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救命活動with転生Girls!  作者: 涼雲ルミ
尽力令嬢とフクシュウ
80/88

心を躍らせ、

書きながら、「……本当は使いたくなかったのだけれど、仕方ないわね」と呟いているティーアちゃん。

覗いてみると、何処にでもありそうな木の枝でザ・魔法陣、って感じの奴を書いている。…思わず心が躍ってしまう。

…こんな間近で見たら、ワクワクするに決まってるじゃん!


「ティーアは何を…?」

「アボイ!ボイ!!!」

リスクが話しかければ、腕の中にいる子が喋り始める。

すると、リスクが黙り込んでティーアちゃんの方を見つめた。そういえば、ある程度心が通ってくると言いたいことが何となく分かるようになるんだったっけ。

それにしても、ここは第一作目の世界の筈なのに、第二作目の迷宮魔法や第三作目以降の特徴であるこの子や精霊様…、……やっぱりオトチカシリーズ、ってことで全作セットになってるのかな?いやでも、第二作目では……


「よし、出来た」

ティーアちゃんがそう呟いて、私達に少し離れるように言い放つ。それからお兄様に向かって、「この魔法陣に少しづつ魔力を注ぎ込んで」と口にした。

何の魔法陣か気になったので、ティーアちゃんに聞いてみることにする。さり気なく聞いてみれば、小首を傾げてそのまま、「迷宮魔法を書き換えるの」と言い放つ。書き換え!?!?…うん、書き換え??思わず大声を上げてしまう。……凄いな…そんなこと出来るのか。どうやら、この世界には私の知らないことがまだまだ沢山ありそうである。


「あんまり強くしちゃダメですよ?丁寧に、この魔法陣目掛けて、正確にお願いします!」

「ああ、分かった。」

2人の方を見てみれば、…何となく仲良くなったかのような…なってないような? ティーアちゃんからの棘が全く無いような気がする。

やっぱ2人は、どう転んでも最終的には仲良くなるうんめ…!


「違います!もっと優しく!!」

「いや、だいぶ優しくしてるだろ!」

「チッ…もっともっとです!あと、5㍉ズレてますよ!」

「魔法陣の中央部に入ってるだろ…」

「中心から5㍉ですよ!?中心はこの点ですよ!!ここに重心を合わせて!」

これは仲良い…のか…? 少なくとも2人とも言いたいこと言い合ってる気もするけど、やっぱりお互い棘は感じない。

やっぱり2人とも優しいから、誰かの生命の為ならなんだって頑張っちゃうんだろうなぁ。

ティーアちゃんは珍しく口調が荒ぶっていて舌打ちなんかもしてしまっており、お兄様は「まるでルイスみたいに細かいな…」等と呟きながらも、ティーアちゃんの指示に従って正確に位置を合わせる。

…スピリット様がお兄様の背中を支え、そのままティーアちゃんはお兄様に向かって耳打ちをする。

お兄様は若干不安そうな顔になる、が…


「信じてください!貴方なら絶対に成功する、…だからお願いします。もうすぐ洞窟が崩れるから、ここにいる皆を守れるのは貴方だけなんです!」


ティーアちゃんは振り向き、お兄様の方を真っ直ぐ見つめてそう言い切る。


「…ったく…馬鹿な事言うなよ。…信じてるに決まってるだろ、今頼りになるのは紛れもなくお前だけなんだから」


…正直、凄い絵になる。

魔法陣とティーアちゃんを見ながらしっかりとそう言い放つお兄様。いやぁ…身内だとは思えないくらいイケメンがすぎてびっくりよ。

ティーアちゃんは少し固まった後前を向いた。その顔は見えなかったけれど、少し嬉しそうだった気がする。

これを永遠にスクショしたい…っ!スクショしてアクスタにしたい!キーホルダーでも良いよ!?アクリルキーホルダーだ…!ヤバい…好き…、推しが増えた!元々2人とも推しだったけど!!こんな本格的な絡みゲームで無いし!イラストだけだったし!うぅ…間近で見ると迫力が違う。色んな意味でオーラが凄い…。

ゲーム本編が始まる前に私の心が尊死するよ…!?


「…セラフィーナ様…?」

「あっごめんなさいませ…?」

だ、ダメ…。そんなことしたら2人を殺人事件の犯人にしてしまう!私自身の問題なんだから、2人に迷惑をかけるわけには行かない…!


「君もホント面白いよね」

若干呆れたような目線でそう言ってくるスピリット様。

「まあティーアも大概だけど」と呟く彼は、いつの間にかお兄様から手は離していたみたいだった。

ティーアちゃんが面白いのは分かるけど、私普通だと思うんだけどな。常識だってこの数年で完璧に身に着けたし。…うん。


「お待たせ、」


やっぱりティーアちゃんこそQUEENof可愛い。

そんな私の心などつゆ知らず。ティーアちゃんがお兄様に合図をする。


「さあ!この迷宮を抜けるわよ!」


お兄様はさっき流し込んでいた量よりも多い魔力を、魔法陣に正確に注ぎ込んだ。ティーアちゃんを後ろから支えながら。


「っっ…〈文字が踊り、言葉が変わり、今、新たなる真実を生み出さん〉」


ティーアちゃんはお兄様の腕の中でそう言い放つ。

…正直何言ってるのか全く理解できないけれど、恐らく魔法の詠唱かと思われる。


「〈過去を塗り替え、未来へ導き、無限の可能性を論ぜし力よ、我が手に宿れ〉…っっ!!」


ティーアちゃんが力を込める。その瞬間光が溢れた。

まるで瞬間移動した時のような力強い光で、全然目を開けられない為思わず目を瞑る。


「舞うは宵闇、改訂記(かいていき)!」


それでも、ティーアちゃんの声だけは頭の中に流れ込んできた。段々と光が抑えられている気がするので、目を開けてみることにする。

恐る恐る目を開くと、そこに広がっていたのは……





「……外………!?!!」




外の景色だった。

男爵領の景色、初めてここに来た時と同じ場所。

後ろからぽふっと言う声が聞こえて来たので振り向いてみると、ティーアちゃんが倒れるギリギリの所をお兄様が支えている所で。


「え、え…?」「アボイ♪」

リスクも皆も混乱している。

…当然洞窟の中ではなく外に出た…ってこともあるけれど、それ以上に…


「っ兄さん!?!!」「モーセ!!!!」

…パッと見ただけでも数十人もの方々が、そこに倒れ込んでいたのだ。

その中には縄で縛られたアスタさんやロータスさん、モーセも居る。…そこまで怪我はしていなさそうだが、…3人以外の人達はだいぶ痩せ細っていた。時期の問題なのか、元々の問題なのか…。

どちらにせよ、このまま放っておくわけには行かない。


「あの…っ!」

ありったけのポーション持ってきました!と言う声と共に女性が駆け寄ってくる。

ネフェルちゃんが「か、カタリナさん…!」と呼びながら、そのポーションとやらを受け取り始めた。


「無茶しないでください!」

「だって…外から急に光が入ってきて、…見たら洞窟が半分崩れてたから…」

カタリナさんのその言葉に、動ける者が洞窟の方を見上げた。…すると、確かに半分程崩れかかっていた。形が変わっているので、あのままいたら普通に死んでいた可能性が高い…、流石迷宮魔法…と思うと同時に、どうやってここまで来たんだ…?と疑問に思う。

それを見兼ねてか、お兄様に支えられたティーアちゃんがここまで来てくれて応えてくれる。


「書き換えたのよ、迷宮魔法から転移魔法に、…私はもう限界…レオンハルト様、魔力量凄まじいですね……」

そう言いながらも、お兄様に向かって清々しく満足げな顔を見せるティーアちゃん。

…あれ、ティーアちゃんってレオンハルトさんって呼んでなかったっけ?そう思ったのは私だけではないのか、お兄様もティーアちゃんに向かって口を開く。


「…ティーア、呼び方…」

「ふぇっ…!? ……あ、いえ、その……すみません…? やっぱりいつも通りの方が良いですか…?」

いや、それはどちらでも良いんだが…と呟くお兄様。

ティーアちゃんもティーアちゃんでさっきまでは何も考えていないかのようにお兄様を上目で見ていたのだが、モゴモゴし始めたお兄様を見て何故か若干頬が照っているような気もする。


「ティーアちゃん???」

「…何でもありません。それより、スピリット様???」

一息ついたティーアちゃんは、そのままスピリット様の方は見ずに笑顔で声をかけた。

後ろでポーション配りの手助けをしているスピリット様は、見事に固まる。…これは……怒ってる…?


「あはは…何かなぁ?」

スピリット様も反対側を向いているので、お兄様を挟んで背中合わせになっている2人は、そのまま笑みを浮かべる。お兄様も困惑状態だ。


「…レオンハルトさんが持つ剣、そしてそのポーション。…貴方、本気ですか?」

「………いーじゃん別に!」

それからティーアちゃんが呆れたように呟けば、スピリット様はなんてこと無いでしょ!と開き直る。

それから、ぐったりと横たわる人達にポーションを飲ませている。

そうだ…色々聞きたいことはあるけど、まずは治療しないといけない!

生のポーションは初めて見た…と思いながら、カタリナさんっていう人の元に向かう。確かゲームでは回復アイテムとして使われてたんだよなぁとか思いながら。カタリナさんには、手伝ってくれてありがとうとよしよしされる。…これは子供扱いされとるな。まあ良いけど。

ちなみに、振り返ってみてみればお兄様やリスク達も参加してくれていた。既にモヤシは特殊な縄で縛られ動けない状態。

ティーアちゃんは…珍しくぐったりとしているみたいだった。うん、十分休んで欲しい。


「あの…これ、飲んでください…!」

そして、私は青色髪の女性にポーションを差し出す。

その女性は肌の色も水色で、見た目的に人族ではなさそうだった。ハーフという可能性も考えられるけど。


「……り………」

女性は小さく口をパクパク開く。

何かを訴えているようだったけれど、声が小さすぎてよく聞こえない。もう一度耳を傾けて聞いてみると、女性は一言「むり…」と呟いた。

周りを見てみれば噎せている人が結構いた。

その多くは人族ではなさそうな見た目をしている。

…そういえば、アニメではストア…ギルドか、ギルドには人族専用ポーションって感じで置いてあったんだっけ。

他の種族にはあまり良くないのかなぁとか思いつつも、人族以外の方をこのまま見過ごすなんて出来ない。


暫し考えていると、女性は更に口を開く。


「みず…み………」

「み、水…!?」

えっと…水が欲しい、のかな…? うん、とにかくやってみるか…。

さっきの水鉄砲だと威力がエグいので、ぽつぽつとした春雨くらいを目安に…と思い、女性の周りに水を降らせる。

少し微笑んでくれる女性だったが、中々回復はしない。

やっぱりダメなのか…そう思って辞めようとするけれど、さっきよりもはっきりした声で「やめないで…!」と口を開いた。

ちょっとずつ回復しているということだろうか、…そう思いながら続けていれば、私がここに留まっているのがおかしいと思ったのか、ネフェルちゃんがここまで来てくれる。


「セラフィーナ様?何やっ…、……えっと…何やっていらっしゃるのです?」

「あ…この人が水が欲しいって…」

ハテナを浮かべるネフェルちゃんだったが、何を思ったのかポーションを隣に置き、そのまま手をかざしてくれる。えっ…と呟けば、「私も手伝います」と言ってくれた。

「セラフィーナ様お一人では大変でしょう?」

「えっと…まあ、けどネフェルちゃんこそ…」

「私、こう見えて魔力器は水なんです、お手伝いさせてください」

自信満々にそう言ってくれる。

…表情が豊かになった気がして、ちょっと嬉しい。ネフェルちゃんも加わってくれたことで、女性の周りに水たまりのような物が加わる。

水を吸い込んでいる…のだろうか。少しずつだけど表情が柔らかくなってる…気がした。


「フィーナ?」

そして、ネフェルちゃんだけでなく、お兄様やリスク、そして少し休んだティーアちゃんもこちらに来てくれる。ネフェルちゃんの隣にはちゃっかりモーセもいるし、その隣には…青い髪の男の人が立っていた。しかも、リスクの後ろにはアスタさんやロータスさんもいるし…、……うん、凄い全員集合。

まさにオールスターズすぎる!


「…この中に水魔法を使える方いらっしゃいますか?」

ティーアちゃんは私達の方を見回しながらそう言う。そして、「お二人を手助けしてあげてください」と言い切った。

それじゃあこれは正解なのだろうか…そう思い、女性の方を見てみれば、ティーアちゃんの方を見あげている…気がした。

うっすらと開けた目は凄く透き通っていて、その中には、ティーアちゃんが映っている気がするから。


「なら俺が引き受けよう」

お兄様がそう言うと、ティーアちゃんが何とも言えないような複雑そうな顔をする。

無理しないで、それなら私が…と言うティーアちゃんだったが、お兄様はその言葉を完全スルーでこっちに歩いてくれて、そのまま膝をつく。


「…まだ魔力が残ってるんだ、先程までは情けない姿を見せてばかりだったからこそ、挽回させて欲しい」

女性に片手を差し出すお兄様。

その言葉を否定したい気持ちでいっぱいなのだけれど、今は集中しなければならない。お兄様が女性に直接水を注ぎ込んだ。みるみるうちに、ボロボロだった身体が浄化されていく気がして。


「…ぷはぁっ〜! 生き返る〜!!!!」


ピカッと光を浴びたかと思えば、そんな呑気な声が放たれる。「ありがと、君達!」と、先程とは打って変わった表情を浮かべたその女性は、勢いよく立ち上がる。

さっきは気付かなかったけれど、左手の人差し指の爪には、漢字で“水”という文字が書かれていた。…あれ、この設定どこかで…? そう思った勘は当たっていたらしい。


「……とんでもありません、水精霊ウンディーネ様」


彼女のテンションのギャップに何も言えず立ち尽くしている私達を尻目に、ティーアちゃんが一言述べる。

…ゲームで、四大精霊様は左手の爪の一本にそれぞれの漢字がついてたんだよね、今思い出した。

この人、確かシリーズ何作目かに登場してた、水精霊ウンディーネ様だ…!見た目も殆ど変わってない、なんで気付かなかったんだろ…!


「………なるほどね、貴女達か…王子が言ってたのは…」

ティーアちゃんや私達を見ながら呟く水精霊様。そんな彼女の後ろからは、一言…


「…あのね、王子辞めてって言ってるじゃん!おれ、もう王になったんだけど?」

スピリット様が不貞腐れたように立ちながら、そんな言葉を述べていたのだった。




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