表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/150

第34話 『芦崎守礼の事情』

 私! 芦崎守礼! 19歳!!


 火星の王族の長女に生まれたインキャ女だったんだけど母さんが地球人に殺されたショック、ではなくて弟が闇堕ちしそうな目がトリガーとなって、思い…………出したの!!


 私には前世があった! 日本人で婦女子で腐女子!


 前世ではとある百合信者のクソ男のクソ小説の挿絵担当だったの!


 そいつがムカついたから女主人公とヒロインをイケメンにしてやったらSNSで発狂しててクソワロタ!!!


 じゃなくって、そんな事はどうでもよくって!

 そのクソ小説の世界に転生してしまったわ!!


 転生だから死んだはずだけど、その記憶がないの。


 まぁきっとトラックに轢かれたとかそんなのやろ、どうでもいい。


 私は過去に縛られない! 女は男と違って上書き保存!

 何があってもなる様にしかならん!!!


 そんな事より私の可愛い弟が闇堕ちしちゃう!!


 私がクソ小説をクソ小説と呼ぶ理由は私のお気に入りの子を無惨に百合畜生に殺させたからっ!!


 私のお気に入りは芦崎礼司!! 今世では私のきゃわいい弟!! 私だけの弟! 誰にもやらん!!



 …………あっ、間違えた。


 私ったら感情的になるとすーぐ目の前が真っ白になっちゃうんだから! (てへぺろコツーン♡)


 いくら礼司が宇宙一可愛いからってあの子の意思を無視して私のものにしちゃダメ!

 百合信者のキモ男みたいに私は推しの男の子の意思をねじ曲げないっ!!



 礼司はジン様の嫁!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



 そうよ、これは運命によって定められた事なの!!!!


 私は百合クソ原作を仕事だからって全読破を強制されて深く心を傷つけられたの!!

 この汚れた心を洗い流すには王子様同士のムフフに癒されるしかねぇ!!


 そう思い至った私はSNSで百合原作をホモに仕立て上げたわ! 男キャラを全部エロエロのカップリングで埋め尽くしたったわ!


 知らない奴はクロックスをホモ作品だと思って読んで、知ってる奴は空気を読んで本も読んだ!!


 そう! 私の行いは逆に売り上げに貢献したの!!

 原作者はブチ切れててクッソワロタwwwwww!!!!!!


 この世界はどうやら二次創作の要素も影響された世界みたいで原作の時点ではなかった展開もある。

 だったら私の可愛い弟を闇堕ちさせない私の二次創作も反映されているはず。


 推しキャラである弟と読者人気男女共にNo. 1のジン様のカップリング薄くない分厚い薄い本!!!!!!!!!!



『原作よりよく出来てる』『これがクロックスの原作ですか?』

『原作が改悪の二次創作扱いされてて草w』『草にwを生やすな』



 合同同人誌、3部構成34章と33章と33章の100の物語から構成された男同士の美しい愛の物語は原作より売れたわ!!


 まぁ原作のアニメ化の影響もあったけどね!!

 原作は最終回目前で終わってしまった未完のツクローッパと呼ばれて『二次創作が終わったのに原作がエタってて草』とか言われてたけど。


 いや、これは私のただの思い違いだと思うからいいや。忘れよう。



 そんな事より礼司よ! このまま原作の流れのままだと竜子ちゃんに首を切り落とされて死んじゃう!!

 だから私は最初にした事は私自身のレベルアップよ!!


 原作にはレベル要素がないの、ツクローッパではかなり異端じゃないかしらね。

 でも私は原作の流れには乗らないと決心したの、あの原作はゲーム化してる。


 私の作品の流れも入れたカオスな腐と百合を織り込んだRPG要素のある乙女ゲー!!

 そのゲームでは鍛え方によってはモブでも竜子ちゃんを超える事もできるの!!


 だからモブである私でも竜子ちゃんから弟を守れるステータスを手に入れったったわ!!


 でもコレは最終手段!!


 私はクソ男みたいに腕力で問題を解決したりしない!



 そう…………何も知らない竜子ちゃんにホモの魅力を丹念に教え込んでやったわ❤︎



 私の画力は衰えていない様で礼司と竜子ちゃんのイケメンバージョンのカップリング本を作って洗脳、じゃなくて浄化してあげたの!!! 決してナカーマが欲しかったわけじゃない!!


 私は竜子ちゃんがこの世界の女主人公だと知ってたから最大限に利用してやったわ。


 ステータス向上に最大限利用してやったわ!!

 彼女がいないとできない訓練、音速1000倍拳の見切りとか色々やったわ。

 最終的には竜子ちゃんをタイマンでぶっ倒す事もできたわ。


 その時点で私は次の段階に計画を移した。



 異世界へ魔王城の攻略。



 裏技を使えば魔界への壁を越えることを知ってた私は異世界で努力チートを駆使して海賊どもをボッコボコにしたったわ。


 あいつらの攻撃は当たらないし当たっても防御力マックスの私には鋼鉄の剣も効かない。


 あいつらの驚愕した顔は忘れられないわー。

 まぁあの海賊を支配したのは別の目的もあったんだけどね。


 その話は省略!!!!


 あの異世界では宇宙という概念がない。

 と、言うより宇宙という概念自体が科学者の勝手に作った幻想だと原作者が決めつけてたんだけど。それは今どうでもいいか。


 取り敢えず言ってしまえばこの世界での海賊は元の世界ではガラの悪いNASAみたいなものなの。


 彼らは無茶をすれば魔界に行ける事を知ってるしその機材もある。



 だから無理させたった。



 下手をすれば乗組員全員死亡もあり得たけど、それでも私は弟一人の命と天秤をかけるまでもなく無理させたわ。


 彼ら乗組員には魔界を支配した暁には人間界との和平条約を取り付けると約束した。


 私の弟を助けるための計画にそれは最初から織り込み済み。

 騙す様な事をしたけど、それでも私は前に進むしかなかったの。





 そして私は今、一人で魔王城の前にいる。


 流石に海賊の方々には来ないでもらった、ここから先は人外魔境、私の様な人間以外は足を踏み入れられない。

 それに彼らにはもっと違う役目があるしね、グヘヘへ❤︎


 特に理由もないけど腕を組んで仁王立ち。

 魔王城の門の前で仁王立ち。


 想像より大きい魔王城。

 想像より白く大きい魔王城。


 まるで聖なる城。


 晴れ渡る空、雲もひとつなく真っ青な空気の澄んだ空。


 確か初代魔王の建てた魔王城を二代目魔王が改築したんだよな。


 原作でも謎に包まれた二代目の真実。

 まぁあの原作者の事だから何も考えてないんだろうけど、ここは実際にある世界。


 きっと原作にない物語があったんだろう。


 その全てを経験したジン様がこの城にいる。

 魔王のいない魔王城。


 そこにいる魔王を越える魔軍司令ジン。

 私の第二の推しキャラであるジン!


 ゲームでも彼はいわゆる負けイベントのラスボスTASでも勝てない最強無敵の男で弟のお婿さん❤︎


 ジン×レーはクロックスの鉄板! 安定カップリング!


 つまり弟の闇落ちを完全に防いでくれるのはジン様しか居ない!!


 け…………決して(よこしま)な腐女子的狙い、もとい想いがあるわけではないグヘヘへへ❤︎



「さてと、じゃあ弟の為に、お姉ちゃんが気張りますかぁ」


 その瞬間、モードを変える。

 私の体は光速で動けた、だがしない。

 しないのには理由がある。


 私は喧嘩をしに来たわけじゃあない。


 私は話し合いをしに来た。


 だから音速程度にしておいた。



 ゼァアアアアッッッッッッ!!!!!!!!!!!



 広大な大地をめくれあげさせながらつきすすむ。


 当然魔族の使い魔が自動的に何千匹か現れた。


 魔竜 (体長400メートル級)が数百匹 雑魚だ。


 オークキング 数百匹 クッソ雑魚だ。


 ゴブリンロードと連なるゴブリンの連隊 数隊 計千数百匹 雑魚中の雑魚だ。


 スライムロード 数千リットル ただの壁だ。


 ダークキメラ魔獣(魔族調整体体長10メートル級) 千体以上 雑魚だ。


 魔王城の精霊 4体 雑魚だがこの世にいないので倒せない、無視だ。



 その他大勢、全て雑魚。



 その全てを精霊以外殺さずに負傷させて戦闘不能にする。


 確かに話し合いにきたが魔族はある程度力を示さなければ見てもくれない。


 だからこの程度の力は見せなければならない。


 ジン様に目をつけられなければならない。

 弟の為に!


 弟の命のために!


 そこに私の感情などあり得ない。



 ビュン、バッ!!


 急停止、眼前に魔王の間の大扉が現れる。



 真っ白な両開きの大扉。


 何トンかありそうな試練的な扉。


 所々飾りにピンク色の染色がなされていて、何というか、魔王城っていうか女の子の部屋の扉?


 なんだろうこの扉。


 凄くジン様に合わない。


 嗚呼そう言えば原作者が百合魔王だったとか言ってたっけ? 興味ないからよく覚えてないや。

 挿絵描いて脳内から排除したんだよな。


 キィイイイ。


 1人でに開く魔王の間の大扉。


「騒がしいな、やかましい、そこまでしなくても私1人に用があるのなら門番に言えば通したぞ?」



 嗚呼❤︎


 赤い髪、目元だけ隠す仮面の形に変化したツノ、高身長にして完全なるタチの顔。


 何度も妄想して私が何千回も描いてきたジン様が今、そこにいる。


「女、なんの用事だ? ここまでしておいてまさかお話をしに来たというわけではあるまい?」



 初めに言っておくと私では絶対ジン様に勝てない。


 それは力量差もあるが私自身が目の前の推しキャラであるジン様を殺せないということがある。

 だから私は話し合いをしに来たのだ。


 海賊子分たちとの約束事、和平条約、それがまず最初。

 それを成立させてから1番の目的の弟の身の安全の確保。


 それが私の19年の生きる目的の集大成。


 そのためだけに生きてきたと言って過言ではない。それ以外に願いなど、ない。





「私の弟と結婚してくださいっっっっっっっっ❤︎❤︎❤︎!!!!!!!!!!!!!」





「は?」



 しまった、つい本音が。

 ジン様は口元の表情が固まったまま動かない。









次回、第35話 『魔王城に来たがもう遅いっ!!』



☆こんにちわオニキです。

ブックマーク、評価加点していただけると励みになります。

よろしくお願いいたします。


※誤字など気になったところがあれば遠慮なく指摘願います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ