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Evil Face  作者: 朧月 焰
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1限目「静かに潜み、覗く惡の芽」

この垢での初投稿です。どうぞ、お手柔らかにお願い致します。

 

 ボク……神田遊魔(かんだゆうま)は、1人掃除ロッカーの暗闇に包まれていた。身体は小刻みに震えている。


「落ち着くんだボク……こんなんじゃ見つかってしまうだろう……」


 恐怖って、人間の本能的な感覚なんだ。


 あれだけ死にたいと願っていたって、いざ殺されるとなったら死にたくない……なんて矛盾じみた感情を抱く。


 思考の転換。


 それにしても、ゲ(・)ー(・)ム(・)開(・)始(・)申(・)告(・)者(・)は一体……?


 ……もしかして、零加ちゃんだったり……?


 ボクは彼女の取り乱した姿を一度だけ見たことがある。


「神田君、外界で私たちがどういう扱いをされているのか知っている?」


「さ、さあ……」


 知っていた。ボクは元外界の人間だから。


「欠陥品。私たちは常人を逸してる欠点を抱えているの……」


「……」


「嫌いなんだよね……この世のありとあらゆる不公平とかさ……」


 それは楠ノ木零加(くすのきれいか)という女の子の静かな独白だった。


 無色透明。それがボクの抱く彼女に対するイメージの根源。


 普段は、本当の感情や自分自身を表に出したりしない為に、これは彼女の本心であると、叫びたい本音なのだろうと察することができた。


 ……ボクには痛いほどよく分かる。


 ボクが今まで見てきた限り、外の人間は様々なストレスの発散の為に彼女らを馬鹿にして鬱憤を晴らす。


 もちろんボクだって内心馬鹿にしていた。ここに来る前までは。


 しかし、ストレスなんて誰もが抱えるもの。


 どうしてストレスを発散する手立てが与えられる者と与えられない者がいるのだろう。


 彼女は間違いなく何か抱えていた。


 まあ、チキンなボクはそれ以上踏み入って聞くことも、慰めることも出来ず……。


 次の日の零加ちゃんは、いつも通り偽りにまみれていて、周りの視線なんて意に返していなくて。


 それでいて独りでいるボクに意地悪っぽく声をかけてきて……でも踏み込まず踏み込ませず、か。


 そう言えば、ボクは彼女のことをあまり知らないのだ。


 それに、それ以外の人はもっと知らない。


 だから決めつけることは出来ないけど……じゃあ誰が……?


 ガタッ!


 そんな鈍い音がした刹那、そんなボクの思考は完全に断ち切られた。著しい恐怖によって。


 誰か来るっ!!


 見つかりたくない見つかりたくないなんでボクばかりなんだよ負けたくない終わりたくないこのまま……!


 足音が聞こえる。ガサガサと辺りを探索する音。


 いずれ見つかる……咄嗟とはいえどうしてこんなにも危険な場所へ隠れたんだボクは。


 もっと……ねぇ、あっただろう。例えば…………


 何も思いつかない。


 やっぱりボクはダメなんだ。何一つとして長所がない。だからここへ連れてこられたんだ。


 ボクの目の前に誰か立っている気配がする。


 もう何もかもどうでもよくなってきたよ。やるなら、殺ってくれっ……!


 キィィッと掃除ロッカーのドアが開く。


 ボクは目を瞑って堪える。


 早く、楽になりたい……!


「うぐうぐ……」


「かーんだ君っ!」


 そっと瞼を開くと、そこにはよく見知った白い髪。触れれば雪のように消え入りそうな……


「ふぇぇっ!!れ、零加ちゃん!?な、なんで?隠れないと危ないよ!」


「えへへぇ、やっぱりここだと思ったよー。それよりいい場所見つけたんだ。行こ?」


 そう言って、ボクの手を引く彼女の後ろ姿をボクは呆然と見つめていた。


 …………


 無事に、その"いい場所"とやらに辿り着き、そっと胸をなでおろす。


「調理準備室……?」


「そうだよ。鍵も入手してるし、それにもしもの時は、ほら……これ」


 彼女がthrowして渡してきた物は鋭く研がれた調理用包丁。


「う、うわっ!危ないよ!」


 間一髪のところでそれを避ける。


「しーっ……大きな声出すと見つかっちゃう」


 包丁は少し古びた床に見事に突き刺さっていた。恐怖で青ざめる。


「もしもあいつが来たらこの包丁でグサッと……ね?」


「りょ、了解……」


 2人で鍵を閉めたドアの手前で息を殺し待機した。


 それにしても、彼女はどうしてボクに固執するのか。もしかして好意を抱いてくれているのか……?とも思ったが、彼女に限ってそれはない。


 彼女には喜びとか恐怖とか、人間らしい感覚があまりにも感じられない。強いて言えば憎悪は健在か。


 まあ、憎悪に関してはボクも負けてはいないけど。


 とにかくこんな殺人ゲームを止めないと。開始申告者は誰だ……?


 そんな推理をしてみても、ぼくは内心正義のヒーロー気分でまともに考えちゃいないんだ。


 ダメなやつなんです。ボクは。


 ……ヒーローになりたい。目立ちたい感謝されたい認められたい愛されたい従わせたい殺したい。なんてね。


 静かに潜む勝ちへの欲望。


 その芽は開眼しつつある。


 いつかその芽が花開く日が来るならば、ボク……オレは覚醒を果たす。


 見渡しても見渡してもモノクロの空間が広がっているだけ。


 もういい加減窮屈で頭がおかしくなりそうだ。


 無能なお前は早く引っ込んじまえばいい……


 オレは全てをぶっ壊してでもお前をヒーローにしてやるから……


ご視聴ありがとうございました!

謎は深まるばかりですが、詳しいことはおいおい明らかにしていきたいと思います。

是非とももう少しお付き合いください。

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