【10話】ダンジョン攻略の運
「よし!Newセイの力を確認しにいくぞ!」
コクリ
初めての『キオク』による行動改善。
ちゃんとダンジョンでの動きが変わるのか確認する大事な初回。
上手く機能しなかったらその時点で今後の色々が頓挫する。
そもそも今までセイの行動が改善されなかったのが、記憶に問題があるからっていう点すら憶測だ。
メイの力で『キオク』出来るようになったけれども、それがちゃんと反映されるかも分からない。
ひょっとしたらダンジョンに行ったら『キオク』が消えるかもしれない。
色々と不安もあるが、とにかく試してみないと分からない。
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<地下1階>
「よーしじゃんじゃんいこう!」
何回か周回をして慣れてきたので、最近は開幕に『テイシ』する事も無くなってきた。
セイが勝手に動き出す。
<紅玉丸を倒した>
<茶の宝珠を手に入れた>
<茶の宝珠を使った 茶の宝珠は天撃の宝珠だった>
セイの周辺に雷が落ちた。
天撃の宝珠の効果だな。
セイを中心とした範囲攻撃かな?
とりあえず、最初の部屋は順調順調。
そのまま2部屋目に。
「お、早速検証できそうだ。」
2部屋目には近い順に階段、宝珠、水玉丸。
今までだったら即階段を下りていた。
「頼むぞー、ちゃんと行動改善されてくれー。
…おっ!」
セイが宝珠の方に向かっていく。
いいぞ!しっかり改善されている!
階段を無視して探索優先になってる!
<太い宝珠を手に入れた>
<太い宝珠を使った>
あ、複数回の宝珠だ。
複数回の宝珠は何回か使えるけれども、使っても鑑定されない。
使った効果から宝珠の能力を推察して、自分で判断しなければならない。
「まだどんなのがあるか全然把握出来てないけど、今回のは分かりやすいな。」
たまたま正面にいた水玉丸に太い宝珠から出た弾が当たり、セイと水玉丸の位置が入れ替わった。
【メモ帳】
・太い宝珠=入れ替わり
判断出来たことはメモ帳に書いていく事にしている。
今はまだあまり意味は無いけれど、今のうちに慣れておかないと後で困りそうなので。
ちなみに複数回使える宝珠は、今のセイだと拾った後に1回だけ使用。
その後使う事は無く、手持ちを圧迫させるだけになっている。
…
その後、水玉丸を倒して次の部屋に向かった。
いやー良かった。
ちゃんと階段後回しにしてくれてるし、探索優先してくれてるね。
…
<緑の宝珠を手に入れた>
<緑の宝珠を使った 緑の宝珠はメイレイの宝珠だった>
「お、メイレイの宝珠だ。」
メイが作った宝珠の一つ、メイレイの宝珠。
実は今までもいくつか拾っており、セイが使うと俺の手持ちへ移動する。
多分アイテム作成時にそういう設定を入れたんだろう。
セイが死ぬとセイが持っていたアイテムは全て没収されるが、俺の手持ちにあるアイテムはそのまま持ち帰れるようだ。
なので、メイレイの宝珠は3個拾って、計4個俺の手持ちにある。
〔なあメイ、メイレイの宝珠は3個拾ったけど、キオクの宝珠はまだ見たことが無い。
これって単純に運が悪いだけかな?〕
〔いや違うの
宝珠は効果が強いほど、レア度が高い
メイレイの宝珠よりキオクの宝珠の方が効果が強いから、じゃろうな〕
あーそういえば王様もそんなようなこと言ってたな。
〔なるほどね、じゃあレア度が低そうなメイレイの宝珠は結構手に入りそうだな〕
〔そうじゃのー
1回動きを強制させるだけじゃから、そんなに強力でもないしの〕
〔わかった、さんきゅー〕
結構手に入るなら、メイレイの宝珠は早めに色々試してみてもいいかもしれない。
…
その後地下1階で全ての部屋を探索し、レベルは2に上がった。
そして途中で「鉄の盾」を拾った。
とりあえず開幕としてはかなり順調だ。
「全ての部屋を確認」という制約のせいか、通ってない通路を優先して通り、全ての道を通った事で確認し終わったと認識するようだ。
ちょっと歩きすぎて満腹度が心配になるが、この世界は日常でも満腹度が減っていくせいか、満腹度の設定がかなり緩い。
不〇議のダンジョンの5,6倍は持つので、過度に心配しなくてもしばらくは大丈夫だと思う。
<地下2階>
「さあて、わりと万全な状態で地下2階に来れたな。」
まだ戦闘の立ち回りは猪戦法だけど、1階で「鉄の盾」を拾えたのがデカい。
体力消耗がかなり減るので、2体に突っ込んでもまだなんとかなる。
セイの装備品への対処に関しては、後から拾った物を必ず装備し、それを使い続ける、だ。
だから「鉄の盾」より弱い盾を拾ったら、それを装備して弱くなってしまう。
ここも早く改善しなきゃいけないポイントだ。
「地下2階は正直1階とほとんど難易度変わらない。
出てくるモンスターも一緒みたいだし、サクサク行こうか。」
地下1階の調子でそのまま地下2階を探索していく。
…
<至高の刀を手に入れた>
<至高の刀を装備した>
「え、なにこれ初めて見た。
名前からして凄い強そうな武器だ。
えーっとステータスステータス。」
<<ヴン>>
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セイ
レベル:3 HP:21/24
武器の強さ:10 防具の強さ:4
ちから:8/8 満腹度:92%
【アイテム】
至高の刀 E
鉄の盾 E
木の剣
太い宝珠 -1
長い宝珠 -1
空の宝珠
守の宝珠
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「武器の強さ10!?つっよ!!!」
少なくとも不〇議のダンジョンで考えれば、武器の強さ10は相当強い。
最上位武器一歩手前くらいの強さだ。
この世界でも同じかは分からないが、少なくとも木の剣の10倍だ。
これは今までで最高の出だしかもしれない。
さらに
<黄の宝珠を手に入れた>
<黄の宝珠を使った 黄の宝珠はキオクの宝珠だった>
「お!ついに来たキオクの宝珠!」
これでさらにセイの行動を強化出来る!
何を優先するかは帰ってからじっくり考えよう。
装備に恵まれた事もあり、2階も苦無く突破。
「いいね順調だね!」
コクリ
<地下3階>
「『テイシ』。
さーて、問題はここからだ。」
地下3階になると、出現するモンスターの種類が増える。
特に最初に殺されたアロラビーがヤバイ。
遠距離攻撃がある相手に対して真っすぐ進んでいくと、一歩歩くごとに攻撃を食らう。
現状セイは一直線に敵に向かうから、本当にいい的だ。
「今『キオクの宝珠』使って対策しちゃうか…?」
今回はわりとアイテムの引きがいい。
このままもう少し先に進んでみたい気がするし、対策するのはアリだ。
どうせ対策は早めに必要だ。
「でもなぁ…今は1,2階を安定させたいんだよな…」
運ではなく安定で抜けれるようになるには、優先すべきはアロラビー対策じゃない。
もっと基本的で根本的な対策だ。
「よし決めた。
今はそのまま進もう。
そんで本当にヤバくなったら、いい機会だから『メイレイの宝珠』を試してみよう。」
至高の刀は現状かなり強い。
これはいい機会なんで、『メイレイ』を使ってセイから俺にアイテムを渡して、持ち帰れるか確かめよう。
アイテムが持ち帰れれば戦略の幅が広がるし、貴重なアイテムも溜めていける。
なにより装備品の強化がしていける。
装備品は『武器強化の宝珠』と『防具強化の宝珠』で強化出来る事が分かっている。
今までの周回で手に入れた情報だ。
なので、毎回持ち帰れるなら装備品はどんどん強くなって、攻略が楽になっていく。
「まあ現状は強化しても、拾った装備品を優先して装備しちゃうから意味無いんだけどね。」
アイテム周りの動きを改善しないと意味はない。
それでも装備品の強化は先行投資してもいいと思う。
「てわけで、セイ、一旦このまま進むぞ!『コウドウ』!」
…
…
…
「て、『テイシ』!やっば!」
3部屋目に入った所で緊急停止。
正面の奥にアロラビーが1体と、さらにその奥にアロラビーがもう一体並んでいる。
これはまずい。
まず1体目のアロラビーに狙い撃ちされる。
その上で、さらに後ろのアロラビーも一緒に打ってくる。
後ろの矢は前のアロラビーに当たるはずだ。
敵が敵を倒すとどうなるか。
まだ検証はしていないが、不○議のダンジョンと同じなら、敵のレベルが上がる。
そうなったら現状はほぼ絶望的だ。
「現状これを打開するのは無理では…
撤退の準備をするか?」
至高の刀を俺に渡してもらって、死んでも良いように準備。
それが安全策。
積極策としてもう一つ、効果不明の長い宝珠を使う事。
壁に打って判別不能だった複数回宝珠だが、これを使えば打開出来る可能性は十分にある。
仮にあまり意味が無くても、その次の行動で至高の刀を渡してもらえば、大丈夫なはずだ。
「…よし、『メイレイの宝珠』のテストの意味も込めて、試してみるか。
『メイレイ』、正面のアロラビーに向かって長い宝珠を使う!」
メイレイの宝珠が消え、パアァッとセイに光が射した。
<長い宝珠を使った>
<アロラビーはレベルが上がった>
「え゛っ!」
<バクアロビーは爆弾矢を飛ばした 勇者に25のダメージ>
<勇者は死んでしまった>
「ああーっ!」
…どうやら長い宝珠は、当たった対象のレベルを上げる宝珠だったようだ…
アロラビーがバクアロビーにレベルアップし、爆弾矢を飛ばしてきて一撃死…
不○議のダンジョンの基本。
不確定要素の運に頼ってはいけない。
「俺の至高の刀…」
アイテムの引きの運は良かった。
そして運に頼ってロスト。
ある意味運の振れ幅がバランス良かったのか…
今後は運に頼るまい、そう心に誓った。
ダンジョン攻略はまだまだ続いていく。
運に頼るまい、そう思っていても運に頼ってしまう。
あるあるです。
一旦、書き溜めはここまでになるため、以降は不定期に更新します。




