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アセンブルティーパーティー

寝不足なのは仕方ない。むしろ、少し前まではいつもの事だったので構わない。俺のベッドで妹軍団が寝ているが何もしていない。むしろ、されてないから構わない。


残った指輪を卓上に置いて眺めていた。よくよく考えれば秘石なんてものを渡しているのだから指輪要らなくないかと逃げの思考をしつつだ。


要塞都市では成人扱いされているとはいえまだ幼さの残る少女たち。一方、生け贄にされ助けた事で信仰している無垢な女の子たち…共に例外は居るが、今まで渡してきた皆とは違って前世とかのしがらみも希薄だしサレナの伴侶とか神様だからという理由で俺の魔の手を伸ばしても良いのかと思う…魔王らしくないが。


覚悟はしていたが、俺は元々後宮とかが当たり前な王様でもなければ一夫多妻制が認められた世界の住人でもないから、覚悟していたとはいえ重責…いや、渡した連中からの子作り早くしろという無言の圧力に潰されそうになってる。


とはいえ、後悔だけはしたくないからなぁ…複雑なところだ。










我輩はミケである。猫舌だから熱いお茶は苦手だしハーブティーとかはあまり飲まないにゃん。


でも、あかりんたちから呼び出しされたにゃん。ご主人様が14人に対して疑心暗鬼になってるにゃん。胸なんて飾りにゃん。猫耳を触るご主人様の嗜好に気付かず殴り飛ばした奴らの自業自得と連帯責任にゃん。



「いや、そんな厳しい事を言ってあげないでよ…お兄ちゃんが割り切って渡さないといつまでも子作り出来ないよ?」


「自分がしたいからって、押し付けがましいにゃん」



他の皆も頷いてるにゃん。問題の14人がちょっと居た堪れないにゃん…殴り飛ばした奴らはともかく、他の連中は哀れだにゃん。真面目に頑張ってる奴も、普通に好きになった奴も居るにゃん。何故か我輩の子分扱いにされてるにゃん。



「とりあえず、殴った奴は土下座しろにゃん。ご主人様だって殴ってない奴から土下座されたって喜ばないにゃん」



「ミケさんの言う通りです。ウチが綺麗な土下座を教えますから、練習しましょう」



ファルがやる気にゃん。さすが姐御にゃん…綺麗な土下座の意味は分からないにゃん。










「…という事があったんですけど…」



丁寧にルビィたちが説明してくれた。


指輪を眺めている間に眠ってしまった俺は、目覚めて何となく中庭を窓から見ると優雅に茶会をしていたので顔を出した。


ルビィにエメラ、サファとツァイの4人…殴り飛ばした奴らではないので安心して近付けたというわけだ。


で、ルビィからさっきまで全員で茶会をしていて土下座講習会に何人かが向かったらしいと聞かされた。まったく意味が分からん…土下座講習会って何だよ?



「…まあ、殴られたからって言われても女の子からだからな…土下座してまでも…」


「…こっちは尾びれで叩いて爪で引っ掻いて鳩尾に掌底打ちしてましたから…」



そう言われると、土下座は当然なのかもしれないと思えてくる不思議。特に魚臭いのは許せなくなった。



「まあ、3人の事は追々として…ルビィ、エメラ、サファ、ツァイ。お前たちはどうしたい?」



あの戦いで人化だけではなく神獣化まで獲得したわけだから、責任取れと言われたら当然だし、4人には悪意とか無いのは理解してる。むしろ、ドワーフとハーピーとマーメイドの方が悪意とかありそうなのはどういう事なのかと…


まあ、何だかんだで気を遣ってくれるルビィに、館の草花の手入れをしてるエメラ、マッサージとかで体調を心配してくれるサファ、得意な手芸で皆に手編みの品を作ってくれてるツァイの4人は悪意どころか好意しか覚えないわけだし。


その分、こちらも気を遣って距離を置いてしまった事実もある。とはいえ、夜はシュウが中心となって勉強会してたり、日中は園芸やら手芸やらマッサージ師やらやってるから邪魔してはいけないと思ってたわけだし…


だからこそ、このまま店でも開いて暮らしていけばいいと思う反面、引き取り手無いよなとも思っている。いくら神獣とはいえタコやらクモはな…それを見てドン引きするのは普通だと思う。少なくともサファとツァイの人柄を知らなかったら俺もドン引きしてたはずだし。



「どうしたいと言われても…」


「……このままでも…」



ルビィとエメラは困惑している。当然だな…サファとツァイだってオドオドしつつ見てるわけだし。



「別に俺との関係とかじゃなくても、やりたい事とかあるだろ。俺は…まだまだ皆の事を知らないし、知ろうとしてこなかった。だから、このまま指輪を渡す資格も無いし、それで縛り付けるような事はしたくない」


「…貰えないんですか?」



サファが涙目で訴えてくる。一二を争うグロ系娘なのに、中身は純粋過ぎるから嫌いになれないんだよな…ではなく。



「やりたい事の障害にしかならないなら、それもあるが…」


「やりたい事の前に、居たい場所の方が大切です」



ツァイがズズズイと俺に詰め寄ってくる。背後に神蜘蛛のオーラ出すな…食われると思って反撃しかねなかったじゃないか。



「居たい場所と言われてもな…」



ここで館からはいつか出ていくと言えば騒動になりかねない。いつまで甘えているんだとは思うが、魔王城はボロボロで住めなくなっているみたいだし、向こうの調査をしないと危ないって優秀なメイドと勇者の地元コンビがいつの間にか簡易調査したらしいし。


というか、ここはテンプレ通り俺の隣とか言い出すんだろ。分かってる、ここで助けられたのは俺も同じとか言ったら泣いて抱き付いてくるだろうな…


女の子に泣かれるのは嫌だし、拒む理由も無いのは今まで同様。とはいえ…



「……なら、こうしようか」



俺は4人に指輪を渡す事にした。但し、左の薬指ではなく右の薬指に嵌めてだ。


いつか、左の薬指に俺が嵌め直すまでの暫定としてだ。昨日までのは完全に引き取り手が俺しか居ないわけだし、多少なりとも気心の知れた仲だったりするのだから覚悟もある。



「…えっと、進展はあると思って良いんですよね?」


「ああ。だが、まだまだお互いを知らないからな…今は魔除けと思ってくれ。勝手に左手に着け直しても右手に戻るようにしてるし」



エメラが早速左手に着け直したが、指輪の呪いで右手に転移した指輪。エメラは落ち込んでいるが、嵌め直すチャンスくらい欲しいものだ。



「どうすれば、左手にしてもらえますか?」


「一緒に過ごして、それが適切だと思ったならな」



サファの疑問にそう答えたが、どれだけ上から目線なのかと。男としての本音を言えば、彼女たちは魅力的だし気持ちを置き去りにするなら左手に嵌めただろう。


魔王らしくないとは思うけど、デートなり何なりして、人柄を知ってからというのが俺の矜持というか譲れない一線だと思う。



「とりあえず、話でもして親密になっていけば良いさ。殴られなければ好感度は下がらないから安心してくれ」


「それって、殴ると…」



可愛らしい子どもの嫉妬ならまだしも…それを言い出すと灯里は下限を突破しているか。そんな事がないのが不思議だけど…


とりあえず、今はこのまま話を続けていくとするか。少なくとも、この4人の好感度は早く上げたいと思っているし…

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