気もするが、明日辺りには7人の土下座姿と対面しなければいけなさそうだから、不機嫌で対応しては傷付けてしまうわけだし。


そう思って部屋に入ると、メイド姿の少女たちが待っていたという…



「どういう展開だ、これは…」



ルフィニとリーヴァにロニカ。いや、城塞都市の貴族様方がメイドとして頑張っているのは話に聞いていた。元魔族のイリーナに指導してもらって、魔族としての生き方を教えてもらうらしいが間違ってるだろ。


メアが魔族らしい生き方していたとは到底思えないし。メイドらしい生き方していたとは思えるが。アレクの母も慈善活動をしていたわけだし、魔族の女性で本当に敵対したのは2、3人程度だったから根本的に違う気もするが…



「あ、トウマ兄様。シーツの交換とお掃除終わりました…今日はいつもより人数が少なかったのでこんな時間になってしまいました」



申し訳なさそうにルフィニが説明してきた。土下座講習会に4人も行ったら時間掛かるよな…というか、自分の部屋のシーツ交換くらいしなければいけないだろ、俺。ホント、何様だと反省しなくてはいけない。


展開とか言ったのも反省しなくては…



「では、失礼します。おやすみなさい」



3人は部屋を出て行こうとするので、ちょっと呼び止め…









「うん。頑張って」



トウマ兄様の部屋を出て行こうとした時に、「お風呂から出たらまた来てくれ」と言われた。勿論、トウマ兄様にだ。



「お兄ちゃんがロリ娘を最初の夜伽に選ぶなんて…」



サレナ姉様とアカリ様に伝えると、そんな反応をされた。でも、トウマ兄様は夜伽なんてつもりは無いと思う。そうなら既に呼ばれているか、そんな話がある。



「お兄は歳下には甘いから、添い寝くらいならしてくれると思うよ。ファルちゃんだって一緒に寝たくらいだし」



カナタ様がそう仰ってくれた。ルビィさんたちみたいに右手でも良いから指輪をしてくれるだけでも十分だって思う。それはリーヴァちゃんやロニカちゃんも同じだった。



「とりあえず、嫌われないように頑張ってきます」









「なるほど。こうやってシーツを敷くのか」



3人には申し訳ないと思っているが、シーツの敷き方を教えて貰った。燈真の時は畳ベッドだったし、アレクの時は宿屋暮らしだったからベッドのシーツなんて気にしなかったわけだし、レトラの時はメアがやってたわけだからな。


だが、結構大変な作業だ。せっかく入浴してきたのに汗かいてないだろうかと3人を見る。というか、変に期待させてしまったのは分かる。教えて欲しいと言った途端の落胆ぶりには言葉が足りなかったと反省しなければならない。


でも、俺だって3人の気持ちを無碍にするつもりは無い。年齢とかで背徳感はあるが、それは時間が解決する話だ。ロリコンとかではないはずだ…おそらく。


ただシーツの敷き方を教えてもらうだけならすぐに教えてもらわないといけなかった。このまま寝間着姿の女の子を追い出すと泣き付いて駄女神たちが召喚されてしまうのは目に見えてる。


安眠のためには、この3人と寝るのがまだマシだと思う。



「…えっと、お礼しないといけないな」


「なら…添い寝をお願いしても良いですか?」


「トウマ兄様と寝ます」


「早く寝ようよ…」



一応、言質は取った。無理矢理ではない…卑劣な気もするが、俺が提案すればそれは神託とか言われかねないからな。俺の言葉ならと素直に従われては困るのだ…とはいえ、神だからだけではなく嫌われないようにという思考もあるから複雑だ。



「分かった。但し、添い寝以上はしないからな…」



一応、釘は刺した。というより、目覚めたらまた殴られる展開を防ぐための取り決めとか言った方が良いよな…とはいえ、やったならば責任はきちんと取る。無意識のうちとか眠ってる間にという展開もあるし。


3人はサレナの事もあるから抜け駆けはしないと思っているが…言われるがままに横になると、右腕にはリーヴァとロニカが、左腕にはルフィニがそれぞれ抱き付いた状態になった。ここは普通、腕枕じゃないのか。抱き枕にされたどころか当ててきてるんだが…



「…これは色々とヤバくないか?」


「…大丈夫です。襲うとかはしません…」



ルフィニたんや、そういうのは顔を赤らめて言うものではないんだが…


魔族独自の変な教育が悪いんだろう。というより、右側からは既に寝息が聞こえる…ここから指輪云々の話をしようと思ったんだが、仕方ないのかもしれない。



「…まあ、いずれは要塞都市の仕組みも変わっていくんだろうな…」


「…そうですね」



貴族や領主を廃止する方向で話は進んでいるらしいし、その仕組みを形作るきっかけになった闇の勇者様が話を聞いただけで卒倒したとかしなかったとかで…まあ、男の人権回復はまだまだ先になるのは仕方ないと思うが。



「故郷がお前たちを拒んでも、俺は拒むつもりは無いから心配するな。まあ、もう少し年齢が上がったら望んでる事もな…」


「…トウマ兄様。お言葉ですが、1つしか違わないんですよ…ファル姉様と。マリン様とは100年の隔たりを換算しなければ同い年です」


「……うっ…」



痛いところを突かれた。リーヴァとかはまだしも、ルフィニに年齢の事は通用しなかった。



「…でも、ファル姉様やマリン様には前世の事があります。その分は負けてるんですから、今は我慢します。ただ、知っておいてもらいたいのは、トウマ兄様がサレナ姉様の想い人だからとか、神様だからとか、勇者アレクだからなんてだけではなく、ただ純粋に優しい男の人だから好きなんだと知っておいて欲しいんです。あんな場所で生きてきたけど、まともな考えはサレナ姉様に叩き込まれましたから」


「そうか。ルフィニはまだまとも…と思いたいが、この状況だと無理なんだが」



腕に抱き着かれているわけだし。とはいえ、もし普通を叩き込まれたんだとしたら父性なんてものを求めているのかなとも思えてしまうわけだが…



「…少しでも女の子だと、子どもじゃないと意識してもらいたいですから」


「あー…うん…」



子どもだと思っていたならどんな事があろうとも親元へ残していただろうし、そこは心配しなくて良いと思うが言ったら迫られるので黙っていよう。


というか、やっぱり口にしなければ聡いルフィニでも伝わらないよな。指輪を人数分用意している時点で子ども扱いはしていないのだが。


子守唄で眠らせるような事はしないし、もし年齢と一番を望む残念妹がネックにならなかったらなどと思うがサレナも居るし、そういうのは気にするんだろうなぁ…



結局、ルフィニとはその後も色々と語り合った。


魔族は貞操を捨てたら急成長するとか誘惑的な事も言っていたが、絶対嘘だろ…サレナから聞いたと言っていたが、前に似たような発言をユーカがしていたぞ。名誉のために言わないでおくが。


翌朝、3人に指輪を渡すまで俺は眠らなかった。さすがに、早朝から土下座には来なかったが念のためというのもあるし、ルフィニより先に寝て既成事実を作られてもいけなかったわけだし…

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