第48話:そこに要さんの気持ちはありますか?
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
社長専用の応接室。普段は商談によく使う部屋だ。普通の商談室よりもVIP使用だ。部屋の中に設置されている調度品も立派な品が勢揃いだ。まるで高級ホテルのロビーのように部屋の中が煌びやかだ。時々、この部屋で商談に立ち会うが、まさかプライベートな事でも立ち会う事になるとは…。
私は出来るだけ口を出さずに見守るつもりでいた。だけど私は思わず気になったのだ。
「あの…。」
私が言葉にした途端、二人は私に注目した。
「奈々、いいんだぞ?君が発言しなくても…。」
要さんが心配そうにそう言ってこちらを見ている。元カノは違う反応だ。
「なに?言いたい事があればどうぞ?」
私はしっかりと元カノの顔を見て発言する。
「はい。私は思ったのですが…。真理さんは要さんのことを今でも好きなのですか?」
「はぁあ?好きだからあなたに立ち去って欲しいと言っているのよ?」
私は彼女のその言葉を聞いて更に不思議な気持ちになった。
「私から見れば今の真理さんは要さんの事が好きだとは思えません。」
「なっ…!何を根拠にそんな事っ」
「だって、彼を本当に好きならこんな〝会社を盾に〟要さんに迫ったりしないはずです。それに、〝クラモト〟は真理さんの生家ではありますが、それは真理さんのものではありません。あなたが作り上げたものではないからです。そんな親が作り上げた物を持ち出すのは違うと思います。」
「何を言うのかと思ったら…。生家も私の一部だってこと、わからないの?」
「いいえ。確かに真理さんの一部かもしれませんが、真理さんの〝実力〟ではないということです。」
「実力じゃない…。」
「お父様の力をご自身の力かのように権力を振るうようなこと、それで要さんが手に入ったとして、嬉しいのですか?私だったら空しいだけです。」
その言葉を聞いた時、元カノは〝カァッツ!!〟と顔を真っ赤にした。
「わかったような事を言って…!私はこの「クラモト」のせいで要と別れさせられたのよ!今度はそれで縁を取り持ったっていいじゃない!」
「真理さん……………。そこに要さんの心は、ありますか?」
私は要さんから聞いていた彼女なりの事情を少しは理解しているつもりだ。親がいつまでも子に依存するのも聞いたことがある。そうやって育った子供は中々親から抜け出せないという事も。だが、彼女は既に抜け出せているのなら、もう要さんに拘らず、新しい人生を歩むべきだと思ったのだ。
「………………な!……………要の…気持ち……………?」
元カノはそう呟いて要さんの方を見た。
要さんは首を横に振った。
「もう終わったんだ。君は俺をもう好きではなくて、あの頃の自分と決別したくて俺を好きだと思い込み、そして俺に拘り続けてるだけなんだよ……………。」
「嘘……………。そんな事ない……………。」
元カノは現状を受け入れたくないのだろう。そう言って動揺している。
ご覧下さりありがとうございます。元カノとの話は中々進みません。とうとう口を出した奈々でしたが、相手は手ごわいです。




