13話 激闘
「只今より、第一試合を開始します!」
会場に鳴り響く万雷の拍手と歓喜の声、ボルテージは最高潮。
会場が暗くなり、スポットライトが選手入場を今か今かと待ち構えている。
「青コーナー、身長205cm、体重275パゥンド......ボウイ・カズチカぁぁぁぁぁ!!!!!」
「「「「「ボウイ!ボウイ!ボウイ!ボウイ!ボウイ!」」」」」
軽快なフットワークで入場曲と共にボウイの入場だ、その端正なルックスに、人魔両方の女性陣からは甘い声が上がっている。
リングの上に立ち、身に纏っていたガウンを客席に投げ込む。
ガウンの下から現れた鍛え抜かれた筋肉と黒のショートパンツ姿。
右の拳を突き上げた、その行為で一層歓声が沸き上がる、圧倒的なビジュアルがボウイの魅力。
トレーナーでもあるミスティは後のインタビューでこう語る。
『確信した...これは絶対に頂点を取れる』、と。
「続きまして、赤コーナー!身長230cm、体重388パゥンド......グレート・トォォォォル・カーン!!」
「「「「「トール!トール!トール......トール?...トール!?」
念仏のような入場曲と共に現れたトール、しかし、その姿を観客が認識した瞬間、困惑の声が会場を包みだしていた。
不敵な笑みを浮かべているトールだった、しかし、内心は...。
(やばいやばいやばい、アーサー!本当にこれで...本当にこれで良いんだよなぁ!?)
■
「アーサー...俺、本当に大丈夫なのか?」
プロレスの特訓に付き合いだしてはや2週間、毎日毎日地獄のようなトレーニングを課されていた。
正直言って死ぬほどきつい、でも、アーサーの頼みでもあり、心待ちにしてくれている人がいるという思いで必死に耐えている、だが...。
「なにが?...あぁ大丈夫!それ以上仰らないで。トール兄さんの強みは圧倒的なその巨体!いい?子供はね、大きいものが大好きなんだ、だから子供人気間違いなし!多少のテクニックは全部カバー出来るよ!」
「いや、そうじゃなくて...」
「分かってる、子供だけじゃなくて、色んな年齢層に人気が欲しい......でしょ?」
「まぁ、そうだな......アーサー、俺もさ、お前みたいに恋人が出来たり、結婚したいなって思うようになってきたんだ」
アーサーは言っていた、プロレスラーはモテると、そりゃあべらぼうに。
多少の美醜など、プロレスラーが持つたくましさとカッコよさが全てを凌駕すると。
「兄さんくらいだよ、モテたくて練習を続けてる人は、すごいや」
「アーサー......お前ちょっと馬鹿にしてないか?」
「してない!......まぁでも、僕は道を作ってあげてるだけだから、そこからは兄さんの努力次第だよ?」
「努力って...どうすりゃいいんだよ...あれなんだろ?女性はちょっとワルな男が良くて、優しいだけじゃつまらなーいとか言うんだろ?どうすりゃいいんだよ!!」
あれか?もう恋愛は諦めて来世に期待するか?アーサーみたいに。
いやこいつの場合は違うか......どこかで運命的な出会いとかないかなぁ。
「んじゃあ......なってみる?ワルに」
「......へ?」
■
「ここを...こうして...こっちはこうで...最後にこれで...いいよトール兄さん!」
「んなっ!?」
アーサーの加護によって俺の体は別人のように...というか別種族のようになっていた。
目は吊り上がり、鋭い牙と頭部に生えた1本の角、そして体には謎の文字が刻まれていた。
「ええと...右肩に書いてある文字の意味は?」
「それは殺すって書いてあるね」
「左肩は...?」
「そっちも殺すだね」
「背中に書いてあるのは...?」
「そっちは愛してるだね」
気づいた時には両手両膝を地面に付き、うなだれていた。
俺は...とんでもない間違いを犯してしまったんじゃないか?
「安心して、ちゃんと元通りになるから!それと...これ!」
1冊の本を渡された、題は『ヒールの美学』、そう書いてあった。
「試合までにこれを読んで、言葉遣いや立ち振る舞いに注意してね!大丈夫、トール兄さんなら出来るよ!んじゃ僕、両国の王様たちを案内しなきゃだから、頑張って!」
「おい、アーサー!ちょっと」
待ってくれよと言おうとしたらもう目の前からは消え失せていた...どうしよう、取り返しのつかないことをやってしまったんじゃ?
祖父母も招待してるっていうのに、こんな姿見たら泡拭いて倒れるぞ...。
それにワルになりたいとは言ったが、ここまでやったら女性どころか子供にすら人気でないんじゃないか?
アーサーに元に戻してもらいたいが...この姿で外を出歩いた瞬間、悲鳴が鳴りやまないのは容易に想像がつく。
くそぅ...もういい、どうにでもなれ、なってやる...なってやるよ、ワルによォ!!
■
入場したトールの姿に多数の観客が困惑していた。
顔には謎の文字が書かれた紙が貼ってあり、何故か頭部には角が生え、そして身に纏う異国の装衣。
全身から只者ではないオーラを放っているトールに、周囲は畏怖していた。
なお当の本人は...
(緊張で震えが止まらねぇぇぇぇ!!!体が思うように動かねぇ!もう駄目だ!家に帰りたい!殺してっ......あ、あの人可愛いな...目を逸らされた...死にたい...死のう...)
緊張と羞恥が体を支配していた、しかし歩く姿は正に不気味の一言。
普段の行いが身に染みている所為か、目が合うと軽く微笑むも、その笑顔すら普段の柔和なものとは違い、固く険しく下卑た笑顔に目を合わせた観客は恐怖した。
リングの上に立ち、装衣を脱いだ瞬間、またも大きな悲鳴が会場に鳴り響いた。
この世界において体に何かを刻み込むことは普通である。
しかし、刻み込まれた異国の文字、右肩に『死』左肩に『殺』そして背中に『愛羅武勇』、どのような意味なのかは一切分からない、だがその禍々しく武骨な文字が、普段のトールとのギャップを醸し出している。
相対したボウイは普段の様子と違うトールに戸惑いつつも、良き試合をするために右手を差し出した。
「すこし驚いたが、その姿はどうしてだい?」
「そこに居る奴にハメられまして...」
二人の視線が向いた先にはレフェリー姿のアーサーが居た、なお視線を向けられた瞬間、明後日の方向を向いて口笛を吹いているが。
「「「ボウイ様~!頑張って!」」」
声援の割合は9:1......どころか9.9:0.1レベルの圧倒的敗北、トールの心は荒んでいた。
「ボウイさんは人気があって羨ましいですね...特にあそこの三人なんか声量が他の人の倍ありますよ」
「あぁ、彼女たちは僕の妻だよ。まったく、ティーンみたいにはしゃいじゃって、たはは」
「ははは......は?」
その瞬間、トールの握る力が一際強くなった。
「奥さんが......三人?」
「あ、あぁ、そうだよ、どうしたんだい?その...急に力が強くなったけど」
バッと手を振り払ったトール、その目には非モテの嫉妬と怒りの炎が燃えていた。
大きく息を吸い込み、自身の役目を、役割を高らかと宣言した。
「余は暗黒大帝『グレート・トール・カーン』!今宵、この男を血祭りにあげ、会場に悲鳴の嵐を巻き起こすのだぁ!ふぅははははは!!!!!」
「あ、あはは...」
この時の心境を、トールの専属トレーナーのアーサーはこう語る。
『いやぁ、心臓の震えが止まりませんでしたね!あの日あの時、トール兄さんの新たな側面が発見できて...これならば世界も取れる、そう思いましたね』
■
「さぁ、ついにAWPWヘヴィ級王者決定戦の始まりです!実況は私、『童話』の騎士ロキが。レフェリーは厳正な判定に定評があるアーサーが行います!」
「試合内容は60分1本勝負、男と男の一騎打ち、最強をかけた戦いが...」
『カンッ!』
「ゴングの音と共に、今始まりました!」
「まずはじりじりとした探り合い、指先が触れようとするほどの距離感で両者睨み合いが...あっと!両者、手四つの状態に移行しました!ここからは単純な力比べ!ギリギリという音がしそうなほどの力比べ!しかしやはり体格差ではトールに分がある!少しずつ少しずつロープへと追い詰めていきます!」
トールがリングロープへ押し付けた、ここからは...地獄の時間だ。
『バチンッ!』
「トールの張り手が炸裂!まるで爆発したかのような音が会場に鳴りひび...あっと、もう一発!ボウイの、ボウイの胸に真っ赤な手形が付いている!」
「これは痛い!ボウイが痛みに苦しんでいる!蹲った所へ...なんだ?トールが祈っている!両手を上に掲げて祈っている!」
祈るように両の手を掲げたトール、その後はシンプルだ、ただ力任せに振り下ろす。
「『トールハンマー』!代名詞でもあるハンマーを振り下ろしたぁ!マットに沈んだボウイはピクリとも動かない!これは危険!暗黒大帝の名は伊達ではない!止めのストンピングが!」
トールの足が、マットに沈むボウイに突き刺さろうとした瞬間、そこにはもう、ボウイの姿は無かった。
華麗な身のこなしで気づいた瞬間、トールの背後に回っていた。胴体にクラッチを組み、腰を落とす。
そこからは一瞬であった。
「ボウイが瞬時に背後に回ってこの体勢は!?いけるのか!?やれるのか!?持ち上げた!『ジャーマンスープレックス』だぁぁぁ!!!!」
ボウイのブリッジ、フォーム、スピード、そしてトールの受ける技術。完璧なジャーマンスープレックスだ。
「そのままフォールの体勢!カウントは...1で返した!両者気合十分、まだまだこんな試合では終わらせない!」
しかしトールもノーダメージというわけにはいかない、ふらつきながらもボウイに向けて相対した瞬間、ロープを利用し勢いをつけたラリアットが目の前に飛んできていた。
「ここでボウイのラリアットぉ!トールの巨体が大きくぐらつく!」
だがトールは倒れない、男の信念が倒れるなと叫んでいるから。
倒れまいと必死に足に力を入れ、俯いた顔を上にあげた時、ダメ押しの一撃が顔へ迫っていた。
「ドロップキック炸裂ゥ!!これにはトールもロープを頼るしかない!」
ロープに体を預け、なんとか倒れないようにするトール、まだまだ追撃は終わらない。
「もう一発ラリアットォ!さらに...助走してもう一発ッ!」
二発目のラリアット、それが大振りだったのを見逃さなかった。相手の右脇に頭を差し込み、右腕で頭部を固定する、そして...。
「トールが会場を煽ります!不敵な笑みで、舌なめずりをしています!ここからどうする...飛んだ!『トールボトム』だぁ!!!フォールまで持ち込むが...これはカウント2で返します!」
「追撃は止まらない!寝ているボウイにギロチンドロップゥ!!!そして今度はエルボードロップゥ!またしても抑え込む!が返す!」
「トールがボウイの角を掴んで起こしている!脳天唐竹割り!からの、ココナッツクラッシュ!ボウイが場外へと飛んでいく!」
リングアウト、10秒以内にリングへ戻らなければ敗北となってしまう、しかしそんなことをトールは望んでいない。
「トールがトップロープへ登った!」
最上段でまたもや祈り始めるトール、観客にはこの後何が起こるのか、容易に想像がついた。
悲鳴が上がりだす場内、次の瞬間、トールが飛んだ。
「巨体が飛んだ!ボウイに襲いかかる!」
トールの巨体によって潰される...そう思われた。
しかしボウイの身体能力は異次元だった、トールの巨体を流しながら受け止めつつ、逆にトールを投げた。
『プラスティック・ボム』ボウイの必殺投げだ、地面に叩きつけられたトールも流石に堪えたのか、地面に突っ伏している。
「ボウイのカウンターが炸裂!会場が湧いています!ボウイコールが止まらない!このまま決まるのかぁ!?」
ボウイの勢いは止まらない、トールを引き起こすと頭部を両太腿で挟んだ、そのまま胴に腕を回す。
「持ち上げて落とす!パイルドライバーが決まったぁ!...あーっとっと、レフェリーがリングインを求めています!しかしボウイは外で決めるつもりです!」
ボウイとアーサーが言い争いをしている最中、一人の男が立ち上がっていた、狙いは...。
「なんと!トールがレフェリーごとボウイを掴み上げた!そのまま、まとめてベアハッグだぁ!二人の顔が苦痛に歪む!!」
「これで終わらない!これで終わらない!二人まとめての、フロントスープレックスだぁ!!」
地面に叩きつけられた二人、ボウイにはまだ意識があった、しかし二人分の体重をかけられたアーサーは失神した...つまり。
「トールが...何か探しているぞ...?パイプ椅子だ!パイプ椅子を使うつもりです!なんと卑怯な!暗黒大帝の異名は伊達ではない!一発!二発!観客席からはブーイングの嵐です!」
「あっ!ちょっとなにして!」
今度は実況席のマイクを奪い取り、殴り始めた、ボウイの額からは赤い血が流れ始めている。
だがボウイも負けてはいられない、観客席との境にある鉄柵を使いだした、もうめちゃくちゃだ。
「あぁごめんありがと...今も目の前では壮絶な殴り合いが繰り広げられています!両者の顔は腫れ上がり、体からは流血も見られます!ちょっと!アーサー兄!早く起きて!寝ぼけてないで!」
「ここでようやくレフェリーストップです!決着は場外ではなく、リング内で決められます!」
レフェリーの言葉に渋々ながらも従う二人、先にリングインしたのはトールだった。
「おっとトール選手、ボウイ選手に対して手を差し伸べています、試合中とは打って変わって紳士的ですね」
ロープを挟んで向かい合う二人、その光景に拍手が送られた......が。
次の瞬間、トールがボウイの腹部に膝をめり込ませていた。
「トール卑怯!先ほど見せた笑顔は演技だ!そのまま頭を抱えて、ブレーンバスターに移行しようとしている!引っこ抜けるか!?ぶっこ抜けるか!?」
トールが最後の力を振り絞り、ひっこ抜いた、これで決まってしまう、そう思われた。
しかしボウイの機転が光った、空中で体を捻り、背中から倒れるどころか、逆にトールの背後に着地した。
背後から相手の片腕を掴み、後方へと引っ張る。掴んだ手は離さない、反動で戻ってきたところへラリアットを食らわせる、何度も、何度も、何度も。
倒れようとしても、強靭的な膂力で引っ張り上げる、相手が人形のようにピクリともしなくなるまで。
ボウイの必殺技、『マリオネット・メーカー』だ。
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あ~、ってぇなぁ...いつまで続くんだよこれ...もう疲れてきたや。
もういいだろう、お客さんも盛り上がってるし、目的は達成できた筈だ。
負けるのが嫌だって気持ちはあるけど...ヒールだもん、俺が負けるのを皆望んでる、そうなるように努力をした。
これにてボウイさんはより人気者に、非モテの俺は...今回で終わりだろうな、そうしよう。
俺には合ってなかったや、はは。
「トール・カーン!がんばれぇ!!!」
そんな時だった、一人の少年の声が...しかも魔族の少年の声が耳に届いた。
すると次第に、少しずつではあるがトールに向けられる声援が増えてきた。
(あぁくそっ!どうしても...子供の前では...かっこつけたくなるんだよなぁ!!)
ボウイの一撃が確実に捉えた...にも関わらず、先ほどまでとは打って変わってビクともしなかった。
怪訝な表情を浮かべた次の瞬間、ボウイの顔面にトールの額がぶつけられていた。
ふらつきながら二、三歩後退し確認したトールの姿...息も絶え絶え、全身には流血と打撲痕、満身創痍という表現がピッタリな姿、しかし目は死んでいなかった。
「トールの目は死んでいない!ここからがトールの本領発揮だ!向かっていく!向かっていく!」
「脳天唐竹!逆水平チョップ!相手をロープに投げての16文キック!トールの技が!勢いが止まらない!」
「膝蹴り!膝蹴り!膝!膝!からのヘッドロック!ここで決めたいトール!ボウイはここで終わるのか!終わってしまうのか!」
だがボウイも諦めてはいなかった、ヘッドロックの緩んだ瞬間を見逃さなかった。
腰を落として胴に手を回し、後方へと投げる、バックドロップで切り返そうとした。
「ボウイのバックドロップ!...しかし、トールの河津落としが炸裂!!!!このままフォールに...またしてもカウント2.5で返した!まだまだこの戦いは終わらない!終わって欲しくない!」
ははっ、こっちはもうへろへろだっつの、何が終わって欲しくないだ。
でも...ははっ、楽しいな、プロレスは。
みんなと作り上げているこの空間が...好きだな。
ボウイさんも同意見のようだ、指で煽ってきている...これで逃げたら、男じゃねぇなぁ!
『バチィン!!!!!』
「両者ラリアットのぶつかり合い!!!トールはまだ立っているが、ボウイはもう立てそうにもない!」
ボウイさん、ありがとう。あなたとの試合、楽しかったです。
それとアーサー......後で殴る。
「祈りの構えを作り出した!トールが終わらせる気だ!振り下ろした!これが『トールハンマー』だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
地面に突っ伏したボウイを、ゆっくりとだが確実にフォールの体勢へ持っていく。
『1!!!!!!』
地鳴りのような、観客全員によるカウントダウン。
『2!!!!!!』
(頼む、終わってくれ...)
『3!!!!!!』
(っぷぁ......疲れたぁ......)
「試合終了!トールが勝ったぁ!初代AWPWヘヴィ級王者決定戦は、グレート・トール・カーンの勝利です!!!!」
■
「いやぁトール兄さんお疲れ!最後までどっちが勝つのか分からなくてドキドキひやひやだった...あいてっ!?」
「うるさい...すこし...静かに...してくれ...」
「でもこれだけは言わせて!......最高だったよ、ありがとう、兄さんに頼んで大正解だった」
「ふん...俺はアーサーの兄貴だからな、これぐらいはどうってことないさ」
兄弟で他愛のない会話をしている最中、一組の老夫婦が目の前に現れた、見知った顔...というよりも見慣れた顔。
「爺ちゃん、婆ちゃん!どうだった、俺の試合?」
「最初現れた時は、婆さんが泡拭いて倒れちまったんだぞ!それにあんな戦い方して...でもよぉ...最後は皆が祝福してくれてよぉ...儂は嬉しくて嬉しくて...」
「トール、やっぱりあんたは、強い子だ...あんたのお陰で...世界が少しずつ変わっていってるよ...ありがとう」
なんだかむず痒くなっちまう、ここまで褒めてくれることはあまりなかったから...天国の父さん母さんも、喜んでくれてるかなぁ...。
「それでトール、ひ孫の顔はいつになったら見せてくれるんだい?」
「うぐっ!?......それはまぁ...近いうち...に?」
「アーサーちゃんは婚約者が出来たってのに、あんた...恋人がもしかして居な」
「あっ!!いたたたた!背中と腰と頭と膝が痛いなぁ!医務室に行かなきゃ!んじゃ!」
耳の痛い話からは逃げるが良策だ、それにしても...モテるって聞いて了承したのに...これじゃ普段と変わらなくないか!?
神様、お願い!俺に出会いを!運命のような出会いを、俺に下さーーーーーい!!!!
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交流都市ヴァルハラ南門、そこに二人の人物がやってきていた。
「誰だ!......あぁ、貴方様でしたか、申し訳ございません」
「お久しぶりです...ラルカン様...アンシェル様...」
既に試合は始まっているというのに、随分と遅い到着であった。
「領地の方で仕事を終わらせて来たからねぇ、いやはやそれにしても、凄い歓声だ、楽しみだね、アンシェル」
「あぁ、そうだな」
不審な者は通すなと言われている二人だったが、この二人に限ってそんな事はないと断言し、入門の許可を出してしまった。
「それではどうぞ、存分にお楽しみください」
「そうさせてもらうよ、二人とも、お仕事頑張ってね」
いつもに増して上機嫌なラルカンに、多少の違和感を覚えつつも、二人は再び門の警備に着いた。
この二人がとんでもない大事件を引き起こそうとしているとは露知らず...。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
構想段階でプロレスやりてぇなぁ...オーカーン様をパロったネーミング使いたいなぁ...でグレート・トール・カーンになりました、半年前に考えていたものがようやく出せました。
試合内容は馬場さんのようにもなりましたが、分かりやすく表現するならこれしかないかな、と。
次回は女性4人、2:2のタッグマッチ編です、ご期待ください。




