第三話 『魔法使いになる為に』
数日後の日曜日
玲奈の家のインターホンがなった。
『は~いって、大地?何しに来たの?』
「勉強教えてくれ。」
『聞き間違いかな?大地が今、勉強教えてくれって言った?』
「言った。教えてくれ。教材は持ってきた。」
『まぁ、良いよ。』
俺は玲奈の部屋に通された。
「それで、どうしたの?春休みの宿題?」
「それはもうやった。」
「そう。やったのね…やった?!珍しい…」
「俺が聞きたいのは『勉強法』だ。」
「勉強法?何するの?受験?」
「うん。」
「志望校変えるの?『俺はそこそこで言いや』って言ってたのに?」
「気が変わった。もっと高みを目指す。」
「具体的には?」
「東京専門高校ダンジョン攻略者育成科。」
「?!え!あたしと同じとこ?!」
東京専門高校ダンジョン攻略者育成科。
ダンジョン発生後に作られた学校。偏差値は普通に高い。人気があまり無いため、学費が安い私立。
だがこの後、ダンジョンは今のちょろさから一変する。
そうすると、この高校をはじめとしたダンジョン攻略者育成科を持つ学校はダンジョンを応用した施設などを運用し始め、急成長を始める。
学費も今はまだ安いし、俺も強くなりたい。
なら、次期国内トップのダンジョン攻略者育成科になるこの高校しかない。
「そこを目指したい。」
「…本気?それともノリ?」
「本気だ。」
俺はやり直せるんだ。世界がどうなるかだって知ってる。俺は強くなりたい。
なら、まずは俺が最低限努力して、掴み取らなきゃいけない。
「でも、大地の偏差値って55くらいでしょ?
今から20上げるのは難しいよ?
それに…この高校は私立だから……大地の家は…」
父子家庭でお金厳しいんじゃない?
こいつはその言葉を飲み込んでくれた。
「わかってる。だから、『特入』を狙う。」
「特入?!」
特入。特別入学の略。
普通の人間よりも学費が安くなり、天才なら無料にすらなる。
これに選ばれる生徒は年に4人。
勉強に秀でた者二人と、実技に秀でた者二人。
勿論、試験は筆記と実技が有るので、ある程度出来なければいけないが、どちらかが非常に秀でていて学校の目に止まれば、多少片方が悪くても考慮される。
過去には合格最低点から30点以上低かった人が実技の特入で受かってる。
しかも、俺にはユニークがある。
後は、努力すれば十分実技ならどうにかなるはずだ。
「じゃあ、前の適正審査の感じだと、剣士って事?」
「いや。魔術師だ。」
「魔術師?!」
正確には、近接ができるように設定してる魔術師だ。
遡ること数日前
「フッ!フッ!フッ!フッ!」
『スキル 格闘 レベル4を獲得しました。』
「ふ〜。数日間ずっと殴りの練習でようやくゲットか。」
スキルは同じ動作を繰り返す事で習得することができる。
習得したスキルはその動作をするに当たって、過去に行えたベストな動きを行うことを補助してくれる。
「これで、前世(?)で取ったスキルは全部揃ったかな?」
・格闘 レベル4 (レベルがある程度高いのは習っていた為。)
・応急処置 レベル1 (応急処置に関する本を読み、更に実技として指にカッターで小さな傷をつけ絆創膏を貼るという自傷行為を繰り返して何とか会得。)
・回避 レベル3 (理由は格闘と同じ。)
「じゃあ、次はポイントの振り分けだな。」
ポイントを振り分けなかった理由は単純。
色々と考える時間が必要だったから。
「振り分けはこれで良いかな。」
筋力…6
魔力…10
俊敏…10
体力…10
(魔力以外の数値の成人平均は6程度。ポイント強化なしの人類の最高値(アスリートとかの数値)は10程度。)
ここで一番重要なのは『体力』。
何をするにしても、これからは体力が一番重要になってくる。
長い間戦い続けられると言うのは後にとても良いアドバンテージとなる。
「これなら、俺は近接系魔術師だな。」
そして、現在に至る。
「魔術師なんて、人気無いんだよ?!
私みたいに魔法のユニークを持ってたら良いけど…」
「大丈夫。俺は魔術師になる。」
「…大地が決めたなら尊重するよ。それで、何を教えたら良い?」
「全教科の勉強法と、後、魔法の使い方を教えてください。」
「魔法なら簡単だよ。詠唱を覚えてイメージを固めるの。」
「どんなイメージ何だ?」
「それは教えないよ。イメージは自分で作るもの。人からのイメージじゃ、自分は真の意味で納得できないからいつまで経ってもスキルに成らないよ。
『自分のイメージ』何だから、そこは自分で見つけなきゃ。」
「…なるほど。詠唱は?」
「体育の教科書の最後の方に基本魔法が三つくらい書いて有るからそれをまずは覚えな。
属性付きのが覚えたかったら、専門の本を買いなさい。それか、誰かに弟子入りでもすると教えてくれるかもよ。」
「魔法を混ぜるのは?」
「アレは高等魔術だから、高校卒業までに覚えられるレベル。今の大地には関係無いよ。」
「分かった。ありがと。」
「今度何かお礼ちょうだいよ?」
「分かった。」
俺は教えてもらっていた格闘技も止め、父を何とか説得し、参考書や過去問を買ってもらい受験の為の猛勉強に入った。




