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救命活動with転生Girls!  作者: 涼雲ルミ
高揚令嬢と魔法学
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Ⅰ22.高揚令嬢は魔法を学ぶ。

「では、今日は今まで習ったことをもう一度復習しましょう!」


時は、永暦(えいれき)997年。

私は…乙女ゲーム【古の乙女の永遠なる誓い】通称【オトチカ】の主人公、セラフィーナ・エンシャンツ。

場所はソレイユ王国プラーミア学園であり、現在選択授業の真っ只中。


ちなみに、選択授業以外についても…前世で言う英数国理社って区分は無いんだよね。

英語はそもそもソレイユ王国の母国語が人と人との間の共通語として起用しているから無いし、数学は…簡単に言ってしまうと、物凄くレベルが低い。

魔法学に関連した数式なら膨大な知識と深堀りが記録されている筈なのに、通常の数学…例えば、年齢的に高校生の人達も2桁の足し引きが出来なかったり、中学生でも分かる確率の問題とかも研究者が頑張る超難問扱い。微分積分の概念なんて以ての外。そもそもπやe、logの概念すら無いことになっているのだ。魔道具の為の数学はちゃんと発展してるのに。

そして、国語は置いといて、社会。これに関しては地歴公民で分かれてるからまあまあって感じかな。だけど、これも必要な人だけが受けるって感じ。レベル的には前世と同じか…それ以上だろう。魔法で歴史が保たれてるからか、…1000年前のこととかも前世より鮮明に残っているんだよね。

問題は理科なんだけど、これも言わずもがな。

物化生地のうち物理と化学が壊滅的。それに加え生物地学は結構発達してるのかなぁと思いきや、生命遺伝とかの人間の中のこととか、地震の計算のこととかはだいぶあやふやだった。生物とて、専門家が時間をかけて研究するのだ。カブトムシとかクワガタとかも全く流通なし。

それ関連で医学はどうなのかなと思い、家の図書室で調べてみた所、やはり魔法による治療が多すぎて人工呼吸等のことはあまり発展していないみたい。

体育家庭科技術なんかは選択制だし、音楽美術なんて教科はそもそも無い。


……数学で無双出来そうだなとか思いつつも、そんな勇気はこれっぽっちも持ち合わせていないのでやれずにいるセラフィーナ・エンシャンツですどうも。

2桁の四則計算ならそろばん無しでもなんとか行けるけど、変に目立つのもなぁ。

あ、この世界にそろばんは無いか。

この前魔力について計算する為に簡易的なそろばんを作って使ったら、キャンディさんに食いつかれたんよね。キャンディさんはこの世界のことは本当に色々知ってる人だ。だからこそ、彼女に食いつかれるということはそれだけ“この世界の常識とはかけ離れている”ということを意味する。


「この世界の魔力は、聖から始まり、光と闇に分かれました。これは、今から約1000年以上前のことです。勇者と魔王の時代ですね」


…この世界の歴史は、主に平和と戦乱に分かれている。

一番近いのは、永暦と呼ばれる暦が始まった、1000年前の時代。所謂救世主の時代だ。言うまでもなくクリスティーナ様が作り出したの時代のことである。

そして、それよりも前には戦乱の時代。

逆に言えば、これを制したのがクリスティーナ様の世代だと私達の世代は思っているみたいだ。時代の流れ的にも、戦乱後は平和、ということだろう。

そして、逆もまた然り。平和の後は…戦乱。

戦乱の時代が始まる前までは、勇者の時代と呼ばれる時代がある。これは俗に言う勇者と魔王の時代であり、勇者が魔王を打倒したぞっていう時代のことである。

その勇者の名前は…えっと……、…忘れたな。

オトチカでは番外編タイムスリップで昔に行こうパラレルワールドでちょっとだけ触れていた気がするが、よく思い出せない。


んで、それよりも前もまた荒れた世の中が続き、その度に誰かが倒し崇められ…という感じなんだけど、私達はこの辺りまでしか教えてもらえないのだ。

あとは自分で調べろということらしく、家でいくつか読んでみたけど、中々見つからなかった。

まあ、普通に考えて2000年以上前のことだし、前世で言ったら西暦を上回る勢いだから、詳しい書物が残ってないのは当然というか必然というか仕方ないことなので、結構諦めてるんだけど。


「さらに、光は、火風水土、炎雷氷栄へと進化を重ね、闇は、療打幽算、治斬呪機と進化していきました。」


現在光系統である火風水土炎雷氷栄はだいぶ研究が進んでおり、最も扱いやすい魔力器とされている。

対して、闇系統の療打幽算治斬呪機のうち、療治は医学関係、打斬は武学関係と限られた分野でしか力を発揮できないとされており、幽呪算機に至っては“魔力があるだけ”と認知されてしまうのだ。

実際、極めればこの前のリスクのように幽霊呪霊のようにイメージを形にしたり見えないものを見る力を習得したり、第一作目のラスボスのように生死の境目の世界へ行き来したりすることだって可能になるし、算機なんて生活そのもの。

ここが一番前世の物理法則に近い分野だからこそ、私としては一番馴染みやすい魔力器なんだけど…、残念ながら今現在大っぴらに「自分の魔力器算機です!!」と言う人は殆ど居無い。

発明とか計算とかがスムーズに出来るのはこの魔力器だっていうのに!!…やっぱり、あの自己肯定感高すぎなオトチカっ子が出て来ない限り出会えないのだろうか。


「火炎と水氷が対極、風雷と土栄が対極となります。また属性は別の属性を生じるという周期的循環現象があります」

図面と共に説明をしてくれるのは、魔法学の先生。

ミリアムさんも彼女から魔法学を習ったそうで、随分この学園に滞在しているみたいだ。この世界では前世でいう人事異動みたいなことは殆ど無いので、それが原因でもあるのだろう。


「火炎は風雷を助け、風雷は水氷を助ける。」

凝結して風となり、風は液化して水になる。

「水氷は土栄を助け、土栄は火炎を助ける。」

水は固化して土になり、土は昇華して火になる。


前世でも某哲学者による某輪の説があったが、それと同じようなことだろう。逆にも変化するとのことなので、益々その共通点が垣間見える。

「このように、魔法は器によって深く関わりがあり、自身の魔力器によっても左右されますが…。何より大事なのは想像すること。想像することで、新しい魔力器が生まれるかもしれませんね」


魔法はイメージをここでも説明してくれるとは…。

ここまで来ると、魔法は論理的というよりも脳筋じみているのだろうなと思ってしまう。

でも、何より大事なのはやっぱり想像なんだよね。


そして、詠唱で全て使えるという思考が広まっている、つまり…詠唱が完璧にできれば魔法も使えるという想像力が頭の中に浸透していることで、幅広い魔法が使えるようになるのだろうと思われる。

実際私は決まった詠唱の方が苦手だ。…詠唱した所で言語が違うから想像も何もないので、単純な日本語で終わらせることが多かったりする。

まあ、怪しまれない為にボソボソと簡単な物を言うこともあるが、…あまりにも厨二感が過ぎるので殆どしない。



「ということで、簡単な風魔法は物を浮かすことでしたね!皆さん一度やってみてください」

某魔法の物語の発音が難しいことで有名な呪文を言ってみたくもあるけれど、発音に失敗した場合絶対その良からぬイメージが頭の中で浮かんでしまう自信があるのでやめておくことに。

基本的に私は毎回シャボン玉を思い浮かべながら、目の前にある紙を浮かせているので、いつもと同じようにやってみる。


「流石ですねセラフィーナ様!紙が安定しています」

「ネフェルちゃんこそ、凄く上手くなってない!?」

これが努力か…って尊敬しちゃうくらい上手になっていて流石にビビる。最初は全く出来てなかった筈なのに、いつの間にか私以上に上達してるんだもん。

流石にまだ負けるつもりはないけど、これ以上成長したら私の出る幕が…。

絶対この子私より凄い魔法使いになれるよ、なんで原作で登場しなかったんだろ。


「セラフィーナ様?」

「あっ…うんんなんでもない!」

それはともかく、授業に集中しないとね。


まだ初期魔法しか教わっていないので、風魔法では紙を浮かす程度、水魔法では水を動かす程度のことしかやっていない。火魔法と土魔法は危ないから殆ど触れていないが、外での実習の時には火魔法と土魔法の特訓をさせてもらえるんだよね。

危ないからやらないって判断はナイスすぎる。やってみたいけど、それは今じゃなくても良い。


「流石2人ね、セラフィーナさん、ネフェルさん」

見回っている先生がそう声を掛けてくれる。

最初はガチガチ敬語でセラフィーナ様呼びだった魔法学の先生だったが、今では普通に接してくれていた。


「とんでもないです。先生の方が凄いのでは?」

「あっはは、それはどうでしょうか」

ネフェルちゃんのその言葉に笑いながら目をそらす先生。

そのまま別の子の方へ言ってしまうが、濁したということはそういうことなのだろうと推測できてしまう。


「……生物内で平均魔力量が一番低いのは人間族って言ってたのは先生なのに…」

ネフェルちゃんの呟きに、私も乾いたような笑いを見せる。

この世界に来て生活するうちに段々と分かってきた生態系についても、少しだけ触れておいた方が良いかな。頭の中を整理するという意味でも。

この世界には、人間の他にも数多くの生き物が存在している。

人間は人族に分類されており、人族には他に亜人であるエルフやドワーフ、それに人魚や獣人等の、意思疎通が明確に行える人間的見た目をした生物が該当している。特徴は様々あるけれど、基本的には人間と同じように二足歩行をして、四肢を持っており、顔には目、耳、鼻、口がある。人魚は二足歩行してるわけじゃないし、獣人もモデルになっている獣によっては目耳鼻口が微妙だが…基本的に彼らは例外となるのだ。また、それぞれ、エルフは長寿だったり、ドワーフは筋肉量が凄かったり、人魚は水の中でも息ができたり、獣人は…メタ的にみたら元ネタの動物の特徴を受け継いでいたりする。

そして、人族以外には鬼族がいる。

ゲームの知識だと、鬼族の中では5つの宗派とその他で分けられていた。細かい区分はよく覚えていないが、人間も住む地域…所謂国によって〇〇人と分けているので他人のことは言えない。

更に、忘れちゃいけないのが精霊様や妖精のことだろう。

精霊様は言わずもがな、スピリット様やうーちゃん先輩のように何年も生きている種族、…と認識されやすいが、実際はそこまで生きていないのが殆どらしい。とりあえず1000年生きているうーちゃん先輩は例外として、スピリット様も年齢は100単位。多くの精霊様は獣人や鬼族くらいの寿命であるみたいで、勝手な想像よりも遥かに少なかった。もっと…うん、エルフくらいかと。

精霊王、双精霊、四大精霊に選ばれた瞬間と誰かと契約を結んだ瞬間からは、時が止まったかのように老いることがなくなってしまう。ただし、位を別の子に授与した、或いは契約破棄及び契約主が亡くなった瞬間から、その時が再び動き始めるそうで。うーちゃん先輩曰く、それにも理由があったみたいだが、スピリット様は知らないみたいだった。聞いてみたい気持ちもあったが、中々機会がなくて聞けていない。

神様についてはホントによく分からないんだよね。でも、スピリット様やティーアちゃんがちょくちょく会話に出していたので、存在自体はあるのかもしれない。

で、あとは動物関連。

前世のように普通の動物がいるんだけど、それらは主に獣と呼ばれている。地域によっては動物って呼ばれる場所もあるみたいだけど。その獣は主に魔獣と聖獣に分かれているみたいだが、私達人間はまだ解明できていないみたい。ゲームの設定だと、普通の動物が聖獣で、魔力があるのが魔獣って感じだった気がする。魔力の量が基準になってくるのかな?いずれにせよ、人の言葉を喋らない動物の情報は割と少なめではあるんだよね。

最後に、魔物。

魔物は、意思疎通が出来ない魔力持ちの人種、って明確に区別されている。意思疎通が出来ないって所が味噌なんだろうな。


…あとは、大罪魔導師。

これは、【古の乙女と永遠なる誓い】第三作目以降に登場する人達のこと。第三作目の主なストーリーとしては、嫉妬、傲慢、怠惰、憤怒、強欲、色欲、暴食の七つの大罪による魔導師達と、主人公サイドの慈愛、忠義、勤勉、寛容、分別、純潔、節制の七つの美徳によるキャラ達の掛け合いになっている。

メタ的要素は置いとくにしろ、もし仮にこの世界が第三作目とも繋がっている世界線なのだとしたら、結構悲惨なことになりかねない。

敵が一番強いって言われてたのが第三作目だし、何より7人の過去がエグすぎる。…全員明かされてたわけじゃないけれど、…殆どの子達がやるせない事情とやってしまった事実に阻まれているので、…むしろ私の方が迷ってしまいそうになる。

主人公ちゃんと王道ルートくんが過去に出会ってるって設定は良かったけどその場所がアタオカだし、隠しルートくんに至ってはなんて形容したら良いか分からないくらい痛々しかった。最後はハッピーエンドっちゃハッピーエンドなんだけど、第一作目で言ったらアスタさんが亡くなったリスクくらいかそれ以上に傷ましい。“ドンッ!とハッピーエンド”って感じ。

他の4人はそこまで言及はされてなかったんだけど…でも番外編みたいな感じで第一作目と凄い繋がりが濃かったんだよね、確か。だってなんか成長した第一作目の主人公…つまり私と会ってるってエピソードあったし。「セラフィーナ様成長しとるぅぅぅぅうううう」ってなってたもん。だけど、その時のセラフィーナは誰とも恋に堕ちてないっぽかったのに加え、感情が乏しくまさに初期設定まんまって感じだったんだよね。それで世間的には第一作目とは繋がって無いんだろうなって認識だったんだけど、…繋がっている可能性も視野に入れておくべきかもしれないな。


何より、第一作目といったら第二作目!ってくらい第二作目との繋がりも濃かった。

王道ルートのイグニス様と頭脳派ルートの彼。

その2人と深く関係のある子達がそれぞれお兄様のようなナビゲーターとリスクのような隠しルートになって登場。敢えて普通の攻略対象者ではなくナビと隠しで来てくれた為に、第二作目では他国との繋がりも濃くなったというわけだ。

第二作目には交換留学生が2人ほどいた気がする。だけど、先ほども言ったようにここが繋がっているのかどうかは分からない。…ただ、彼らは他国と言えど同じ人間。種族が同じである以上話も通じるし会えば簡単に分かるとは思う。…すご〜く濃い子達だった記憶だけしかないけども。


第二作目だったら第一作目から約何年後のことなのか分かるのだが、第三作目以降が怪しい。全シリーズ内での攻略対象者の中の最推しが確か第四作目にいた事くらいしか覚えてないのだ。

時間軸がズレている可能性もあるし、気を引き締めないとね。


「では、今日はここまで!明日は全体会で体力測定があります!魔法学専攻の皆さんの実力を楽しみにしていますね!」


前世の体力測定に魔力測定もプラスされているのがこの世界の体力測定。

…まあ、何故か男女で種目が違ってて、女子は腹筋も反復横跳びも握力もソフトボール投げも走りすら無いから、体力測定というよりも身体測定だよね。しかも体重も測らないんだってさ。びっくり仰天。まあ、知りたくはないからありがたい。



「…明日、一緒に回りませんか?」

「もちろんだよ!一緒回ろ〜」

各場所に分かれて測定していく所は高校と変わらないなと思いつつ、ネフェルちゃんと共に回ることになったのだった。



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