表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アサガオくんと、眠れなくなる謎  作者: 隙名こと
序章 ~限界な私と、ゆるゆるのアサガオくん~
9/11

0-9 いいこと思いついたかも


 あああぁぁ……また一人で考え込んでいた。たぶん、0.5秒ぐらいの間に!

 

 そう。実は私には、

【独りで勝手に内面世界に浸る】というダメな癖がある。

 

 深海の奥底に、深く深く落ちていく感覚で、ネガティブなことをずっと考える。

 そのとき、時は止まっているかのようで――1秒未満しか経ってなかったりするんだ。

 それが起きるのはごくまれで。普通に考え事して、普通に時間が経つのが大半だけど。

 

 えーっと、えーっと、現実に戻ろう。ハイ!


 うん。実際には、目の前のアサガオくんは、無邪気に素直に喜んでくれている。

「謎について一緒に考えたい」という私の提案を。


 まるで「夏休みの宿題を手伝ってもらえることが決まった少年」のように、ぱああぁっ! と明るい晴れやかな表情だ。背景にひまわり咲いてそう。


 こーの、ハイスペ素直イケメンめ! うじうじしてる私の気持ちなんて、わかるまい。


 でも、その直後――。

 何かに気付いたかのようにハッとして、「うぅ~ん……」と低く呻くアサガオくん。

 表情の変化が、晴れのち曇りみたいで忙しい。


 やがて長い睫毛を伏せて、しょんぼりと心底残念そうな声で、

「相談したいのはやまやまだけど、お客さんの個人情報に関わることだから、たにたになんだよね~~……」

 

 山と谷を対応させたようだけど、単によくわからない日本語になってるよ。

 時折、アサガオくんはこういうヘンな表現をすることがある。けれど(天使と人間のハーフだから感性も独特なんだなぁ)と妙な納得をしている。要するにスルーだ。

 

 それより個人情報の取り扱いについて。

 まあ確かに、そうか。令和を生きる現代人として、お客さんの話を、他の客にベラベラ詳しく話せるわけがないよね。ちぇっ。


「あ~! でもね、僕いいこと思いついたかも~~!」

 そんな声をあげたアサガオくんが、口角をあげて、にこーーーと微笑む。

 まるで、新しい遊びを思いついた子供みたいに、ご機嫌な笑み。


 それは思ってもみない提案だった。




 ――ねえねえっ、もうすぐ夏休みだよね。

 暇な日は、うちで「助手」としてバイトしてみない?


 そしたら僕とマヨさんは「仕事仲間」になるからさ~。

 お客さんに関する謎のことを、詳しく相談しても自然な気がする~!


 それに、事務所には大きなソファーベッドがあってね。

 そこでなら横になって、もっとずーーっと眠らせてあげられるよ~~!!




「……な、なっ! ………あっ、……はぁ!??」

 動揺しすぎて言葉にならない。悲鳴みたいな吐息しか出ない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ