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第31話 「竜子の愉悦」❤︎

 それからの私はアイツの声がリアルタイムで聞こえる様になった。


「なんでいきなりこうなった?」


 女を無視して私はアイツと話す。ただ脳内フレンドと話してると思われるとムカつくので、一言言ってからソッコーで一人になった。


『さぁな、でもこれはチャンスだ。この世界の流れがわかる俺とこの世界の最強のお前が組めば間違いなくアイツを幸せにできる、不幸を回避できる!』


「………………私は何をすれば良い?」



『先ずはこの学園の剣の封印を解いてくれ、そして異世界から龍やらなんやらが出てくるけど説明無視してぶっ倒せ!! 敵だ』


「ん? そういうのっていいのか小説家として、能力の概念の説明とか色々あるんだろ?」


『小説家としてはアウトだけど読者のことなんざ知った事じゃねぇ、これは実際の世界のことだしな』


 というか封印されてる剣ってあの地面に突き刺さった奴か? 確か現代科学の何をしてもびくともしない突き刺さった土ごと時の止まった物質みたいになった謎の剣だよな?


「私にあの剣は抜けるのか?』


『大丈夫だ、ある程度の魔力があれば抜ける設定だ。別に選ばれし勇者なくても抜けるしお前は選ばれし勇者だから絶対抜ける!!』


「抜ける抜けるうるさい! 私はJKだぞ!」


『ジェイケーって、その言葉……どこで、いや今はそんなことどうでもいいか』


「ん?」


 なんだか気になったがどうでもいい、それよりも行動だ。



 アイツの指示はある程度は話を進めてしまうという事だった。

 要は異世界でのいざこざから礼司を遠ざければいい。

 こっちの世界にいれば異世界の戦争に私が巻き込まれることはない、それは魔法で決められたことだから。ということらしいが。


 そして魔王の封印されしあの剣の封印を解いて速攻でぶっ殺す。


 それが計画だ。

 異世界の人間や魔族がこちら側に来る理由は異世界勇者があそこに魔王を封印した剣を突き刺して2000年放っといたせいらしい、迷惑な話だ。


 つまり魔王が殺されればあちら側にこっちを攻め込む理由がなくなる。


 ならば話が早い、封印を解けば待機していた魔族が戦いを仕掛けてくるから遠慮なくぶっ殺す。


『いや、それはダメだ。今の時代の人間を殺せばあちら側に戦争する理由を与えてしまう、せめて半殺しだ、魔王は殺さなきゃダメだぞ』



 面倒な…………。

 大体なんで私が礼司のためにここまでしなきゃならん、最近のアイツはつまらん。


 昔はクソガキで可愛げがあったが今はなんというか、大人しくなりすぎだ。

 子分の使い方も陰湿になってきたし、卑劣さも出てきた。

 可愛くない。


 こんなことならあの女、ハル、なんとかさんと同性愛に興じる方が面白い。


 嗚呼そういえば私は、なんであの男が好きだったんだっけ? 可愛いから?

 でも可愛いのなんて女の子でも良いはずだし、男なんて絶対醜くなるだろ?


 まぁ、アイツは幼馴染だし? 可哀想な待遇、だから?



 だから知らない誰かをぶっ殺してでも守りたいか?



 うーんでもまぁ()()()()()()()()()と考えれば別にその過程で助けても良いかぁ〜、幼馴染だし。



 私は他人の命に対する尊厳とか重さとかがよくわからない。

 親しい人間以外の命なんてどうでもいい気がする。


 みんな人形にしか見えないんだよな。



 ◆ ◆ ◆ ◆


 封印の剣を抜いた後色々あった。

 アイツのいう通り魔族が襲って来た、龍も来たし、面倒な口上も聞かされた。



 だがぶっ倒した。

 殺さない事を正義ツラとか色々言われたが知ったことじゃない。


 アイツのいう通りにしてやった。




 そしてアイツの声が聞こえなくなった、まぁ時間制限もあるだろうと考えて指示は全部覚えてる。問題ない。




 確かにこれが一番効率がいい、私の考えなしになんでもぶっ殺すのはダメだ。

 ただ敵を作るだけだそんなの。


 だがなぁ、どうしても戦いとなると強制的の脳がリセットされてぶっ殺すことしか考えられなくなるんだよなぁ。

 これはもう私の性質みたいなもんだからしょうがない。


 まぁ次は魔王を復活させてぶっ殺すだけだ。


 少しその前に、人殺しになる前に一回あの教室で寝ておこう。


 もう、人として寝る事などできないのだから。

 私は今日、人殺しになる。


 ヒトデナシになる。





「おい竜子!」


 声が聞こえる、これは。


「その剣なんだよ?」


 礼司だ、嗚呼なんだ今の礼司か。

 昔の夢だったら良かったのに、今のお前には興味ないんだよ。


「お前には関係ない」


 つまらなくなったお前に時間をかけてられない。

 ん? つまらなくなった? 私は楽しかったのか? この私が?


「関係ないわけあるか! 大体それ封印されてた剣じゃないか?? そんな帯刀許されてないだろお前は!」


 うるさいなぁ、今何か掴みかけたのに。

 大体私より弱い事は分かってるくせになんで立ち向かえるんだよ?

 アレ? なんだこの感じ。


「許されてない? 許されてないからなんだ?」


 ぶっ飛ばせばいいだけなのに、今までの男供ならそうしてたのに、口喧嘩を楽しんでる?

 違う、どっちかというと、今の私は………………。


「何……だと?」


 礼司の反応を愉しんでる? 


 内心怖がりつつも話しかけてくれる礼司の…………恐怖に染まった顔を愉しんでる???


 嗚呼、そういえば私の性の目覚めもこいつが原因だった。

 コイツの、クソガキだったコイツを腕力で打ち負かした時の表情がたまらなくて………………。


「お前如きの力で私を抑えられるならやってみろ、今の私なら人殺しくらいきっと容易いぞ?」


「ひっ…………」


 嗚呼、なんだよその顔、今にもオシッコ漏らしそうな顔しやがって!!

 漏らせ! 漏らして赤面しろ!! 漏らせ!!


「す、すまなかった竜子」


 ちっ! 我慢したか!


 …………やばい、私がトイレ行きたくなってしまった!


「もう何も言うな、話し、かけるな!」


 その恐怖に染まった声をそれ以上聞いたら、私がどうにかなってしまいそうだ❤︎


 思い出した、私はアイツの綺麗な顔が好きなんじゃなかったんだ。

 おっかなびっくりでも突き進み、自分の意思を通そうとするアイツが好きで❤︎


 そしてそれがねじ伏せられた時に魅せる屈服面が、最っ高にシ◯いんだ❤︎


 チ、チガウ。ワタシハ変態ジャナイ! 


 


 私はアイツから逃げる様にトイレに行った。



 ◆ ◆ ◆ ◆



「……………ふぅ」


 …………落ち着いた。

 って私は何をしてるんだ。

 もう忘れろ。アイツはただの幼馴染だ。



 性欲の対象になんかなら、ん。



 屋上に行こう。


 そこで魔王の封印を解く。


 そして魔王をぶっ殺して。全て忘れよう。


 私は感情のない暗殺者になるんだ!!


 アイツなんか、あんな感情は知らない!!


「ぶ、ぶひ❤︎」


青豚、変態に目覚める。


次回、第32話 「竜子の闇落ち」


☆こんにちわオニキです。

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