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救命活動with転生Girls!  作者: 涼雲ルミ
捻くれ少女と面会
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Ⅰ20.捻くれ少女は挑発し、

睨み合ううーちゃんと国王陛下を見ながら、そろそろやめた方が…と思う。

…前世でもお父様と精霊様のガン飛ばしで結構な大ごとになってたもの。その度にお兄様が仲介に入ってたこともあったっけ。

そんなことを思っていると、近くから「お言葉ですが」と声が掛かる。そちら見てみれば、頭を抱えた宰相が立っていた。


「国王陛下、それに水精霊様。」

「…なんだ、ジャンルカ」「なんですか!」

2人は勢いよくジャンルカ宰相の方を振り返る。若干厳しい視線を向けている彼は、その顔とは裏腹に至って冷静な声を上げる。


「勝負でも何でもご勝手になさればよろしいです。…が、本来の目的をお忘れないようお願い致します。」

仏頂面な様子を見せる国王陛下とうーちゃん。

…あ〜あ、…ほんとにお父様と精霊様みたいだ。

お兄様とも言えるかもしれない。今更ながらクリストファーお兄様とお父様はちゃんと親子だったんだなと思わざるを得ない。


「…そうだったな、精霊は置いておくとして、君達に一つ提案がある」

置いておくって何よ!!!と声を上げるうーちゃんを尻目に、国王陛下はこちらに向かって歩いてくる。自ら立つだなんてどういう風の吹き回しなのかしら…と思っているうちに、こちらまで歩いてきていたみたいだ。


「今日君達が学園で学んでいる間騎士団から聞いた話によれば、君達が自ら赴き、そして奴隷商人共を始末した、…それで間違えないか?」

「…はい、ですが、それは僕達の力だけでなく、精霊王様のお力添えによるものです」

レオンハルトさんは、国王陛下の目を見ながらハッキリとそう言い放つ。頭の中で『ングッッッ!?!?』という声が響いてくるが、同時に…『まあ、レオンハルトならいっか…』という声が聞こえてきた。


「その精霊はどこに?」

「精霊王がそんな簡単に姿見せるわけないじゃないですかぁ〜!」

「……それもそうだな、…だが、それは四大精霊が一人水精霊である君も同じじゃないのか?」

「………うるさいですねぇ〜!!」

元々海の精霊なんだから良いじゃない!そもそも見せたくて見せてるわけじゃないのよ!?と。

声に出さずとも聞こえてくる。…私が来てって言った所為だし…、……後で謝って、ゆっくり一緒にお喋りしたいものね。


「ならば質問を変えよう。その精霊王や君は、誰に従ってそんな行動を取る?…その主は一体誰だ、」

「その、主…」


レオンハルトさんは黙り込む。

…当然よね、スピリット様やうーちゃんが誰を主として行動しているのか分かる筈ないもの。…なんなら私だって知らないわ。だとすれば、応えられるのは本人だけ。それを答えることで、今後の信頼にも関わってくるのだろうと思う。


「……てぃー…」


な!!!な!ティーナ!!!!ここはティーナ!

何かを話そうとするうーちゃんに対し、強い眼力と共に肩を触って合図をする。


「…ナちゃん??」

気がついてくれてありがとう、そう、…私のことはティーア、でもクリスティーナのことはティーナで良いの! ややこしくなっ………


「………」

あれ、空気が固まった?…なんか、誰も動かず、ただ息の音だけが聞こえてきた。何かやったかな…と思い、思わず故郷の人であるロータスさんの方を向いてしまう。そして、思い出した。…昔、ロータスさんが言っていた言葉。


ー「……現国王陛下は…クリスティーナ伝説を迷信として苦手意識を持っておられますからね…」


…やってしまった感は否めないけれど、…これは仕方ないと思う。うーちゃんはどう足掻いてもそう言ってくれる。


「…一体君は幾つなんだ…」

「んー、分かんないで〜す、でも、ティーナちゃんが7歳くらいの時?に生まれましたっ、確か!」

ニコニコのうーちゃんとは対照的に、周りはどんどん青ざめていく。

国王陛下は、下を向き…かつ表情は見えなくなってしまったはものの、雰囲気がガラリと変わった。

力を理性で抑えきれないのか、魔力が漏れ始める。


「………私、何かやっちゃいました…!?」

あわあわとしてこちらに飛び込んできて、私の背中に隠れる。国王陛下をちらりと覗きながらそんなことを言ってくるので、思わず固まってしまう。


「…ほら、国王陛下は…!」

セラフィーナさんが教えようとしてくれるものの、私がいるからか言葉を詰まらせる。

レオンハルトさんとリスクも同様にこちらを見てきた。

他の人達は…といえば、皆国王陛下に集中しているようだ。

そんな中、空気を変えるかのように口を開いてくれる人がいた。


「…そうなのね!なら、1000歳くらいなのかしら? そうは見えないわ」

そう、エンシャンツ公爵夫人、シュティーナ・エンシャンツ様。ニッコリと笑みを浮かべ、うーちゃんにそう言い放つ。国王陛下の方は見ずに、そのままこちらに目を向けてきた。

それに乗っかり、ジャンルカ宰相も口を開く。

「えぇ、1000年以上生きるのは精霊の中でも珍しいと聞きます、加えてその若さ…水精霊の座についたのはかなり早かったのですか?」

「そ、そうなのです!うーん、うん、そう!生まれてすぐに水精霊になったんですよぉ〜!」

焦ったようにジャンルカ宰相の話に乗るうーちゃん。

だから見た目が人で言う二十代前後なのか。確か、精霊王と双精霊、それに四大精霊のどれかの座につけば、その分時の流れが他の精霊よりも遅くなると聞いたことがある。あの日水精霊になってから今もそのまま維持しているということだろうか。凄いわね…。まあ、あの時のうーちゃんは少女姿だったし、四大精霊になっても成長はするのでしょうね。


「凄いですねうー、ウンディーネ様!」

「でしょでしょ〜! もっと褒めていいですよぅ!」

更に、セラフィーナさんが追い打ちをかけるかのようにそう言い切れば、うーちゃんの怯えはすっかりと無くなり、堂々と立ち始める。

国王陛下の方に目を向ければ、もう魔力は漏れていないようだったが、まだその鋭い視線は変わっていなかった。


「…故人に縋る理由は。」


絞り出すかのようにそう言い切る国王陛下。

はぁーと、自分を落ち着かせるかのように息を吐き、頭を抱えながらそう聞くけば、うーちゃんは「簡単よ」と口を開いた。


「生き物が本当に死ぬ時は、全員に忘れ去られた時」


…その言葉は、…私もよく知っている言葉だった。

前世で沢山聞いた。戦争で多くの騎士が亡くなった時に、当時の騎士団長が言っていた言葉であり、お父様やクリストファーお兄様が、心の底から悔しがっていた言葉。


「だから、私が…貴方達がティーナちゃんを…クリスティーナちゃんを忘れない限り、クリスティーナちゃんは皆の心で生き続ける。」


私だって悔しかった。だけど、…そう思うしか無かった。

失った命が元に戻ることは無い。でも、その人の心を失わない限り、その人は永遠に誰かの心の中で生き続けることが出来る。

…それが正しくても間違っていても。そう思わないといけないくらい、心も身体も枯れ果てていたから。


「って、リストくんが言ってたから!」と、そう呟くうーちゃん。

…その光景が目に見えて分かる。想像が容易にできてしまい、思わず何も言えずに固まってしまう。

周りを見る余裕も無かったけれど、耳には何も入ってこなかった。


「…リストとは、クリストファー様のことか」

「うん!よく知ってますねぇ〜!」


今度は国王陛下だけが反応をする。

キョトンとする皆をよそに2人で会話を進めていた。…国王陛下は、お兄様のことをちゃんと知っててくれるんだ。それだけで嬉しい気がして。だけど、呟かれるのはどれも曖昧な物だけで…、少しだけ悔しい。

私、言いたいよ。お兄様の凄い所。

歴史に残したら絶対驚かれることだってしていたし、結構賛否が分かれるようなことだってしていた。それに、ちょっとしたところも、私の大好きなお兄様だ。お義姉様のことも精霊王のことも、それに戴冠式のことだって。全部全部言いたい、…言って、「私のお兄様は凄いでしょ!」って…伝えたい。

…だけど、今言ったって誰にもわかってもらえないじゃない。


「…嫌そうなお顔。そんなにクリスティーナちゃんのことがお嫌いなのですか?」


うーちゃんは誰の気も知らないでそう言い放った。

国王陛下は少し黙り込む。……皆、聞きたくても聞けなかったことだと思う。だから、誰もがその答えに耳を傾けた。

数秒後…深呼吸をしてから、国王陛下は口を開いた。


「貴女には関係ないかと、」

「むっ……それは…、うんん、関係なくないですよ!!」

一瞬そうかもと思ったらしいうーちゃんだったが、すぐに気を取り直して国王陛下に向かって生意気な態度をとる。


「私、生まれた時から一緒だったんですぅー!まあ?アンタみたいな堅物そうな奴に、クリスティーナちゃんの良さは伝わらないかもしれませんけど?」

「……私は皆に認められる程の柔軟性を持っているが?」

「昔はそうでも今は変わらないんでしょ?嫌いって噂…私にも届いてるんだから!」


再びバチバチとした雰囲気と言い争いが続く。

クリスティーナちゃんがどうの、クリストファー様がどうのこうの、1000年前はどうだ、今の時代は、魔法は、世界は、魔物の事件は、事故は、民は、王族は、魔導師は、騎士は、精霊は、エルフは、宇宙は、死の世界は、死んだら、生きて、友人は、家族は、大切な人は…


「っッ言ってるじゃないですか!クリスティーナちゃんは今でも心の中に…」

「心で生きてたって、大事な人と会えなきゃ…何の意味も無いじゃないか!!!!!」

「それは…」


会いたい、のかな。……普通は、永遠の別れ。…それを覆す人なんて、ほんの一握り。……でも、そんな不可能を可能にするのが、……私達の………




「黙りなさい、」




うーちゃんと国王陛下の言い合いを止めるべく、私は声を上げた。

ビクリと反応した後、二人は私の方を向く。……他の皆も、私の方を向いていた。


こうなったら、……今日でケリをつけましょう。



「……ティーア嬢?」

「うふふ、……ブレイズ・ラグジュアル・サンスベリアね。今のソレイユ王国国王陛下、…好き嫌いがあるなんて、随分幼稚ですこと」


私はゆっくりゆっくりそう言い放つ。


「ティーアちゃん…?」

セラフィーナさんの問いかけに申し訳ないと思いつつも、国王陛下から目を離しはしない。


「私は、クリスティーナ・ラグジュアル・サンスベリア、……今は、ティーアちゃんの身体を借りて降臨しちゃいましたー!」


……ここで決着をつける。

もう、(ティーア)(クリスティーナ)だと…思われないようにする為に。


私は誰にも負けずニッコリと笑みを浮かべる。

うーちゃんは何か言いたげだったけれど、……良いの、これで。本人じゃなく、あくまでも…身体を借りた降臨として考える。

そうすれば、抜けてった後の私はティーアのままだから、それ以降はずっと平民扱いをしてくれる…筈だもん。


「随分と軽いな、」

「あら、降臨のことは御存知ないの?」

「………」

私の問いかけにブレイズ陛下は黙り込む。代わりに、隣にいたジャンルカ宰相が口を開いた。


「……降臨とは…神々が我らの地で過ごす為の物だと心得ております。…クリスティーナ様もまた、神になられたと?」

「うふふ、内緒。…でもそうね、知ってるのよ、私。貴方が私のこと苦手だってこと!」


その言葉に、ブレイズ陛下はとうとう顔を背けた。

……別に攻めたいつもりはないのよ、言葉で。ただ…ちょっと意地悪してみたくなっちゃっただけ。

皆に認められる柔軟性を持っていたような人がこうなってしまった理由。私はそれを知らないけれど、……それでも、……これ以上は関わってほしくない。だけど、それでも困っているのなら協力したい。

私もよく分からないのよ、私は…どうしたいのか。どうなりたいのか、どうするべきなのか。


私だって迷っているのに、国王としてそこにいる貴方はきっと、もっと迷っている。王族としての責任と、人としての想い。

全てがぐちゃぐちゃになって出てきた言葉が、「クリスティーナ様なんて」って言葉だったんだと思うんだ。


「いいのよ別に、私のことは嫌いでも」

「………嫌いではありません、……苦手ってだけで…」

「ホント?うふふ、嬉しい。でもね…貴方のやり方私少し気に入らないの、ねぇ、知ってる?私、我儘王女って呼ばれてたのよ!」


だからさ…ごめんね。


「私、この国また欲しくなっちゃった♪私と勝負しましょ?貴方勝ったら、私はティーアちゃんの中から出ていく、…そして私が負けたら…この国は貴方のモノ」


試すようなことしちゃって。

……でもね、分かってるわ。誰よりも純粋な人だからこそ、迷ってるのよね。


「ふふ、…ねぇ、どうする?このまま不戦勝で私が勝っちゃう?それとも…負けず嫌いな貴方は、その地から頂点まで…這い上がっちゃう??」

「………俺を誰だと思ってる?」


国王陛下は騎士に剣を要求する。

……もう本当にごめん、……レオンハルトさんは頭を抱えて疲れたような顔をしており、セラフィーナさんとリスクは困ったように笑っていた。

うーちゃんも少し意外そうにこちらを見ている。


「まあ、らしいか…」

「うふふ、ありがとううーちゃん」


私は真ん中まで歩き、国王陛下と向き合った。

適当に戦って良い感じに負けて、…一生手助けはしませんよって知らしめるから。


「…好き嫌いのある王様を認めてくれるような民に頼ってばかりじゃ、駄目だもの、」

「……………」

「いつまでも甘えているだけじゃ、国王の器とは呼べない、…貴方自身が動かなきゃね」


……口角を上げ、手を伸ばす。

もう本当に謝りたいけど、ここで謝ったら全てが台無し。……私の格も、陛下の格も落とさず、それでいて…ブレイズ陛下なら安心だと、…ここにいる全員に分かってもらう。

その為の戦い。その為の一戦。


「……もう一度聞くわ、…私のこと…嫌い?」

「……嫌いじゃない。けど、心の底から…苦手だ、」

「そう、残念」


大丈夫、私は別に…本気を出すわけじゃない。

私は、心に我儘王女を宿す。……沢山沢山言いたいことはあるよ、…でも、貴方に国を任せる為に…この戦い、負けない。勝負には負けるかもしれないけど、戦いでは勝たせてもらう!



「ならば、この私から一撃でも奪ってみせなさい、そうすれば、国は貴方のモノ。…さあ、始めましょう!」



私は、ブレイズ陛下と目を合わせ…目を逸らすことなくそう言い放ったのだった。



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